エピローグ
私がまだ式典で宝石将の称号を得られる前…。
破壊の竜を封印した後のこと。
破壊の竜がこのオーロラの血に封印される直前、竜から一滴の涙を溢した。それを拾った私は直ぐ様アイリス様の元へと持っていった。
「アイリス様…、破壊の竜が封印される直前にこんなものを…。」
「あら…これは…。”破壊の竜の雫”…。これなら街を復活させることができます。イヴ、よく見つけてくれました。」
「いえ…、でも街を復活させられるって?」
今のオーロラの街は火の手を抑えるために他の魔道士たちが水属性の魔法を使って消火活動に尽力していた。私も水属性の魔法を使えるので先ほどから消火をしていたのだが、傷付いたアルクス様の元に行った際に思い出して、その近辺を捜索していたのだ。
「破壊の竜の雫にはとても大量の魔力が込められているのです。ですから、その魔力を開放すればこの惨状の街を元に戻すこともできるのです。」
「街を元に戻すことができるくらいの魔力量なんて、すごいですね…。」
「各都市の竜たちの力を集結したような存在ですからね…。とにかく早くこの力を使った方がいいでしょう。宝石将の皆を集めて頂戴。」
アイリス様は近くに控えていた護衛の人に宝石将を集めるよう指示を出すと、私に向き直った。
「イヴ、あなたにも力を貸してほしいのです。この街での救助活動に尽力してくれたこと、私は知っていますからね。この街を共に復活させてほしいのです。」
「分かりました。微力ながらお手伝いさせていただきます。」
私がそう返事をすると、アイリス様は嬉しそうに微笑むと、直ぐに破壊の竜が復活した地である、オーロラの城へと向かった。私も先を急ぐアイリス様の後を追った。
城に到着すると、アイリス様の元には宝石将の面々が顔を揃えていた。そこには別の場所で指示を出していたり、避難民に声をかけに行っていたパッシアさんもいた。
全員が揃ったところで、アイリス様が皆に向き直った。
「これより破壊の竜の雫による、街の再生化魔法を行います。皆、魔力を少しずつでいいので私に貸してください。魔力量の心配はありません。ただこの場所を元に戻すには皆さんの魔力の記憶が必要です。それで魔力を貸していただきたいのです。いいでしょうか?」
「「はい!」」
アイリス様の説明にその場に居る皆が返事をすると、早速作業に移った。まず城の地下に続く大きな穴の近くに魔法陣を描く。これは破壊の竜の雫を行使するアイリス様の仕事だ。
綺麗に描かれた魔法陣の上に私と宝石将の面々が乗ると、アイリス様が皆に目配せをした。
それに私も頷くと、アイリス様が魔法を発動させた。淡く光ったかと思うと、次第に光は強まっていき、やがてその光は街全体を包んだ。私はアイリス様の説明が合った通りに、火の海と化す前の街の様子を思い浮かべ、魔力をアイリス様に注ぐように意識を集中させた。
数分もすれば、目を閉じていても光を弱まったことが分かった。そこで私が目を開けるとそこには火の海と化す前の街の様子に戻っていた。
「おお!成功だ!」
「流石アイリス様の魔法だ!」
周りで見守っていた魔導士たちが歓喜の声をあげると、私はホッとした。自分で見つけた破壊の竜の雫がこんな風に役に立つとは思ってもみなかった。ちゃんと破壊の竜の最期を見ていて正解だったと思った。
そっとアイリス様の方を見ると、彼女も少し不安だったのか、ホット息を吐いているにのが見てとれた。
そんなアイリス様の様子にマティさんが気付いたようで、直ぐに肩を貸すとアイリス様は近くのベンチに腰掛けた。
「アイリス様、ありがとうございました。これで街は元通りです…、なんとお礼を申し上げてよいか…。」
「いいのです。私よりもこの破壊の竜の雫を発見してくれた彼女にお礼を言ってください。」
「えっ…」
私がベンチで休むアイリス様の元へ行くと、急に話を振らせて私はぎょっとした。すると私はあっという間に街の人から”ありがとう”とお礼をたくさんもらうこととなった。




