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魔王軍親衛隊

 アキトと闘士ホーストは、魔王城の前で魔王軍親衛部隊と相対していた。

 旅を始めた頃には四人いた仲間は、もうホーストしか残っていなかった。

 対する魔王軍親衛部隊は百を超える数がいる。

 ――突破できるか?……いや出来るかじゃない。突破するんだ!

 怖気づきそうになる心をなんとか奮い立たせる。

 するとホーストがアキトに耳打ちした。

 「ここでまともにやりあっても勝ち目は薄いだろう。オレが血路を切り開くからお前は魔王城に飛び込め」

 驚きホーストを見つめると、それ以外にはないとでもいうように重く頷いた。

 ――覚悟を決める時かもしれない。

 軽く深呼吸をした後、アキトもホーストに対して頷くのだった。

 そして……ホーストは走りだした。

 アキトもそのすぐ後ろに続く。

 目の前には山羊の頭に悪魔の羽を持った悪魔が立ちはだかった。

 「我が名はバフォメット。魔王軍親衛部隊隊長だ。かかってくるがいい」

 バフォメットは暗黒の球を無数に召喚する。

 そして「オーバーデス」と呟くと、両手を突き出す。

 それと同時に二人に暗黒の球が無数に襲いかかる。

 ……バババババババババババババババババババッ!…………。

 アキトは盾を前に出しそれを防ごうとしたが、前を走っていたホーストが全ての暗黒の球を左手一本で叩き落としていた。

 そしてバフォメットに肉薄すると、強烈なワンツーからローキックを放つ。

 「アイ・アム・フォータイムスチャンピオン!!」

 バキッっという激しい音とともにバフォメットの左足が叩き折れた。

 周囲の悪魔の動きが一瞬止まる。

 その時ホーストが叫んだ。

 「アキト!行くんだ!!」

 

 アキトは魔王城に飛び込んでいった。



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