第26章:聖火の消沈(第3部)
【作者からの熱いメッセージ:読者の野郎共へ!】
本来ならもっと後に公開する予定だったチャプターを、ここで一気に解禁することにした。
少し前、読者数の数字がガタ落ちして絶望の淵に沈みかけたが……そんなもん知るか!
:D
ハハハハハ!!
俺は船長だ! そして良い船長ってのはな、たとえ船ごと沈もうが何だろうが、辿り着くべき場所へ辿り着くもんなんだよ!!
ハッ! ハッ! ハッ!!
このチャプターの後に、さらに数話を一気に投下する。紅の預言者との最初の決戦に終止符を打つためにな。
「物語はまだまだ続く。心配すんじゃねえぞ!」
野郎共、行くぞ!!
無事に港へ辿り着くか、あるいは海の底まで沈みきるか……どちらにせよ、目的地に到達するまで全速前進だッ!!
ハ!ハ!ハ!!
いつも読んでくれている、およそ10人のコアな読者たち。お前らには心の底から感謝している。
お前らはまさに……**「ダークソウル(Dark Souls)」**な読者だ。 最高にタフで、最高にクールな連中だよ。
幸運を! このサプライズ更新を存分に楽しんでくれ!
「信じてくれ。俺は今、心の底から書くことを楽しんでいる!」
I. 四大元素の強襲
広場は、神の如き規模の混沌へと爆発した。 シーザーが放つ雷光は天を穿ち、アンキロスは地そのものが陥没するまで重力を増大させる。クリスタルは街全体に水晶の鎖を張り巡らせ、紅の預言者の操る死の軍勢を力強く抑え込んでいた。
その中心に君臨するのは、ヤナ。彼女はこの悪夢の中に輝く太陽だった。 「喰らいな、腐れ植物共ッ!! 神様直々のバーベキューの時間だッ!!」
ヤナに手加減という文字はない。その瞳は二つの溶岩の淵と化していた。彼女が腕を広げると、紅の預言者を取り囲むように白熱の渦――**『全域焼却』**が荒れ狂った。凄まじい熱量にアスファルトは気化し、巨樹の根は苦悶するようにのたうち回る。
「……黙れッ!!」
紅の預言者が咆哮した。 その背が異様に変形し、巨大な翼が突き出す。それと同時に預言者の手も変質を遂げ、巨大な剣が芽吹いた。預言者は片足を高く上げ、大地へと力任せに踏み下ろした。その言葉が戦場全域に響き渡る。
「終焉――ッ!!」
足が地に触れた瞬間、地殻そのものが崩壊した。大地は砕け、巨大な亀裂がビルを次々と飲み込んでいく。崩落した地面からは数千の根が噴き出し、そこから巨大で致命的な黒虫の群れが溢れ出した。 絶え間ない大地震と崩落により、クリスタルの鎖は引き千切られた。保たれていた相対的な支配は、音を立てて崩れ去る。 預言者たちは窮地に陥った。異形の獣、うごめく根、そして生物学的感染の濁流が彼らを飲み込まんと押し寄せ、限界を超えた飽和状態に達する。 宙に浮くリヴァイアサンさえも、沈み始めていた。
II. 弾丸の如き追撃
紅の預言者は巨大な翼を羽ばたかせ、空を切り裂く弾丸となってヤナへと肉薄した。瞬きする間もない神速。 ヤナの槍と預言者の大剣が激突し、火花を散らす猛攻と武器の応酬が繰り広げられる。ヤナの炎は一時的に預言者の肉を焼き溶かすが、奴は死なない。剥き出しの腐った心臓を晒しながら、預言者は戦術を切り替えた。 猛烈な速度で空中を旋回し、蓄積した凄まじい慣性を翼の力でヤナへと叩きつける。
「全慣性、転移」
衝撃を受けたヤナは、墜落する航空機の如き勢いでビル群や高速道路の残骸へと激突した。そこへ巨樹の昆虫群が瞬時に群がる。ヤナは再起を試みるが、群がる怪物どもの重圧を振り払うことができない。
三十三体の『朽ちた木の巨人』の一体が、止めを刺そうと迫る。だが、憤怒に染まったヤナは、180度の弧を描く炎の鞭を振るい、纏わりつく虫どもを一掃した。それでも、巨人は彼女を逃がそうとはしなかった。
ヤナは炎で巨人を焼き溶かした。真っ二つに両断し、勝利を確信して紅の預言者へ向かおうとしたその刹那、死んだはずの巨人の一撃が彼女を再び地面へと叩き伏せた。 巨人の掌に押し潰されながら、ヤナは硬直した姿勢のまま限界まで抗い、その手を焼き尽くそうとする。だが、巨人の体は即座に再生し、彼女を絶望的な窮地へと追い詰めていった。
III. 絶望の連鎖
アンキロスが紅の預言者を重力で引きずり下ろした。 預言者は、そのままアンキロスの真上へと墜落する。慣性の爆発がアンキロスを地に沈めた。 立ち上がろうとするアンキロスの頭上には、預言者の剣が突きつけられていた。首筋に滴る剣の冷気。アンキロスが見上げた先には、預言者の冷徹な蔑みが宿っていた。
