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虹の魔道士Ⅰ  作者: あず
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第二十四話 風の都市へ


私の傷の塞がり具合、体力の回復に二、三日かかり、ようやく私はなまった体を伸ばすように背伸びをした。


「んん~ッ!よし!パッシアさん準備できましたか?」


「ええ、できてるわよ。さ、名残惜しいけどまたここの家とはお別れね。」


「少しでもここに戻って来れてよかったです。パッシアさんの料理も楽しめましたしね。」


私がそういうと、パッシアさんは嬉しそうに顔を綻ばせた。


「でも、私の料理よりも風の都市ウェントゥスの料理はもっと美味しいんだから!」


「前にもそんなこと言っていましたね。どうして美味しいんですか?」


「風の都市ウェントゥスは肥沃な土壌に自然と吹く風、恵みの雨が食材となる植物や動物たちをしっかり育てられるからよ。食材が美味しいから料理も美味しいってわけ。でも、料理のレパートリーも他の都市よりも多いって聞くわ。見たことがない料理も出てくるとか…。」


そういってじゅるりと涎をすするパッシアさんに私は呆れつつも、雪が降る外へと繰り出した。


「じゃあ、その見たこともない料理を食べに行きますか?」


「りょ、料理はイヴの試練のついでよ!料理の前に竜に会わないと!我慢我慢!」


そういって慌てたように言うパッシアさんに私は笑って、身体をふわりと浮かせた。

この数日、心配性なパッシアさんの看病のおかげで魔力も回復し、時々体を動かしていたが、魔法を使うのは久々だった。


「うんうん、魔法も問題なく使えるようね。それじゃ、ウェントゥスまで行きましょ。」

パッシアさんが先導する形で私はパッシアさんの後を追うように飛んだ。

ウェントゥスの街が見えてきたのは、それから数分のことだった。


「うわぁ!」


雪の大地から次第に雪が消え、緑が増えてきたと思ったら、遠くの方で巨大な風車が見えた。

それは遠く離れている今の地点でも巨大だと分かるので、実際に傍に行ったら、もっと大きいのだろう。

そんな風車に興奮している私にパッシアさんは小さく笑うと、次第に飛ぶスピードを緩めた。


「?パッシアさんどうしたんですか?」


「よし、じゃあもう少しでウェントゥスだけど、ここでイヴには戦いの感覚を忘れてほしくないので、ここからは箒から降りて、徒歩でウェントゥスまで行きます!」


「イグニスに行くまでのような感じですね。了解です。」


私は納得すると、箒から飛び降りた。

地面に着地する寸前で風魔法を使って自分の足に風を巻き起こすと、ふわりと地面に着地した。


「魔法の使い方にも慣れてきたわね、応用もできるようになった。うんうん、いい感じに成長してるじゃない!」


感心したように頷きながら、私の隣に箒から降り立ったパッシアさんはそのまま箒の柄えをくるりと回すと流れるような動作でポーチにしまった。


「ここからはイグニスに行った時と同じくらいのレベルのモンスターがいるわ。それと、風の都市への旅行客を狙った盗賊とかも少しいるらしいから、それだけは気を付けてね。」


「それってもう、フラグ立ってませんか…?」


「はて、なんのことかな~?」


とぼけた様子のパッシアさんに私は呆れて溜息を吐きながらも、ポーチに箒をしまうと、代わりに武器である鎌の柄を取り出した。

くるくると回しながら刃の部分を氷で作り出して、構えると私は周囲を警戒した。


「噂をすれば、なんとやら。ですね。」


「私は一切手を出さないからね。私を守ってね、魔導士さん!」


きゅるん、と音がしそうなくらいふざけた態度を取るパッシアさんに私は呆れるのを通り越して、無視することにした。


意識を周囲に集中して、敵が何人くらいいるのか、魔力の有無などを感知することにした。


「(今のところ、敵は全員で五人…。仲間を呼ばれるといけないから。まずは五人のうちの連絡係となり得る人間をピックアップしないと…。戦いながら見極めるしかないか…)」


私がそんなことを考えていると、敵が動き出した。

まずは岩陰から一人。そして、近くを流れる川の中から一人。

計二人がまず私に向かってきた。いや、私というよりかは、宝石将であり、国中に顔が知れ渡っているパッシアさんが標的のようだった。


「私を…無視しないで、くれますか!」


私の後ろに隠れるようにいるパッシアさんに向かってくる敵に鎌を振りかざした。


キィン


鋭い金属音が辺りに響き渡った。


私には一瞬何が起こったか、分からなかった。

目の前にはボロボロに崩れていく自分が作り出した氷があった。


「ふんッ、護衛のくせに魔力の掛け方も知らないとは…。見くびられたものだな!!」


私は動揺するのを後回しにしようと脳で処理すると、直ぐ様氷の刃をもう一度展開して、敵の攻撃を防いだ。

今度は崩れることなく、氷の刃と、金属の剣がギリギリと鍔迫り合いをした。


「イヴ!氷の刃に薄く魔力を込めるの!そうすれば氷の刃の強度も上がるわ!」


「それを早く言ってください!」


私は鍔迫り合いをやめるように相手を押し返すと、少しだけ意識を氷の刃に集中させ、強度を増すイメージをした。


「ほら、がら空きだよ!!」


パッシアさんに向かって盗賊が剣を突き刺そうとした瞬間、ガキンッと重く鈍い音がした。


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