3.お呼び出し
すみません、少し遅れました(´・ω・`)
やっぱり週2は結構厳しいですね…
慣れるまでは週1、可能なら週2でいこうと思います。ご容赦ください…
セリンさんに先導されて、私は試験を行なっていた所とは別の場所に連れて行かれた。
ソファーに掛ける様に言った後、セリンさんは何処かに行ってしまう。
え、結構やばい感じなんだろうか…
部屋は、床には高そうな絨毯が敷かれ、私が座っているソファーの前には机、その向こうにもソファーがあり、その先にはデスクが置かれている。どれも高そうだ。何というか、前世でいうところの理事長室とかそんな感じの部屋に見える。
という事は、これから学校の中でもかなり偉い人に合わされるという事で。
不安とプレッシャーで胃が痛くなってきた。
ノックの音が響き、続いて扉が開く音がする。そちらを向くと、背の高い金髪の女性、確か総試験官って言ってたメラリオさんと、若い銀髪の女の人、それにカイルさんが入って来た。え、なんでカイルさんまで?もしかして私を連れて来た責任とか、そういう…?
メラリオさんと女性が正面のソファー、カイルさんが私の隣に腰掛ける。私は緊張して目線が忙しなく動く。
「お前が、岩を破壊したガキか」
メラリオさんがこっちを見て言う。え、怖い。威圧感が凄い。更に胃が痛くなる。
「は、はい。えっと、あの、すみません」
しどろもどろになりつつも、何とか答える。
「メラリオ、怖がらせないの」
私の様子を見て、メラリオさんの隣に座った銀髪の女性が優しく助け舟を出してくれる。
綺麗な女性だ。恐らく腰にまで届く程に長い髪は綺麗な銀色で、真っ直ぐ下へと流れている。
顔にはまだ幼さが残っているが、優しげな目元と声音のせいもあってか、落ち着きのある雰囲気を漂わせている。
思わずじっと見てしまっていたのを気付いたのか、女性が口に微笑みを浮かべて話し始める。
「初めまして、シャリーサさん、だったかしら。お呼びたてしてごめんなさい。
別に何か怒ろうとか、そういうつもりはありません。安心して下さい」
浮かべる表情も、響く声音も雰囲気も、思わず安心する様な。一種の妖艶さすら感じさせる。
それを受けて、思わず緊張の糸を解く。それが見て取れたのか、微笑んで話を続ける。
「私はフローラ、この学園の学園長を務めさせて頂いています。よろしくお願いしますね」
…?
「学園長、ですか…?」
一瞬言っていることが理解出来なかった。
目の前のフローラさん、見た感じは10代後半、多く見積もっても20代半ばだろう。それが学園長…?
「フローラさんはエルフでな、俺が学生だった頃も学園長だったんだよ」
困惑していると、隣のカイルさんが説明してくれる。
エルフ。エルフ…。あまり知識は無いが、確か前世で長寿の種族として物語やゲームなんかに出て来ていた気がする。よく見ると、どこかの絵で見たエルフと同じくフローラさんの耳は普通の人の耳とは違って尖っているのが見て取れた。
「エルフを見るのは初めて?」
聞かれて、素直に頷く。この世界に来てから、ヒト以外の人種と出会った事がない。
「ヴェルとミレッタが言うには、シャリーサは生まれ育ったクレス以外に行った事がないらしい。あの町は小さいし、見たことがなくても不思議ではないでしょう」
「そうなのね。確かに王都なんかには出て来る様になったけれど、それでも故郷に残る人が殆どだものね」
いまいち理解が追いついていない私を置いて、カイルさんとフローラさんは会話を進める。
ところで、また一つ不可解な事が…
「あ、あの。父と母をご存知なのですか?」
カイルさんがお父さんとお母さんを知っているのはさておき、フローラさんも知っている風だった。不思議に思い聞くと、
「ええ、カイルも含めあなたのお父さんとお母さん、ヴェルラードとミレッタはここの卒業生ですもの。よく知っていますよ」
「あ、そうだったんですか…」
知らなかった。けどよく考えたら昔の事を両親に聞いた記憶もあまり無いし、おかしな事ではないか。
「話が逸れてしまいましたね。本題をお話しましょう」
話が途切れたタイミングで、フローラさんが切り出した。
「突然ですがシャリーサさん、少し立ってこちらに来て頂けますか?」
「?はい、分かりました」
言われた通りに立ち上がり、フローラさんの傍に移動する。
すると、フローラさんも少し屈んで。
「失礼します」
と言うと同時に、抱きつかれた。
…えっと、どういう状況?
