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決意

皆さん初めまして。おかゆと申します。


感想でご指摘を頂きまして、これからはもう少し1話ごとの内容を充実させていきたいと考えています。それにあたり書き溜めてから投稿する形になるかと思います。投稿ペースは落ちると思いますが今後も読んで頂けると嬉しいです。


ご理解とご協力の程よろしくお願い致します。

「・・・元の世界に帰る方法はあるんでしょうか?」



”女”の異世界人である桜夜は自分がセレスティアの民にとって嫌悪される存在であるということにショックを抱きつつ一番聞きたかった質問をしてみる。



マーリンはそれを聞くと、表情を曇らせ申し訳なさそうに「すまない。分からないんだ」と返答する。


「そう・・・ですか」



もう家に家に帰れないのか。桜夜はその事実を聞いて涙が込み上げてきそうになる・・・。








すると桜夜の様子を見ていたマーリンは


「ッッッ!?サクヤさん!実は手がかりは無い訳じゃないんだ。ごめんね不安にさせるようなこと言って・・・」


と慌てるように言葉を挟んだ。マーリンの素が出たのか先ほどまでの丁寧な口調とは異なり、より砕けたものとなっていた。呼び方もサクヤ・クドウからサクヤさんになっている。だがその言葉の端々には桜夜に対する優しさと心から心配している様子が見て取れる。



意気消沈しそうになっていた桜夜であったが、落ち着いた大人の印象であったマーリンさんの慌てぶりと桜夜を気にかけてくれる優しさに思わず顔がほころぶ。


「フフフ・・・すみません。ちょっと家が恋しくなってしまったけどもう大丈夫です!さっそくですけがマーリンさんの言う教えてください!」


マーリンはさっきまで泣きそうな様子だったのに急に元気になった桜夜を見て少し驚きつつも安堵する。



そして再び話を再開した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


マーリンが言っていた手がかりというのは英雄となった後の異世界人の足取りである。


大抵の者はセレスティアに住み着き、魔法学校を設立や未開の地を開墾、異世界の技術の伝承などを行ったという。


しかし、中にはある日忽然と姿を消し噂も聞かなくなった者、居なくなったと思ったら数年後突然姿を現した者も居たという。それだけを聞けばある日ふらっと旅に出ていき、気が向いて帰ってきた者もいたのであろうと普通なら思われるのだが・・・


「ある日同様に消えた異世界人の英雄を名を語る者が現われたんだけど・・・その異世界人が本物だとすると姿を消してから500年以上生き続けていたことになるんだ。」


確かにセレスティアには数百年も生きるエルフなど長寿な種族が存在する。しかし、優れた力を持つ異世界人と言えども寿命はヒューマンと同様で生きながらえても約100年。

魔法に精通し、達人と呼ばれる実力があれば寿命の約2倍を生きる可能性もあるそうだが、英雄を名乗る本人の容姿はどうみても50歳に満たなかったという。



そこでマーリンは自分が考えた2つの仮説を桜夜に話した。


1つ目は異世界人が忽然と消えたのは何らかの魔法を使い元の世界に帰還したからではないかということ。


歴史上、忽然と姿を消した異世界人のほとんどは魔法の知識に精通し高い魔力を持っていたという。500年後現われたという異世界人もセレスティアの歴史上1、2を争うほどの魔法の使い手であったことから、元いた世界とセレスティアを行き来する何らかの魔法を編み出したのではないかと考えたからである。


2つ目は元の世界とセレスティアとでは時間の流れが異なるのではないかということ。


これは500年生き続けたにしては若すぎる異世界人の肉体である。いくら魔法に精通していようとこれは異常であり、長寿であるエルフ族が魔法を極めに極めやっと同じ年月の間でも肉体を維持できるかというレベルであるからである。


桜夜はマーリンの仮設を聞き、

「それじゃあ元の世界に戻る方法は今は分からないけど可能性はあり、時間の進み方は元の世界の方がずっと遅いから時間はあるということですか?」


「もし私の仮説が合っていればだけどね。おそらく時間の進み方はセレスティアの方が桜夜さんの世界よりも10倍くらい早いと思うよ」


マーリンが立てた2つの仮説は桜夜にとって朗報であった。


家に帰りたいと思う気持ちも勿論あるのだが、


今年こそ団体で全国制覇を狙う剣道部、監督に叱咤されながらもめげずプロを目指し実直に技術を磨くサッカー部、1年のとき怪我をしたものの懸命に治療とリハビリに耐え今年エースに返り咲いた野球部、桜夜が止めるにも関わらず毎回生真面目に倒れるくらいまで練習を続ける柔道部、桜夜が1年生のとき新設され設備が整わない中で今年やっと大会デビューを果たしたバレーボール部、他にもバスケットボール部、水泳部、テニス部、陸上部、ダンス部・・・etc



運動部の兼任マネージャーをやっている桜夜としては毎日毎日練習を頑張っている部員のためにも一刻も早く帰り力になりたいという気持ちの方が強かった。


帰る方法はまだ分からないが1年こちらの世界にいたとしても365日÷10=36日で1ヶ月程度しか経過しないことになる。こちらで多少時間が掛かってでも桜夜はこのセレスティアで元の世界に帰るための方法を探すことを決意し、その旨をマーリンに伝えた。


「分かった。私もできる限り協力しよう。改めてよろしくね桜夜さん」


といって手を差し伸べる。


桜夜はマーリンの願っても無い申し出に「これ以上迷惑をかけるわけには・・・」と言葉を出そうとするがこの世界において現在マーリンしか頼れる相手がいないのも事実、


「・・・ありがとうございます。よろしくお願いします」


マーリンの申し出をありがたく受けることにした桜夜はマーリンの手を握り握手した。


マーリンの手は温かくその温もりにほっとする桜夜であった。


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