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虹の魔道士Ⅰ  作者: あず
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第四十二話 ルーメン

パッシアさんはあっという間にパンを平らげてしまい、水をぐびぐびと飲んでいた。

私も遅れを取らぬようにと、慌ててパンを食べた。食べ終わると、パッシアさんは見計らったように、立ち上がった。


「さて、少し箒の旅にでも出ますか!」


パッシアさんは腰のポーチから箒を取り出して、跨った。私もそれに倣い、箒に跨るとふわりと浮いた。


「えっと、火の都市を通り越すので、こっちですかね。」


私は空中で方向転換し、火の都市の方を向いた。パッシアさんはそこが正解だという前に進んでいた。


「さ、イヴもついてらっしゃい!」


先導するパッシアさんに置いて行かれぬよう、私は後をついて行った。



私たちは数時間かけて、火の都市の上空を抜けて光の都市へ向かって行った。火の都市の向こうにあるであろう、光の都市はなんだか薄らぼんやりとモヤがかかっていて、はっきりと認識できなかった。


光の都市は、一般の人は立ち入ることのできない都市であると聞いたことがあった。魔導士なら一度は訪れるかもしれないが、皆、パッシアさんのように記憶操作をされて、光の都市の中でのことは誰一人として覚えていないのだろう。


「(私も忘れてしまうんだろうな…)」


私はそんなことをぼんやりと見える光の都市の様に思考を巡らせていると、前を行くパッシアさんが止まった。


「イヴ、今日は火の都市の境界線の近くの村に泊まるわよ。今日光の都市に行くのはやめておきましょ。」


「分かりました。」


私がそう返事をするとパッシアさんは少しずつ降下していった。下を見ると、そこには小さな村があり、既に夕方とあってか、ぽつぽつと家の光がつき始めていた。


その村に入ると、火の都市ということもあってか、村の誰もがパッシアさんのことを知っていて、歓迎してくれた。

他の主要都市のように大きな宿屋は無かったが、心優しい一人の村人が家を貸してくれて、私たちはその人の家にお邪魔して一泊することとなった。

夕飯は温かいスープとパン、それに魚の香草焼きがついていた。今日はパッシアさんがいるため、料理にも力が入った、と村人の方は言った。

私とパッシアさんはその方が出してくれた料理を平らげ、温かなベッドまで提供していただき、私たちは早めの就寝となった。



翌日。私たちは村人の方にお礼を言って、その村を後にした。

光の都市への検問所があり、私たちはそこで審査を受けた。


「えっと、宝石将のガーネットさんですね。それと…。」


「イヴです。宝石将になるための竜巡りの試練をしているところです。」


私がそう言うと、検問所の警備員さんは快諾して、”頑張ってください”と一言を添えて、通してくれた。その言葉に勇気を貰って、私が光の都市に足を踏み入れると、目の前が真っ白になった。眩しくて、思わず目を瞑ってしまい、立ち止まってしまった。


「イヴ?大丈夫?」


そんな私に前を歩いていたパッシアさんが声を掛けてくれた。


「はい、すみません…、眩しくって…」


私が目を開けると、そこには真っ白な外観の街並みがあった。光の都市には誰も住んでいないとかいう噂を聞いたが、そこは繁栄しているようだった。


「パッシアさん…、私が想像していた光の都市とは違いますね…。」


「私も見たことあるはずなのに、初めて見るような景色だわ。」


二人でその景色に圧倒され立ち止まっていると、白い住宅街の奥にこれまた真っ白な見た目の神殿が見えた。神殿は段々となっていえる住宅街の一番蛙高いところにあり、私たちはまず宿屋を探してから、神殿に向かうことにした。


「あの、すみません。ここら辺で泊まれる場所ってありますか?」


「ん?ああ、君たちは外の世界の人か。ここら辺に宿屋はないよ。皆、日帰りでこの都市を観光していくからね。」


「えっ、宿屋がないんですか!?えっと、パッシアさん、どうしましょう…。」


「仕方ないわね。私たちも日帰りで帰りましょう。ありがとうございました。神殿に行ってきます。」


「神殿?君たちが?あんな神聖な場所へ行くのかい?」


「はい…。私たち今、宝石将になるための竜巡りの試練をしているので、ここを守護する竜に会いたいんです。」


「アルブス様は神聖なお方だ。会えるといいな。」


「え、あ、はい…。」


そういうと話しかけた街の人はどこかへ歩いて行ってしまった。


「なんか私たちを歓迎していないような感じでしたね…。」


「そうね…。竜にも近付かないでほしいようだったし。まぁ、でも、そう言われても竜に会わなきゃいけないんだもの。さ、神殿に行きましょ。」


「はい…!」


私とパッシアさんは神殿までの段々となつた土地を繋ぐ階段を上り始めた。



全部で何段あるのかと数えたくなるほどの高さまで私たちは登ってくると、神殿は目の前だった。


「じゃあ、私は待ってるから。何かあったら、また竜が呼ぶでしょうけど。」


「はい、行ってきます。」


私が神殿に入るとまず目の前に魔力の泉があり、それを取り囲むように、いろんな方向へ続く通路があった。


「これ、どこに進んだらいいんだろ…。」


私が迷っていると、テッラでの神殿のことを思い出して、その時は右側に入ると、竜のいる空間があったため、今回は左に行ってみよう、という考えに辿り着いた。


左側の通路を進んでいると、通路の先が眩しく光っていた。


「(お、正解だったのかな…?)」


私がそんなことを思っていると、私は光に包まれた。


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