第29章:宿命への諦念(第3部)
I. 蝕まれた太陽
各勢力の生存者たちは、預言者たちが死闘を繰り広げる中、リヴァイアサンと死の樹の魔手から逃げ延びていた。 そこを支配していたのは、完全なる闇だった。
あの忌まわしき暗黒の樹が、太陽を覆い隠してしまったのだ。リヴァイアサンの全域は、**『暗黒のユグドラシル』**の巨大な枝によって遮られ、光を失った。 リヴァイアサンは一歩、また一歩と、呪われた地へと変貌を遂げていく。
それでも生存者たちは海岸へと逃げついた。そこからでも、あの巨大な暗黒の樹を仰ぎ見ることができた。樹は止まることなく成長を続け、枝は私たちの頭上にまで伸びていたが、今はまだ、その影の境界線に留まっている。
私たちが辿り着いたのは、リヴァイアサンの外縁にある、捨てられた古い村の残骸だった。それは明らかに、リヴァイアサンが築かれるよりも遥か昔の、非常に古い集落だった。村の面影はほとんどなく、残されているのは「ほぼ化石化」した古代の遺跡ばかりだった。
II. 敗北者たちの集い
狂信者、剣士、兵士、土竜……。 各勢力のわずかな生き残りたちが、この地に逃げ込んでいた。 誰もが、深いトラウマに打ちひしがれていた。
かつて敵対していた勢力同士の間に、もはや争いの火種はなかった。 風の音と波の音だけが周囲に満ち、その中に奇妙な安らぎの旋律が紛れ込む。それは、嵐の前の静けさ、あるいは終わりの始まりだった。
一体、誰があの魔王を止めるというのか。 誰があの死の樹を止めるというのか。
生存者たちは、ただ座り込める場所を探して力なく倒れ込んだ。希望は彼らの肉体と同じく、動くことのない死体のように冷え切っていた。麻痺させるような恐怖が、彼らの心を縛り付けていた。
III. 沈黙の対話
私は、一人の狂信者に声をかけた。 「これは、我々の無知と無関心が招いた代償なのだ……」 彼は頭を抱え、絶望に震えていた。
光の剣士は、こう語った。 「あの根を、剣で、炎で、あるいは聖歌や祈りで浄化しようと試みた。だが、どれも通用しなかった……。おそらく、神は我々を忘れてしまったのだ」
土竜一族の老女は、震える声で呟いた。 「あの子は、二度と戻らなかった。行かせるべきではなかったのに……」 彼女は深い痛みに満ちた沈黙に落ち、二度と言葉を発することはなかった。
重装兵の一人は、怒りと絶望を滲ませた。 「水も、土も、空気も毒された。何であろうと、あの樹は破壊されなければならない」
別の狂信者が近づき、力なく首を振った。 「……無理だ。我々はあの『雷神』を解き放った。彼は、死の樹の傍ら、朽ちた玉座に座るあの怪物に誇り高く立ち向かった。それでも、勝てなかったのだ……」 「誰かがあの闇の存在と対話し、慈悲を乞わねばならない。それができるなら、たとえ跪いてでも……」
IV. 偽りの静寂
風と波の音。見せかけの平穏は、この陰惨な瞬間を覆い隠す欺瞞に過ぎなかった。
「勝てるはずがない……」 一人の男が、剣の柄を握る手を震わせながら呟いた。彼は今にも剣を抜きそうなほどに力を込めていたが、結局抜くことはなかった。その背中には、やり場のない苛立ちだけが漂っていた。
風と波の音、安らぎの旋律。
諦念と、静寂。
風と波……そして、その間に紛れ込む、どこか懐かしく、そして不気味なメロディ。
今日の更新はこれで一旦おしまいです。でも、ご安心を。
今夜19時(午後7時)に、再び新しいチャプターを公開します!
このエピソードで一つの大きな区切りがつきましたが、ここからさらに怒涛の新展開が始まります。準備はいいですか?
……それと、最後にこれだけは言わせてください。
「ええ、私も紅の預言者が大嫌いです」
では、また後ほど!
またね!




