2-16 幕間
紅狐ちゃんとイチャイチャタイム
「わんちゃんなのにわんちゃんじゃない!」
「いや、俺『狗』だけど、dogの方の犬じゃないし。」
「だまされた!」
「騙してはいないが……。なんかごめん。」
「……許す。」
不承不承といった雰囲気だが、一応は納得してくれたようだ。逆に自分の名前を犬とか付けるやつはいるのだろうか? いたとしたら多分被虐嗜好の持ち主くらいなものだろう。上級者すぎてとてもじゃないが俺には辿り着けない。
「……わんちゃん。」
「ん? どうした?」
「わんちゃん、怪我してた。なんで?」
「ああ、そういえば話してなかったな。実はーー」
へそを曲げた紅狐姫さまのご機嫌を直すべく、俺は自分の戦いをありのままに話した。もちろん、倒した後の心境、今の心境も含めて、だ。
「ーーってことだったんだよ。それで足と腕に風穴空いてたわけだ。」
「大変だったね。」
「ああ、大変だったよ。これから先もああいった手合いと会うのは御免被りたいね。」
「こうむるー。」
話をしているうちに、紅狐の機嫌はだいぶ直ったようで、先程までのよく分からない調子に戻った。なんとか一安心だ。
「腕。傷、痛い?」
「いや、ほぼ治ってきたから大丈夫だよ。」
「見せて。」
え、待って。という隙も与えず服をはだけさせられる。紅狐ちゃん意外と大胆なのね。いやん、お婿にいけなくなっちゃう。
「……。」
「見てて気分の良いものじゃないだろ、ほら仕舞うぞ。」
「よしよし。」
仕舞おうとした俺の手を無視して、二の腕の傷の辺りを優しく撫でる。ちょうど目の前にある狐耳がピクピク動く。……我慢できん。
そう思った瞬間、俺は紅狐の頭を撫でていた。ついでに耳の付け根を指の腹でマッサージする様になぞる。
「心配してくれてありがとな。本当に痛くないし、大丈夫だよ。」
「……そ。」
そう言うと紅狐はいそいそとはだけさせた服を雑に戻して、撫でられるがまま撫でられる状態になる。耳の裏辺りを擦ると尻尾が勢いを増す。ほほぅ、ここが良いのか。と邪な心が出そうになったところで止める。童貞にはこれ以上はキツい。色んな意味で。
「わんちゃん。」
「ん?」
「体力。」
「……んんー?」
「わんちゃん、全快じゃない。」
「ああ、とりあえずは大丈夫だよ。紅狐もいるし。2人の体力が危なくなったらまた一緒に回復しよう。」
「ん。」
「他プレイヤーを探す途中で『人』を見かけたら、回復に協力してもらえるか?」
「しょうち。」
これから先の方針として、ザックリとだが決まった。他プレイヤーの探索をメインにおき、行きずりに人がいたら回復にご協力願おう。あとは、移動の方法だが……。手っ取り早いのはやはりこれだろう。
「なあ紅狐。」
「なに?」
「移動の方法なんだが、徒歩だと時間がかかるだろう?」
「うん。」
「だから俺が紅狐を抱っこして、空を飛んで行こうと思うんだがどうだろう? 高いところは苦手か?」
「だいじょぶ。」
「そっか、そりゃ良かった。それでなんだが、飛んでる間に紅狐は『す魔ほ』を確認して、他プレイヤーや人が表示されないか見てほしいんだ。お願いできるか?」
「がってん。」
……そこは『しょうち』じゃないのね……。まあこれで移動の方法も決まった。あとは動くだけだ。そう思い、俺は紅狐の背中と膝裏に手を回し抱き抱える。俗に言う、お姫様抱っこだ。
「さて、行くか。す魔ほ片手に持って、もう片手は俺の服を掴んでおいてくれよ。」
「ん。」
ーー空へ駆ける。ほんのり紅狐の頬が朱に染まる。この体勢はやっぱり恥ずかしかったかな?と思いつつも、美少女抱っこは男のロマンであるので、やめるつもりは毛頭ない。さあ行こう。次のプレイヤーを探しに。
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