日常と非日常へのプロローグ
次元の扉
その扉は、何処にでも存在する。
その扉は、どんな世界にも存在する。
その扉は、選ばれた者以外は見ることも、触れることもできない。
そして、その扉の先には…
日本某所
彼の名前は月潮 優
長かった高校受験を終え、高校入学を前日に控えた15歳の少年だ。
まだ幼さを残す顔立ちに、165㎝ほどの男にしては小柄な部類の少年だ。
今日は、彼の幼馴染達と町へ買い物に出ている。
彼女の名前は瀧 春華
月潮優の幼馴染、優と同じ高校を受験し合格した少女。
運動全般が好きで活発な元気娘、ショートの髪と人懐っこい顔つきの少女だ。
今日は、幼馴染二人と買い物に来ている。
彼女の名前は宵乃宮 雫
月潮優の幼馴染、優と同じ高校を受験し合格した少女。
ストレートの長い髪、見るものにお淑やかな印象を抱かせる雰囲気を持つ少女だ。
今日は、優と春華と共に買い物にきている。
この三人は幼少時からの付き合いで、本日は受験勉強を手伝ってくれた二人の幼馴染に、優からのお礼を兼ねた買い物である。
某ショッピングモール
雫「ねえ優君、今日は何を買う予定なんですか?」
優「ん~、俺的には二人に受験勉強のお礼に、お昼と何かプレゼントしようと思ってるんだけど」
雫「そんな、お気持ちだけで大丈夫ですよ?」
優「いやいや、二人が助けてくれなかったら、マジで落ちてたと思うからさ、受け取ってほしいな」
春華「そうだよ雫、優がそんな事言うなんて滅多にないんだから!、私はもう買ってもらうの決めてるよ」
優「いや、春は少し遠慮しろよ… 数学を教えてくれたのは助かったけど」
春華「でしょ!!だから今日は、頑張った私に優がプレゼントしてくれるわけよ!」
優「春も数学以外、雫に教えてもらってたじゃねぇか!」
春華「全教科絶望的だった優のよりマシですぅー」
雫「まぁまぁ二人共、私は自分の復習にもなったし、一人も二人も変わらないよ」
優&春華「うっ!笑顔でグサッと言ってくるな(わね)」
雫「え?」
優&春華「いや、なんでもない(よ)」
春華「それよりお昼は何処にするの?」
優「お昼は奢るけど、そこまで高いとこは勘弁な」
春華「わかってるって、優の月のお小遣いは五千円でしょ?、おばさんに頼み込んで三か月分前借してるとして、一万五千円かぁ」
優「なんで前借してる事まで知ってんだよ!」
春華「私に優の事でわからない事なんてないのだよ!さて私の分は昼食込みで七千五百円かぁ」
優「えっ?ちょっと待って!?俺の飯代は?」
春華「多少贅沢しても大丈夫そうよねぇ」
優「あのぉ…聞いてる?俺の分は…?ねぇ…ちょっと…」
春華「雫は何食べたい?」
雫「私はなんでもいいですよ、春ちゃんにおまかせします」
優「あのぉすいません…私の話は聞いてもらえます…?」
春華「んじゃファミレスでいっか、この近くにあるっけ?」
雫「この先に右に行くとあったはずですよー」
春華「んじゃいこっか!」
優「ちょっと待てええええええぇえぇ、俺を無視して置いてくなああああ」
春華「優置いてくよー、優が出すんだから早くしてよねー!」
雫「うふふ、優君行きましょうか」
優「俺…なんで事になったんだろう…」
春華「優が勉強できないお馬鹿さんだからじゃない?」
優「お前にだけは言われたくねええぇぇ!!」
某ファミレス
優「で?、春は何が欲しいんだ?」
優は自分のハンバーグプレートを食べながら春華に問いかける。
優の必死の懇願により、一人七千円までに抑えることに成功したのである。
春華「私はアクセサリーがほしいの、物は優が選んでね!」
優「ん?もう決まってるんじゃないのか?」
