第一章『始まり』〜1-1プロローグ〜
主人公含む生産性・社会的価値の無い人間が、神様の人類間引きにより生存をかけて、妖怪や怪異と言われる異形の姿をとり、その姿に見合った特殊な力を使いバトルを繰り広げ生き残る物語です。文中では西洋の怪物も日本の怪異も全て「妖怪」と一括りにさせていただきます。
何故妖怪の姿や特殊な能力を必要としているのか、神様の言う『間引き』とはなんなのか、どんなところで闘うのか、といったことに関しては本文中で説明をさせて頂きますので宜しくお願い致します。
また本作ではメインは妖怪と異能によるバトルになりますが、サブとして友情・恋愛要素も含まれております。
宜しくお願い致します。
ーー駆ける。
細い路地を、高いビルの隙間を縫うように駆ける。
後ろからは規則的な「ドシン……ドシン……」という重音が響く。
ーー駆ける。
何があって僕はこんな所にいるのか。額を伝う汗を拭いつつ、思い返す。
〜数刻前〜
ーー気が付いた時、僕は真っ白な空間にいた。
周りを見渡したところ、人の輪郭のようなモノが50個ほどだろうか? 目についたが、顔や体格などは何も分からない。人の形がそこにあり、皆困惑したような声を漏らすのみである。
中には女性の声も混じっていたように感じたが、そのような瑣末なことはどうでも良い。今1番の問題は『何故こんなところにいるのか』ということだ。
……自分の最後の記憶を思い出す。覚えているのはコーヒーを片手に書類仕事をダラダラと片付けていたことだけだ。決してこんな場所に移動はしていない。
誘拐か? とも考えたが、僕は優秀な人間でもなければ、さほど金も持っているわけでは無い。その線は薄いだろう。では何故、と考えていると……。
一際大きく透き通った声が響いた。
「やあやあ、ゴミカス諸君!!」
突然美少年? 美少女? が現れた。しかし凛とした姿や声には似つかわしく無い、汚い呼び方が聞こえた気がする。……ゴミカス??
「簡単に説明するから、ボクが話終わるまで静かに聞いてね!! ボクはとっても優しいけど横槍入ったらうっかり“消しちゃう“かもしれないから!!」
……んん?? なんだか不穏な単語が聞こえた気がするが、静かにと言われたので黙って話の続きを聞く。
「えっとね、まずは自己紹介をさせてもらうね。ボクは神様、君達をここに連れてきた張本人だよ。君達はあまりにも生産性も無く将来性も無いので、“間引き“の為にここに集まってもらいました!」
……神様? 間引き? うん、1ミリも分からない。
「ざっくり言うけれど、これから君達には生存競争をしてもらう。ああ、体格や性別は気にしなくて大丈夫だよ。その差はちゃんと“これから埋める“から。」
……生存競争? 差を埋める? 理解が追いつかない。頭に大量の疑問符を浮かべていた時、人の形の1つが荒げた声を上げた。
「ーーおい!! ふざけたこと言ってんじゃねえよ!! なんなんだてめえは!!」
口調や声からして男性の若者なのだろう。その人型は自称神様に向かって怒りを表していた。……だが、その言葉は長く続かない。何故なら……。
「神様だかなんだか知らねえけど、いいから元居たところに戻しーー」
ーーパチン。
自称神様が指を鳴らした途端。
跡形も無く消えてしまったからだ。先ほどまであった人型がそっくりそのまま消えてしまったのである。
「ーーチッ。ボク最初に言ったよね、横槍入れるなって。そういうゲロカスは要らないから消えてもらうよ。ボク、優しいけど理解力の無いゲロカスは嫌いなんだよね。もしまた横槍入ったら、ソイツもさっきのヤツみたいに消えてもらうから。」
綺麗な顔を心底不愉快そうに歪めながら、自称神様とやらは話を続ける。
「……まあいいや、どこまで話したっけ? ……ああそうだった! 生存競争をしてもらうんだよね、君達に! それでどういう感じにするかって言うとだねー……。」
ーーパチン。
神様がまた指を鳴らし、僕の目の前に一枚の紙が現れる。
「今配った紙にルールとか書いてあるから今すぐ読んで理解してね。質問があったら手を挙げること。」
初めて投稿しますので、拙い文章やその修正などを多々入れることになると思います。
これから先、説明が続くことになると思いますがメインのバトル開始まで暫く我慢をしていただけると幸いです。宜しくお願い致します。