第三十七話 乱闘
私たちが通路に入ると、重い音を立てて、入り口が塞がれた。
「後戻りはできないってことですね…。」
「さぁ、先に進みましょ。最速で試練をクリアしてやりましょ。」
「ガーネットったら、気合の入り様が凄まじいわね。」
「この試練だけはきつかったから…。それにあの竜の態度も気に入らない。」
はっきりと言い切ったパッシアさんに私とマティさんは笑った。
「しっ」
笑っていた私たちにパッシアさんは静かにするように、人差し指を口元に当てた。
すると、数秒後、どどど…という地鳴りのような音が聞こえてきた。
「どうやら、モンスターのお出ましのようね…。イヴ、マティ、準備はいい?」
「はい!」
「ええ。大丈夫よ。」
私は柄の状態の鎌を取り出し、マティさんはグローブをはめた。
すると、それを見計らったように、通路の先から巨大なスライムたちがゆっくりと跳ねながらこちらに向かってきた。
私はまず、弓の形態にした武器でスライムたちを氷漬けにした。それをパッシアさんの鞭で粉々にするという、洞窟内で行った連携を今回も取り入れた。
襲ってきたスライムは私が初めて見るほどの大きなスライムだったが、所詮はスライム。あっけなく消えて行った。
スライムの数は全部で二百体。全て数えているのは難しいため、私たちはひたすらにスライムを氷漬けにし、そしてパッシアさんが粉々にしていく、という作業を繰り返した。
もう何分間戦っているのか、分からなくなってきたところで、先ほど狙って打ったスライムが最後の一体だったようで、いつの間にかスライムの波は収まっていた。
「はぁ…、これでスライム二百体は終わりですかね…?」
「恐らくね。さ、マティが作ってくれたポーションを飲んで魔力を回復したら、先に進むわよ。」
息を切らす私と対称的にパッシアさんもマティさんも息を切らしてはいなかった。流石は宝石将と言ったところか。
私は通路に入る前にマティさんからお手製の魔力を回復するポーションを受け取っていた。それをぐいっと飲み干すと、私は鎌の柄をくるんと回して肩に柄を置き、持った。
「それじゃ、次は狼シリーズね。先に進みましょ。」
パッシアさんを先頭に私とマティさんがついて行く形で、先に進んだ。すると、再び通路の先からどどど…という地鳴りのような音が響いた。これは間違いなく、狼型のモンスターの足音だろう。先ほどのスライム戦の時と同じように私は武器を弓の形態に転換させ、先陣を切ってこちらに向かってくる通常タイプの狼型のモンスターに照準を合わせた。
そして、ぐいっと弓を引き、一瞬にして弓矢を放った。
氷の矢は先陣を切る狼たちにクリーンヒットし、周りが氷漬けになったが、その狼たちをすり抜けるかのように続々と後ろにいた狼たちが襲い掛かってきた。流石に前線にいるパッシアさんが心配になったが、ここで折れるようなパッシアさんではない。鞭を最大限にしならせ、パチンパチン!と鞭が地面を叩く音が通路に木霊し、それと同時に狼たちの断末魔が重なった。
あっという間に私が氷漬けにした狼たちを粉々にし、更に襲ってくる狼たちの相手をしているパッシアさんに私も負けじと、氷の矢を放ち続けた。
狼はスライムよりも走るのが速いため、そのうち周りを包囲されてしまった。ここは私の出番だとばかりに、私は弓矢を最大限引き絞って真上に氷の矢を放った。
「氷の雨!!」
私の掛け声と共に、上空で四散した氷の矢が氷柱の雨となって狼たちの頭上から降り注いだ。
一瞬にして狼たちを一掃できたが、まだまだ狼の出が止むことはなかった。次に出てきたのは、イグニスに向かう途中で相手をした炎狼だった。
「イヴ、炎狼にはイヴの攻撃が一番効くわ!ちょっと前線に出てもらえる?」
「はい!」
前線から少し引いたところで弓矢を放っていた私の傍までパッシアさんが来て、そういった。
私は言われた通りに、パッシアさんと交代する形で、前線に出て炎狼の相手をした。
こちらに牙や鋭い爪で攻撃してくる炎狼たちをひらりと躱して、私は確実に一体ずつ倒し残しがないようで、最後まで止めを刺して倒していった。
正確に数えていないため、確証は得られないが、炎狼が五十体ほど倒すと、次に通路の先から出てきた狼シリーズのモンスターは雪狼だった。
「イヴ、交代よ!」
「はい!お願いします!」
雪狼と私の魔法属性は一緒だ。そのため、攻撃の威力は弱くなってしまう。そのため、攻撃がより効く、火属性の魔法を使うパッシアさんが今度は前線に出ることとなった。
私は前線から撤退すると、マティさん特製の魔力を回復するポーションを一本、飲んだ。私がそうやって飲んでいる内にパッシアさんはアッという間に雪狼五十体を屠った。
次に出てきたのは風属性の風狼だった。子のモンスターはここで出会うのが初めてだったが、主な攻撃パターンは少し相手にしただけで理解することができた。
風魔法の空気砲みたいなのを放ってくるだけで、主な攻撃パターンは他の狼シリーズのそれと同じだった。
空気砲を躱しながら、風狼を一体ずつしっかりと止めを刺して倒していくと、いつの間にか狼の波は収まっていた。
さて、次は最後の百体、ゴブリンの群れだ。




