2-17 巨影
次の獲物探しましょう。
紅狐を抱っこして、空中散歩を続けて約10分。いまだに赤い点は表示されずにいた。……まあマップ無しでも居場所が分かるのも2人いるが。
一つは火柱。最初に見た時から変わらずボウボウ、と景気良く燃やしている。初期の場所からは変わったようだがそれでも目立つ。どんな妖怪ならあんな力を使えるんだ? と素朴な疑問が頭をよぎる。
そして二つ目。コイツも最初から見つけていた。ビル群の間を歩いている巨人だ。ドシン……ドシン……と歩くたびに地響きが聞こえる。奴はどうも青山学院付近を彷徨いてるようだ。
「どうしたもんかなぁ……。」
「なにが?」
腕の中でマップと睨めっこをしていた紅狐が、俺の独り言に反応する。
「他プレイヤーもなかなか見当たらないし、ならいっそ場所の分かってるあのデカブツの様子でも見に行こうかと思ってな。」
「むむむ……。」
むむむ、てお嬢さん。リアルで言う人なかなかいないよ、その言葉。
「それかあの火柱上げてる奴のツラ拝みにいこうか……。紅狐はどうするのが良いと思う?」
「……デカブツの方が良い。」
「その心は?」
「ノロマに負けるほどわたしたちは弱くも遅くもない。」
「なるほどね。」
「それに……。」
続けて出てくる言葉は想像がつく。俺と似たような性格だ、恐らく同じ考えに至ったんだろう。
「デカブツを倒したのがわたしたちと分かれば、他プレイヤーへの牽制になる。」
やっぱりおんなじ考えだったか。それは俺も思い付いていた。デカブツはいまだ健在、むしろ誰も手を出していないように見える。つまり奴は『人』にも『妖怪』にも恐怖の対象になっているんだ。図体がデカイのもあり、何もしなくても『人』が恐れ慄き、回復していることだろう。
……そんな奴を倒す奴がいたら? 危険人物と認定されて、余程の馬鹿以外は一回戦の間は挑んで来なくなるだろう。
「紅狐もそう思ったか。オレも同意見だ。ただ一個問題があってな……。」
「どうやって他プレイヤーに知らしめるか、でしょ?」
「その通り。それが一番の問題だ。」
奴の足元近くで、他プレイヤーが観戦していればソイツは手を出さないだろう。だが奴から遠く離れたプレイヤーはどうだ?気付いたら倒されてた、誰が倒したんだ?となるだろう。
……物は試しだ、一度やってみよう。
「紅狐。」
「ん?」
「今から宣伝部長になってくれそうな人と会議をするから、紅狐も参加してくれるか?」
「しょうち。」
「ありがとな。」
紅狐ちゃん、言動や行動は幼いですが意外と頭は良いんです。
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