突然フローラさんに抱きつかれた。私の顔の横には整った顔があり、目の前には銀の髪が揺れている。背には腕の感触があり、耳元では鼻息が聞こえる。何ならクンクン言ってる。
「え、あの、え?」
意味が分からずに困惑していると、暫くして離してくれた。
「フローラ様、お戯れはやめて下さい」
メラリオさんが呆れた様に言う。
「戯れなどではありません。分かっているでしょう?」
「あの、何だったんですか?」
また置いてきぼりの予感がしたので、割って質問する。
「シャリーサさんは、ギフトをご存知ですか?」
聞かれるが、またもや知らないため首を振る。
「ギフトというのは、数万人かそれ以下の確率で発現する特殊な力の事です。
極少ない人数しか発現せず、非常に強力な力が多いので神からの贈り物としてギフトと呼ばれています」
「フローラ様は五感のうち、嗅覚と触覚、聴覚によって対象の魔力量や魔力の流れが読める。
今のはお前の魔力を調べようとしたんだ」
フローラさんの説明をメラリオさんが引き継いで教えてくれる。
どうやら、岩を魔法で破壊した私の魔力を調べようとしたらしい。そういえば、魔法陣ごと砕け散ったから私の魔力は分かってなかったのか。
「ですが、抱きしめなくても手を触ったりすれば調べられるでしょう。まったく…」
「せっかく可愛い女の子がいて抱きしめる口実があるのに、それを見過ごす道理はないでしょう?」
咎めるようにメラリオさんは言うが、フローラさんはどこ吹く風。
それを本人の目の前で言ったら意味がないと思いますが…
「シャリーサさんは魔力量は普通の域ですが、声による魔力効率が非常に高いようですね」
「魔力効率?」
また分からない言葉が出てきたので、フローラさんに説明してもらう。
フローラさん曰く、魔法は思念波と魔力によって形成される。
まず思念波が放出され、それに従って魔力が集まり、命じられた通りの形となって魔法が形成されるらしい。
そして魔力を100使ったとして、全てが魔法に使われる訳ではないという。
例えば。前世の世界でいうと、電線を電気が通ると全ての電気が繋がった先で使われる訳ではなく、音や熱などのエネルギーとして消費されてしまう。それと同じだ。
ところで、思念波の代表的な放出方法の一つが声によるものらしい。
私は、その声による思念波の放出時における魔力の浪費が少ない(=魔力効率が高い)らしいのだ。
もしかして、自称神様が与えてくれた能力って、これの事なのだろうか?
「もしかしたら、シャリーサさんはアレを使えるかもしれませんね…」
説明を聞き終え、聞いた事を頭の中で必死に整理している中、小声で呟いたフローラさんの声が聞こえた。
気になったので声をかけようとしたが、直前にメラリオさんが話し始めてしまった為、聞きそびれる。
「フローラ様、それでコイツの処遇は如何なさいますか?」
「そうですね、この魔力効率ならセリンが創った岩を破壊出来たのも納得がいきます。
一級の所属としましょう」
言って、こちらを向き直る。
「それでは、シャリーサさん。
貴方の活躍を期待していますね。
カイル、シャリーサさんを教室まで案内して差し上げて」
その言葉でカイルさんに引き連れられ、部屋を後にした。
え、私、1級に合格したの…?
説明が多くなってしまった…
次は1級クラスに合流ですね
申し訳ないのですが、思ってた以上に週1〜2で上げるのが大変なので、暫く書き溜めていきたいと思います。
必ず帰ってくるぞ…ッ!