春華「買ってもらうのはアクセサリーに決まってるよ?、ただ選んで貰うのは優にお願いするの」
雫「じゃあ私も優君にお願いしてもいいかな?」
優「雫も!?うーん…」
雫「私のは選びたくないですか…?」
優「いや、そんなことはないよ、ただ何にするか悩んでたんだ」
春華「ふふ、これは優のセンスが問われる所だね」
優「プレッシャーかけんなよ」
雫「うふふ、優君頑張ってください」
優「雫まで…じゃあとりあえず、ショップに行って見てみようか」
春華&雫「そうね(そうですね)」
某アクセサリーショップ
春華「優ー、決まったー?」
優「悪い、もう少し待ってくれ」
春華「男ならスパッと決めなよー」
優「いや、アクセサリー自体にこんなに種類があるとは思わなくて…」
雫「春ちゃん、優君を焦らせちゃダメだよぉ」
春華「でも店に入ってもう一時間だよ?」
雫「優君が私達のために、一生懸命選んでくれてるんだから」
春華「むぅ」
優は店員に色々話を聞きつつ、品物を吟味している。
優「決めた!ちょっと買ってくる」
雫「決まったみたいだねぇ」
春華「ドン引きするようなの買ってこなきゃいいけど」
雫「店員さんに話を聞いてたから、そこまで酷いのは買ってこないんじゃないかな?」
春華「雫…あんた以外に酷い事サラッと言うわよね?」
雫「えっ?」
清算を終えたらしく、優がこちらに走ってくる。
優「悪いな、だいぶ待たせちまって」
雫「いえ、一生懸命選んでいただいてうれしいです」
春華「さてさて、どんなゲテモノを選んできたのやら」
優「なんで俺が、ゲテモノしか選ばないことになってんだよ!」
春華「優のセンスを私は疑ってないからね!」
優「それは俺がセンスの欠片もないって、遠回しを通り越して直接言ってるよね!?」
雫「春ちゃん…例え普段、優君が豹柄のブリーフを愛用してるからって、そんなこといっちゃダメだよ」
優「なんで俺のパンツの種類と柄を知ってんの!?しかも豹柄のブリーフがダサいって事!?」
春華「豹柄のブリーフがダサいんじゃないよ!それを穿いてる優がダサいんだよ!!」
優「なんで俺全否定!?」
優はorzの体勢になりショックを受けてるようだ。
優(えっ?俺ってダサいの?存在否定されるくらいなの?豹柄ってダメなの?)
春華「そんな事よりさ」
優「俺ってそんな事なの!?」
春華「もう、いつまでもウジウジしない!!それより選んでくれたプレゼント頂戴」
雫「そうですね、私も早く見たいです」
優「二人で俺をボコボコにしておいて、物品要求!?」
春華&雫「くれないの?(いただけないのですか?)」
優「いえ…、どうぞこちらです…」
優は春華に赤い袋を、雫の青い袋を手渡した。
二人は貰うと同時に袋を開け中身を確認する。
赤い袋にはアルファベットネックレス、青い袋にはアルファベットブレスレットが入っていた。
ネックレスにはHTと、ブレスレットにはSYと、二人のイニシャルが入っていた。
春華「……アルファベットネックレスなのはいい、これってカップルとかが互いのイニシャルを入れるもんじゃないの?」
優「え?そうなの?店員さんに聞いたら、自分のイニシャル入れる人もいるから大丈夫って言ってたけど…」
雫「男の子が女の子に送るのなら、互いのイニシャルを入れていただいたほうがよろしいかと」
優「そうだったのか…、あっ!でもさ、俺のイニシャルなら両方入ってるぞ」
春華&雫「え?」
優「春のほうには、月潮のT、雫のほうには、優のY、両方に俺の名字か名前が入ってるぜ」
春華&雫「………」
春華&雫(これどう思う?狙ってやったと思う?)
