表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
虹の魔道士Ⅰ  作者: あず
37/52

第三十八話 巨大なモンスター

狼の波が止むと、私たちはすぐさま次のモンスターの波に備えて、ポーションで魔力の回復などを行った。


「パッシアさんたちの過去の試練から考えると、次はゴブリンのはずですが…。遅いですね。」


「ええ。そうだったけど、何か今回はおかしいわね…。嫌な予感しかしないわ。」


中々ゴブリンの群れがやってこないことに私たちが不思議がっていると、通路の奥の方からドスンドスンと重たい足音が聞こえてきた。


「どう考えてもゴブリンの足音じゃないですよね…。なんでしょう…」


「私が先に行ってみてこようか?」


「それは危ないわ、ガーネット。行くなら私たち全員で行くべきよ。」


パッシアさんは自ら偵察を買って出たが、マティさんにあっさりと断られてしまって、落ち込んでいた。そんなパッシアさんに私は可愛く思えて、ポンポンと優しく頭を撫でると、パッシアさんは”イヴ~”と泣きついて来た。どっちが師匠でどっちが弟子なんだか。


「はいはい、茶番は終わりね。この足音からするにそう早くは移動できないはずよ。先に行って確認したら、後退して作戦を練るのがベターじゃないかしら。」


「はい、その方がいいと思います。」


「じゃあ、そうしましょ。ほら、ガーネット、行くよ!」


「は~い…」


まだきっぱりと断られてしまったことを引きずっているのか、返事に元気がないパッシアさんだったが、私から離れると、スッと戦闘モードに入った。パッシアさんの尊敬するところはこういうところだ。直ぐにオンオフが切り替えできること。私にはまだまだ難しい。


「それじゃ、行きますか!」


パッシアさんの掛け声で私たちは、一気に走り出して、通路の奥の方へと進んだ。

すると、私たちの目の前に現れたのは…。



「な、なにあれ~!あんなの聞いてないんですけど!?あの竜、性格悪いでしょ!」


「私あんな大きなモンスター初めて見ました!竜よりも大きなモンスターっているんんですね…。」


「前よりも難易度が高くなってるかもしれないと思っていたけれど、ここまでとは思ってなかったわ…。」


私たちは通路の先で移動しているモンスターの姿を見てから、一目散に後退してきて、こうして集まって作戦を練っていた。



私たちが、通路の先で見たもの…。それは本で読んだことがあるモンスター、巨大ゴーレムだった。

この鉱石がよく採れる鉱山だからこそゴーレムなんていうモンスターが生まれたのかもしれないが、私たちが見たゴーレムは巨大な土人形にところどころキラキラとした鉱石が埋め込まれているタイプのゴーレムだった。安直に考えればだが、あの鉱石が弱点と見て間違いないだろう。

ゴーレムの存在は宝石将の間でも特例とされているようで、二人の様子から見ると、今回邂逅したのが初めてだろう。


「で、どうやって倒しますか?」


「そうねぇ…。イヴの高火力の弓矢であの鉱石を狙って砕いて行くっていうのが妥当な作戦だと思うわ。」


「私もそれが良いと思うわ。イヴのあの”氷の雨”をゴーレムに降らせて動きを止めてから充分に引き絞って魔力を貯めこんだ矢を鉱石に当てれば、ダメージは入ると思う。」


「分かりました。私がキーパーソンになるんですね。緊張します…。」


「落ち着いていつも通りにやれば大丈夫よ。あの性悪竜をぎゃふんと言わせましょ!」


ぐっと拳を握りしめるパッシアさんには、フラーウム様に対する別の熱意を感じた。そんなパッシアさんを無視してマティさんが私の肩をポンと軽く叩いた。


「大丈夫よ、イヴ。私がサポートするし、何かあればガーネットに押し付ければいいから。」


「ちょっと!聞き捨てならないんですけど!?私だって逃げる権利はあるわ!」


「宝石将が逃げ出してどうするの。イヴにもいいところ見せて師匠らしさを出したら?」


「うっ…。」


マティさんに言い負かされているパッシアさんに私はくすくすと笑いだしてしまった。今でもゴーレムが接近しているのに、笑ってしまって私はハッとした。


「あ、す、すみません…、つい。マティさんとパッシアさんは仲がいいんですね。」


「まぁ、宝石将で一番コンビを組んでるのはマティだからね。」


「そんなこと言ってないで、迎撃準備に入るわよ。ゴーレムはそこまで来てるわよ!」


「は、はい!」


私はマティさんに言われて立ち上がり、武器を弓矢に転換した。


「まずは”氷の雨”で動きを止めて!」


「分かりました!……氷の雨!」


私はマティさんに言われた通りに弓矢を上空に向けて十分に引き絞り、魔力を込めるとひゅいんと甲高い音を鳴らして矢を上空に放った。


私の掛け声と共に上空で四散した矢は氷柱の雨となってゴーレムに降り注いだ。


“ぐぁあああ”という断末魔と共に確実にゴーレムにダメージが入っていることが確認できた。


「その調子よ、イヴ!後は少しずつでいいから、普通の矢で鉱石を狙って!」


そういうとパッシアさんは未だに私の攻撃に悶えているゴーレムに向かって行った。

パッシアさんはまず足元から鞭をしならせて攻撃していった。

私も負けじと矢を十分に引き絞って魔力を込めてから、矢を放った。矢は一直線に飛んでいき、一発目で鉱石にクリーンヒットした。


「やった!当たった!」


「イヴ、よくやったわ!こっち来て、回復しましょ!」


「はい!」


私は後方で待機していたマティさんのところへ戻り、そのグローブで手を包んでもらった。すると、魔力が少しずつ回復しているのが、何となくだが実感した。


「よし!終わり!ガーネットの支援お願いね!」


「はい!」


私は未だにゴーレムの足元で鞭を叩きつけているパッシアさんの援護をすべく、弓矢を構えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