学園編~変色の貴族~
遅くなりましたぁ
自己満足小説ですが見てくださる方々に感謝を!
「ふん、まぁいいだろう白峰、お前の校内における魔術の使用を許可する」
どうやら桜月が魔術使用の許可を勝ち取ったようだ。少し得意げな桜月と対照的に楓ちゃんは相手にするのも面倒くさいといった顔をしていた。
「はいはい、ちゃっちゃと終わらせますよ」
そう言って、伯は意識を集中させる。
「求むるは清浄の天幕ーー白」
彼が詠唱を唱えると、そこには彼を中心に白い光が現れる。ニ、三秒後、光は汚れたプールへと吸い込まれてゆく。
すると、そこは新品と同様に綺麗になったプールがあった。
「魔力は、あらゆる物を変えることができる」
十年ほど前に発表されたこの論文が、魔術の革新的な進歩へとつながった。魔力とは、すなわち無意識的意識が産み出す『裏の』法則を扱うための力である。
魔法や魔術というと『四大元素』や『陰陽の性質』と呼ばれるものに置き換えられる。
むしろそれが一般的な考え方であり何百年と続いてきた。
だから『魔力をあらゆる物に変換できる者』というのは少数派だ。何故なら何百年と代を重ねてきた魔術師は家系によって得意不得意が出てきてしまうからだ。
極端に言うのであれば
『炎は水中でも消えない』
と考えていれば、
『魔法であれば水中でも火を扱える』
といった感じである。
それに、魔法と魔術にも大きな違いがある。この二つは似ているようで似ていないのだ。
魔術というのは、魔法陣や特定の動作を用いて魔術という現象を創り出す。そのため、使用する魔力が少なく様々な分野の魔術を扱える。
一方で魔法というのは、『その人に予めある才能の属性を使うことに特化している』。本来なら必要な魔法陣等のプロセスを挟まずに比較的難易度の高い魔法を使うといった事ができるのだ。
そうなると、どちらにもメリットがありデメリットが生じていまう様に思えてくるだろう。だからこそ、現代の魔術師は魔術演算媒体『グリモワール』と呼ばれる物を開発した。
『グリモワール』とは、本来必要な魔法陣や魔法を使ううえで必用となるプロセスをインプットしておくことで、大幅に魔術・魔法の発動の短縮を可能にした次世代型の媒体系魔導書なのである。
科学者たちとの冷戦が続く中、『グリモワール』を使おうとする大人が少ないために、十代の魔術師の使用率が極めて高い。所謂スマホのようなものだ。
「伯爵ぅ〜お掃除お疲れ様。いやーいつ見ても伯爵の魔術は綺麗だよねぇ〜魔力の循環にも無駄が無いし」
「まあな、一応コントロールには自信があるんだ。このくらいはな」
「出来ない人が多いから凄いって言ってるのに……伯爵なんだからもっと民のことを気づかってよね」
「いや、伯爵ってお前らが言ってるだけじゃねぇか!」
しかも民って……と口に漏らしながら伯は、デッキブラシを片手に一人空を仰ぎつつもどうにか掃除を終えたのであった。
なお、桜月は担任である藤原楓からの罰則であるプール掃除をサボったとの容疑で職員室へ連行された。
祝え!第2話の連載を!
まさに投稿の瞬間である、