そこへジューンが全雷力を注ぎ込み、預言者の体を焼き溶かす。だが、破壊された肉体は破壊されるそばから元の形へと再生していく。紅の預言者は自身の細胞構成を再プログラミングし、自身の数倍の大きさを持つ複雑怪奇な「超兵器」へとその身を変貌させた。
自身の細胞を用いて即席で作られたその兵器が急速に充填され、周囲の視界を白く染め上げる。 狙いは、ジューン。彼女の瞳に、己の死が映し出された。 そこへ狼の姿をしたアルテミスが介入し、預言者の腕を強引に逸らした。
クリスタルは押し寄せる怪物の群れを抑えきれず、飽和状態に陥っていた。ヤナは巨人の手の下で圧殺されかけている。 光さえも飲み込む「闇の雷」が天を二つに割った。ジューンは間一髪でその直撃を免れる。
預言者は闇の砲身を再び異形の手へと変え、アルテミスの首を掴んで地面へと叩きつけた。彼女を宙に吊り上げたまま、預言者は左腕を変形させる。肘から先が千の列車の推進力を宿した「武装プロペラ」へと成り果て、アルテミスを粉砕せんとうなりを上げる。
遠くからその光景を見たクリスタルは力を振り絞り、繋ぎ止めていた獣たちを解き放ってすべての魔力を預言者へと向けた。水晶の鎖が預言者の両腕を縛り上げ、一時的にその動きを封じる。 だが、預言者の右腕の勢いは衰えない。左腕も、その暴虐な力を解き放とうと震えている。
アンキロスが最後の手を打った。渾身の重力パルスを放ち、紅の預言者の腹部を完全に抉り開ける。再生が追いつかず、ぶちまけられた内臓を拾う者は誰もいない。
『轟音と共に(WITH A THUNDEROUS HIT)』 『繋ぎ止める鎖を断ち切る(I BREAK THE CHAINS THAT BIND)!!』
預言者の叫びと共に、鎖は一本、また一本と砕け散った。全預言者が集結しても、紅の預言者を止めることは叶わなかった。 彼の一撃が、遠くの花々を白く染め上げる。道路は崩落し、ビルも倒壊した。アルテミスは自らの終焉を覚悟する。 だが、離れた場所にいたヤナは、このままでは終わらせないと決意していた。
彼女は巨人の拘束を振り切るため、全憤怒を燃やし尽くした。光速に近い踏み込みで、紅の預言者の腕へと到達する。
IV. 聖火の消滅
ヤナの両手が炎を纏い、預言者の一撃を逸らし、切り裂こうとする。だが、千トンの質量を持つ預言者の腕は、一ミリたりとも揺るがない。完璧に狙い澄まされた一撃。
赤、青、黒。鮮やかな花々が根こそぎ吹き飛び、汚染された空気に一瞬の清浄が訪れる。 あらゆる声を飲み込む、無音の衝撃。天が完全に開き、視界がクリアになった。 巨樹の梢は砕け、大地は傾く。凄まじい衝撃波が全員を弾き飛ばした。
「……ヤナが、貫かれた」
空の深淵でブラックホールが崩壊し、真空がわずかな間だけ引き裂かれた。現実そのものが揺らいでいた。 アルテミス、アンキロス、クリスタル、ジューン、そして意識を失ったシーザーが四方八方へと投げ出される。
だが、ヤナの心臓は完全に貫かれていた。衝撃があまりに巨大すぎて、慣性すら伝わらないほどの一撃。ヤナの体は「無慣性」のまま、ただ宙に浮いていた。 開いた胸、内側から溶けゆく感覚。彼女の灯火は、ゆっくりと、確実に萎んでいった。
「いや……いやだ……」 「クリスタル……アルテミス……助けて……」
蒸発した涙が宙を舞う。 預言者の歪んだ腕が、ヤナの心臓を貫いたまま固定されている。 預言者の震える右腕は、あまりの力に震動していた。
紅の預言者は沈黙のまま、前例のない冷徹さで、心臓を抉り抜いたヤナを高く掲げた。瀕死の彼女の頭上で、月光が真紅に染まっていく。
「……誰も、救われぬ」預言者が吐き捨てる。「我が朽ちた玉座の前で……誰も救われはしない」
ヤナの足が宙を彷徨う。彼女は最後の力を振り絞り、腕輪を起動させた。腕輪は彼女の肌に融解して溶け込み、その瞳に最期の紅い煌めきが宿る。それは仲間たちが目撃した、消えゆく炎の最後の叫びだった。
「息を……止めてあげるわ(I Drown the Breath)!!」
ヤナは残された全力を込め、両手を広げて掌に最後の希望を凝縮させた。炎が、預言者の異形の顔を照らし出す。 ヤナの放った超高圧の火柱は、預言者の首を完全に焼き切った。その火線は地平線を真っ二つに割り、リヴァイアサンを、山を、花を、空を、そして星々さえも切り裂く。彼女がかつて見せたことのない、究極の力。
首を失った預言者は、なおもヤナを掴んだまま、もう一方の手で容赦のない一撃を彼女の顔面と肉体へと叩き込んだ。 ヤナの体は流星のように、燃え尽きる炎の軌跡を残して蒸発していった。かつてヤナであったものの真紅を、世界に散らしながら。
世界が、激しく揺れていた。
「ヤナの体は流星のように、燃え尽きる炎の軌跡を残して消えていった」
「流星」