春華&雫(優君に限ってそれはないかと、店員さんが配慮してくれた可能性のほうがまだ高いと思います)
優「やっぱり気に入らなかったか…?ごめんな、お店に返品してくるよ」
春華&雫「これでいいわ!(いいですわ!)」
優「えっ?」
春華「優が私の為に選んでくれたんだし、私はこれがいいわ」
優「いやでも…」
雫「そうですね、私も優君の選んでくれたこれがいいです」
優「…わかった、気に入ってくれたならうれしいよ」
春華「ありがとう、優、大切にするね」
雫「私も、ありがとうございます、大切にしますね、優君」
某所 宵乃宮邸前
雫「今日はありがとうございました、こんな素敵なプレゼントまで貰って、今日はとても楽しい一日でした」
優「そう言ってもらえると僕もうれしいな」
春華「優、鼻の下伸びてるよ?ついでに鼻毛も伸びてるよ?そりゃもうとんでない量飛び出てるよ?」
優「飛び出てねぇよ!鼻毛カッターでちゃんとお手入れしてるよ!」
春華「うわぁ…盛大にカミングアウトされて、私ドン引きだよ…」
優「お前のせいだろおおおおおおおおおぉぉ」
雫「うふふ、二人とも仲がいいですねぇ」
優&春華「どこがっ!?」
三人がそんな話をしていると、一枚の紙が優の前に落ちてきた。
優「ん?なんだこれ?」
優は紙を拾い上げる。
雫「優君?どうしたんですか?」
優「いや、紙が落ちてきてさ」
優は紙を持った手を前に出し、彼女達に見せる。
雫「紙なんて何処にもないですよ?」
優「え?今手に持ってるよ?」
春華「何言ってんのよ、何も持ってないじゃない」
優「はぁ?何言ってんだよ!?ちゃんと持ってるぞ」
春華「いやぁ、持ってないじゃん、何?私達をからかってんの?」
優「ちゃんと持ってるんだって!!、それになんか書いてあるし」
春華「じゃあなんて書いてあるのよ?」
優はその紙を広げ、書いてある文字を読み上げる。
これを手に取った者よ。
この手紙は次元の扉に選ばれた者のみ見る事触れる事ができる。
次元の扉に選ばれた者は選択する権利がある。
次元の扉の先に行くか、行かないか。
次元の扉の先には、君のいる世界では一生かけても味わえない、様々な出会い、不思議、そして、世界の現実を知れるであろう。
優「だってさ」
春華「はぁ?なにそれ?宗教案内?」
雫「私達には見えませんが、その紙にはそう書かれてるんですか?」
優「あぁ、待って、続きがある」
もし行くことに決めたのなら、次元の扉を開けるがいい。
もし行かないのであれば、その紙はそのまま捨てるがいい。
次元の扉は君のすぐそばにある。
優は手紙から顔を上げ、彼女達を見る。
すると、彼女達の後ろに見たことのない巨大な扉があった。
両開きのその扉は二メートル以上の大きさで、扉には見たことない奇妙な文字が描かれていた。
優「なんだこれ…」
春華「優?どうしたの?」
優「二人の後ろに巨大な扉がある」
二人が後ろを振り返る。
雫「扉なんてありませんよ?」
春華「なんにもないじゃん!、まだ私達をからかいたいの?いい加減にしないと怒るよ?」
優「からかってるんじゃない!!、見えないのか!?こんな大きな扉だぞ!?」
優は扉に近づき扉に触れる。
そして扉は開かれる。
優「えっ?うわぁぁ!!」
扉が開かれた瞬間大きな光が周囲を包む。
春華「きゃ!?眩しい、何これ?ドッキリ!?」
雫「眩しい!、なんですかこれ?優君、悪戯なら起こりますよ?」
そして扉は閉じられ、そこには二人の少女が残された。
春華「もう!!優!!ってあれ?優?何処か隠れたの?」
雫も光が消え周囲を見る。
雫「優君?何処にいったんですか?」
春華「隠れてないで出てきなさいよー!」
春華が周囲を探し始める。
雫「春ちゃん、ここらへんに隠れられる場所なんてありませんよ?」
宵乃宮邸前は広く舗装された道で、周囲は高い塀で囲まれ人が隠れられる場所などない。
雫「私達が目を瞑ってた数秒間で隠れるのは不可能なんじゃ?」
春華「じゃあ優は何処にいったのよーーーーー!?」