パーティー集結
アキトは……魔王の前で膝を折っていた。
もう仲間は居ない。
――くそっ、ここまで来て……。
激しい戦闘があった訳ではない。
走り続けてきた膝が、ついに言うことを聞かなくなったのだ。
そんなアキトに魔王が語りかける。
「勇者よ。もしワシの味方になれば世界の半分をお前にやろう」
「ふざけるな!誰がお前なんかの見方になるものか!」
体はボロボロだったが心までは折れていなかった。
「フッ、勇者とはそうでなくてはな。では存分に戦おうぞ!」
魔王が杖を掲げ巨大な火の玉を召喚する。
そしてそれを放とうとしたその時……。
「ふむ。まだ客人がおったようじゃの」
入り口から人影が転がり込んできた。
「アキト!無事か!」
闘士ホーストだった。どうやらあの死地を抜けてきたらしい。
「僕もいるよ」
後ろから狩人ロビンも入ってきた。
「……そいつが魔王か……」
剣聖コジロウが影から姿を表した。
「年寄りにはちと酷じゃったのう」
賢者マーリーンまでいる。
アキトは叫んだ。
「みんな!無事だったのか!」
それぞれに傷ついていたり、表に出していなくても満身創痍だったりするのだろうが、みんなは笑顔で頷いた。
「こいつで終わりか!」
「そうらしいね」
「……切り捨てる……」
「ではやるとするかのう」
今みんなの心は一つだ。
アキトは一度だけうなずくと号令をかけた。
「行くぞ!」
オォォォォ!!
ついに最終決戦の幕が開けた。