2-10 決着
「『空』っ!!!!!!」
先ほど、楓を反転させた技『空』を放つ。そして大きな羽音とともに移動をする。
(ちっ……どっちからくるのかしら……。先ほどと同じなら後ろですが……。)
ここ一番の攻め時を失い、守りを固める楓。一撃もらったことも尾を引き、攻勢を緩めざるを得ない。
(くる方向が分からないのであれば……全て払うまで!!)
楓は片手いっぱいに小傘、もう片手に番傘を持ち番傘を大きく振る。そして風が止む寸前に小傘をばら撒く。前後左右のどこから来ても回避し、即攻撃ができるようにだ。
(さあ、いらっしゃい……! トドメを刺してあげますわ……!)
意識を前後左右全てに向け、構える。しかし、攻撃は来ない。目の前にも姿はない。と思った刹那。
「……え?」
楓の体は、左肩から右腕の二の腕まで一文字に裂け、断面から上、首が地面へと落ちる。
「なん……で……?」
いまだ立ったままの自分の胸部から下を見上げつつ、上空を見る。そこには雄々しく黒い羽根を広げた狗の姿があった。
ーー楓:HP0/80。
狗の行動は非常にシンプルな物だった。真後ろに移動してもバレるし、攻撃も地上では警戒をしているだろう。そう。地上では、だ。そう考えた狗は、瞬間的に空を発動させたまま、楓の上空へと飛んだのだった
そして、周りばかりを気にしている楓に、上空から渾身の鎌鼬を放ったのだ。
「……ちっ。気分最悪だぜ。」
フワッと地上へ舞い降り、楓の側に寄る。楓自身も虚な目をしながら口から血を流すばかりで、もう長くはないだろう。
「……悪りぃな。『楓』。アンタ強かったよ。」
「……。」
「殺した気分もクソだぜ。戦ってるのは面白いとも思えたが、この後味は最悪だ。」
「……。」
楓は答えない。いや答えられない。先ほどの鎌鼬で呼吸器官を斬られたのだ。言葉の発しようがない。
「……なぁ。」
「……。」
「俺は絶対生き残る。そんでアンタのこと、俺は必ず覚えておく。だからその……安心して休んでくれ。」
「……。」
ーーふと。楓の口元が優しく笑った気がした。
そして戦いは終わり、楓の体は粒子となり。その場から消えて無くなった。
ーー勝者、狗ーー
新技『空』を獲得。
体力63/100
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