先輩たちの悪名
「えっ・・・・!?」
マーリンは異世界人である桜夜の性別に問題があると指摘するが、桜夜はその意味が分からなかったため思わず驚きの声を上げる。
そしてマーリンはその理由を語り始める。
先ほど異世界人はセレスティアの人たちには英雄視されており、尊敬されているといった。しかし、それは正確では無い。
正しくはセレスティアで尊敬されているのは”男”の異世界人であり、”女”の異世界人は尊敬されていない
・・・・・いや、はっきり言うと嫌われている。
というのも歴史上”女”の異世界人も何人かセレスティアにやって来ている。”男”の異世界人と同じようにタイプは違えどそれぞれ優れた力を持っており、実際に魔王を退けたという。
しかし、魔王を退けた後も世界に平和は訪れなかった。
英雄となった”女”の異世界人はセレスティアの民に感謝され調子に乗り・・・増長した。
しかも取り返しのつかない程に・・・
ある者は性欲を満たすために女の魅力と英雄の立場を武器に世界中の男を虜にし、
ある者は自分の優れた予知能力を餌にセレスティアの民を騙し世界の支配者になろうと企て、
ある者は無理難題の我侭を言い、国家の財産を浪費した結果セレスティアの民の生活を困窮させた・・・。
この者たちは最終的に民に嫌われ国を追放されたり、処刑されたらしい・・・
セレスティアの長い歴史上には”女”の異世界人でもセレスティアの平和のために努力した人も存在するのだが一部の者の悪名が影響し”女”の異世界人=悪い奴と英雄伝と同様に語り継がれてしまっているらしい・・・。
「これが君のこの世界における性別の問題だよ。」
そこまで話した後、フーと息を吐いたマーリンはテーブル上に準備していたお茶を飲んで一服する。
桜夜もマーリンに釣られて同様にお茶を飲むが、
(オイ先輩!この世界で何やってくれちゃってるんですか~~~!)
・・・心の中で悲痛な叫びを上げていた。