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虹の魔道士Ⅰ  作者: あず
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第四十六話 久しぶりのオーロラ

私たちはアルブス様の元を立ち、光の都市を後にした。光の都市を出ると、アルブス様の魔法により、記憶操作が行われる。光の都市での出来事を忘れてしまうのだが、私たちにはアルブス様の雫がある限り、ここを訪れたことを忘れはしないだろう。

私は腰のポーチに入っていた財布を覗くと、そこには光の都市で出会ったと思われる、カフェの名刺が入っていた。


「(これって…?)」


私がきょとんとして立ち止まっていると、前を歩いていたパッシアさんが気付いて、私の元へ戻ってきた。


「どうしたの、イヴ。」


「あ…、パッシアさん。これ、なんだろうと思って。」


私は持っていた名刺をパッシアさんに渡すと、彼女は名刺に釘付けになった。


「これって光の都市にあるって噂のカフェの名刺じゃない!ってことはイヴ、このお店に行ったってこと!?」


「え、そんなに有名なお店なんですか?」


「そりゃそうよ!光の都市での出来事を忘れちゃうから、最近までは知られていなかったんだけど、オーロラに二号店ができたっていって国の女の子たちは大騒ぎなんだから!」


「へぇ…、そんなすごいお店に私、行ってたんですね…。」


「イヴが羨ましいけど、光の都市での出来事を忘れちゃうのがねー…。ま、これでオーロラに行ったときに、カフェに誘える口実ができたわ!」


「無理矢理口実を作らなくても、私は一緒に行きますよ?」


「もー!イヴ、ありがとう!さぁ、さっさと検問所を過ぎたら、オーロラに行きましょ!」


「パッシアさん、半分カフェ目当てですよね?」


「(ぎくっ…)」


「私がアルクス様に会ってからですよ?」


「そ、それは分かってるわよ!我慢するわよ!」


「(我慢するほど行きたいんだ)」


私がそんなことを思っていると、パッシアさんはさっさと、検問所へと向かった。私も置いて行かれないよう、その後を追った。

検問所を通ると箒を取り出して跨った。オーロラへは火の都市と水の都市の境界線をまっすぐ行くと、一番速く着くはずだ。私たちは遠くに見える、女王アイリス様の待つ、お城を目指して、飛び立った。



数十分も飛べば、オーロラの街はすぐそこだった。オーロラの街へ入るのにも、手前の検問所を通らなくてはいけないため、私たちは都市の手前で地面に降り立った。検問所はオーロラに入る人々で溢れ返っていた。


「これじゃ、少し時間がかかりそうね…。」


「そうですね…。丁度夕方頃ですし、人が入る時間なんでしょうね。」


検問所には大きな荷物を持った行商人がわんさかといた。恐らく、他の都市で売りさばいてきて、その帰りなのだろう。荷物の検査が厳しいオーロラに入るのも一苦労だろう。

行商人が多いため、必然的に荷物の検査の時間も長くなり、私たちは思わぬところで足止めを食らってしまった。



私たちがオーロラの街に入れたのは、二十分後であった。

「どうする?今日はもう宿に泊まる?それともアルクス様のところへ行く?」


「うーん…、アルブス様に早く行くよう、言われたので宿に行く前にアルクス様のところへ行っちゃいましょうか。パッシアさんもそれでいいですか?」


「ええ、いいわよ。今回は宝石将となるための大事なところだから、師匠である私も同伴するわ。」


「ありがとうございます、パッシアさん。これで竜巡りも最後ですか…。今度からはパッシアさんとは同僚になるんですよね。私に務まるでしょうか…。」


私は不安から顔を青ざめたが、その私の肩をパッシアさんは優しく叩いた。


「大丈夫よ、イヴ。今まで試練をちゃんとクリアできたんだから、宝石将になってもそれは変わらないはずよ。自信を持って。」


「~ッ、はい!」


私は自分の顔を両手で強く叩くことで自分に喝を入れた。その後、元気よく返事をすると、パッシアさんも”うんうん!”と頷いてくれた。




「それにしても、オーロラに神殿なんてありましたっけ…?私何回も訪れてますけど、それらしい建物は見たことがないんですけど…。」


「ここの都市の神殿はお城の地下にあるのよ。オーロラの魔力の泉は一段と魔力の回復量が多くてね、昔それで争いが起きたことから、この国の王が神殿を地下に移したらしいわ。」


「へぇ…、そうなんですね。お城の地下ってどうやって入れば…?」


「私がいるし、簡単に入れると思うわ。アイリス様の謁見するのは明日にしましょう。今日はもう取り繕ってくれないと思うから。」


「分かりました。宿屋はどうします?前にも泊まったあの特製ジュースが美味しい宿屋にしますか?」


「ああ!いいわね!その宿屋に泊まりましょう!今から楽しみだわ!」


「パッシアさんって、ほんと食べることが好きですよね…。」


「なッ、い、いいじゃない!食べることが私にとっては幸せなのよ!」


「別に責めてませんよ。食べることが幸せなのはいいことですよ。」


私に指摘されてパッシアさんは顔を赤くして反論した。だが、それも可愛いもので私はほっこりした。


お城に着くと、警備兵の人に事情を説明し、パッシアさんの顔もあってか、すんなりと通してもらった。


「さ、アルクス様に会いに行きましょう。」


「はい!」


私たちはお城に地下にあるアルクス様を祀る神殿へと階段を下りていった。


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