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無銘〜怪異に堕ちた僕達〜  作者: ミリな所持金(ry
第二章 一回戦
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2-7 楓の技

「ほら、どうしたよ? まさかこれで終わり、なんてことはないよな? その程度ならもう相手としては()()()()()な。疾く消えてなくなることをオススメするぜ?」


 ククッ、と笑い敢えて挑発をする。しかも先程の(かえで)がクロに向かって放った言葉をなぞる皮肉付きだ。尊厳(プライド)の高いお嬢様だ。効かない訳がない。


「殺すっ……! お前は絶対に殺す!!!!」


 殺意を剥き出しに吠える。瞳には憎しみを灯し、肉食獣のように獲物に狙いを定めている。……自分で乙女とか言っておきながら、そんな鬼のような形相をしているのは如何かと思う。


「ははっ。ボキャ貧かよ。もっと気の利いた台詞くらい言ってほしいもんだな。それこそ俺の鼻を明かすくらいな言葉をよぉ。」


 と、少し長い自分の仮面の鼻をちょんちょんと触る。煽りとしては完璧だろう。これだけ怒らせれば単純な攻撃をしてきてくれるはず。前準備としては十分な効果を得られそうだ。


「ーーやってやんぞクソ野郎がぁぁぁ!! テメェのそのツラ、跡形もなくグチャグチャに潰してやんよぉ!!!!」


 そう言い放ち、楓は両の手に持った番傘を開き床に投げる。


 ーーそしてそれを()()()()()()()()


 ……いきなりの意味不明な行動に呆気に取られる。なんだ? こいつ? あまりに煽りが効きすぎて物に八つ当たりを始めたのか?

 そんなことを考えつつも1mほど空中に浮きいつでも動けるように体勢を整える。その間に楓は砕いた番傘の部品、特に竹の部品を握れるだけ握り始めていた。


「空中に飛ぶホ○野郎には、この刑がお似合いだよなぁ!!!!」


 ーー瞬間。楓は手に持っていた竹クズを俺と、俺の上空に向けて投げつける。普通であればダメージも通らず、舞っている竹クズも地面へ自然落下するだろう。しかし。


 ーー竹クズは()()()()()()()

 いや、正確には薄く輝き、尖った先端が全て俺の方へ向いている。


「針串刺しの刑だぁぁぁぁ!!去勢されちまいなぁぁぁぁ!!!!」


 楓が開いていた手のひらを握ると、竹クズが一斉に俺へと向かって飛んでくる。


「『針筵地獄(ヘル・スティンガー)』!!!!」


 その勢いはまるで銃弾の嵐のようだった。手元から風を送り、自分の目の前から上方に向けて風を送っても勢いが落ちない。やむを得ず鎌鼬で大半を撃ち落とすが、落としきれなかった残弾が太ももや二の腕に深く突き刺さる。


「ぐぅ……!!」


狗:HP88/100


「まだまだぁ!! よそ見してんじゃないわよ!!」


 針筵地獄に気を取られている間に、楓は小傘を狗の体や狗の周囲に投擲する。自身に飛んできた小傘を横風で振り払う。周りに浮かんだ小傘は空中でピタリと動きを止め、そこにあるのが当たり前であるかのように微動だにしない。


「今からマジックを見せてあげますわ!! ご覧あそばせ!!」


 ダメージを与えたことにより尊厳が少しは戻ったのであろう、口調もお嬢様気取りの喋り方に戻っていたがデカい声で叫ぶ。


「『幻想瞬歩(ファントム・ムーブ)』っ!!」


 ーーそう叫んだ直後。目の前から楓が消える。

 ーーそして、腹部に鈍い痛みが走る。


「があっ……!」

「うふふ、美少女乙女のお膝に触れられたのよ。光栄に思いなさい。」

お読みいただきありがとうございます。

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宜しくお願いします。

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