2-12 狩猟
殺さない回復方法の回です。
作者の脳の作りが貧相なので、怖くなかったらごめんなさい。
自分の体力を回復させるには、『人』を恐怖させるか、殺すしかない。しかし、楓との戦闘での気分の悪さから考えて殺すのは憚られる。仕方ないので、恐怖させる方向で行動をすることにした。
今、俺の目の前には2人の『人』がいる。どちらも男性で、聞こえてくる会話から察するに、訳も分からずここにいて、とりあえず一緒にシブヤの駅に向かうことにしているようだ。
「てかさー、まじ意味わかんなくねー? 全然人いねーし、ここほんとに渋谷かー?」
「え、ええ。少し静かすぎますよね。な、なんだかちょっと不気味です。」
「だよなー。まあ駅まで行きゃ誰かいるっしょ! そこまでは一緒に行こーぜ!」
「は、はいっ! よ、よろしくお願いします!」
「ダッハッハ! そんな畏まんなくていーよ!」
(すまないが……君達には俺のエサになってもらうよ。)
ーーブワッ。
2人の前方から急に突風が吹く。2人はあまりの強さに目を瞑ってしまう。時間にしてほんの数秒。風が収まり目を開くと、目の前には仮面を着けた体格のいい男が立っていた。
「ーーよう、良い夜だな。」
突然現れた狗の姿に面食らう2人。それもそうだ。仮面を着けている程度ならまだ良いが、背中には人にはあり得ない黒い羽がついているのだ。
「ひぃ⁉︎⁉︎」
「あ″? なんだてめぇ?」
「いやはや、通りすがりの只の奇人だよ。」
「あぁん⁉︎ テメェ、ナメてんのか?」
1人はすでに及び腰になり動けないでいるが、血気盛んそうなもう1人の男は食ってかかる。相手が『妖怪』であるとはつゆ知らず、ただのイカれたコスプレ野郎と勘違いして。
「なにつっ立ってんだよ! 邪魔だ、どけ!」
「ああ、あの! やめておいたほうが……。」
「ーーふんっ!」
掛け声と共に地面に鎌鼬を放つ。勿論、敢えて外したのだが。
「……は?」
「ひっ!」
2人の顔に恐怖が滲む。目の前で超常現象が起きたのだ。理解が及ばず、ただ目の前の仮面男がやったことだとしか分からない。
「ーー今日はやけに腹が空いていてなぁ……。」
ニヤリ、と口元に笑みを浮かべ、こちらに噛み付いてきた男に視線を送る。目が合った。相手は目元と口元がヒクついている。
「ーーお前達でもいいか。」
と言うと同時に、塀に向かって鎌鼬を放つ。塀は包丁を入れられた豆腐のようにスッと切れ、落ちる。
「……う、うわあぁぁぁぁぁぁ!!」
「ま、待って!! 置いていかないで!!」
その様子を見るや否や、男2人は元来た道へと全力で引き返す。……怖いだろうなぁ。夜、突然目の前に仮面着けた男が現れたと思ったらわけわからん力で攻撃されて、しかも少し遠回しに『今からお前らを殺す』なんて言われたんだもん。俺が生身で同じ状況だったら失禁脱糞ものだよ。
すると、シュン、と軽い音がすると同時に足と腕の痛みが消え少し傷が塞がる。どうやら恐怖心を煽ることに成功したようだ。体力を見てみると。
HP:69/100
となっていた。脅かすのだと3P回復か……。先は長いなぁ、と考えつつも次の青い点の元へ向かうのであった。
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