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第20章:冷血、凍てつく心臓、死の冬(第2部)

テーマ:冬の鉛の兵隊たち


凍てつく風と、答えのない祈り。 これは雪の中で散っていった、名もなき兵隊たちの鎮魂歌レクイエムです。


https://x.com/el_geoztigma/status/1999112420095099171

クリスタルは雪の上に倒れていた。


クリストファーは敵の防衛線の後ろへ逃げ込んだ。


もう誰も、私の目の前で死なせはしない。


私は自分の腹を貫いていたクリストファーの大剣を掴み、引き抜いた。切断された傷口は、灰と炎によって急速に塞がっていく。


右手には両手剣ツヴァイヘンダー左手シニエストラには、解き放たれた純粋な暴力。


兵士たちが槍や矢を放ってくる。 だが、それらは私の灰の体をすり抜けるだけだ。


一人、また一人。私は彼らを排除リキッドしていった。最後に残ったのは、追い詰められたクリストファーだけだった。


彼は無意味だと知りながら、レイピアを私の胸に突き立てた。私は構わずに顔を近づけた。彼の瞳孔が恐怖で開いているのが見える。その瞳に映っていたのは、悲しくもおぞましい怪物の姿だった。


私は右手の両手剣を、ゆっくりと彼の鎧の隙間から滑り込ませた。心臓へと届くまで。


私の歪んだ笑みが、彼の黒い瞳に映っていた……。


彼の血が雪の上に制御不能に溢れ出す。破壊し尽くしてやりたかったが、もう十分だ。クリスタルの哀れな姿を思い出した。


それは戦いではなかった。一方的な虐殺だ。


私はクリスタルに近づき、起こそうとした。彼女は凍てつく雪の中で反応したが、体温は急速に下がっていた。彼女の唇が動き、かすかな声が聞こえた。


「服を取って……傷口に詰めて……」 「奥まで押し込んで……出血が止まるまで、圧迫して……」


私は自分の服を必死に破り、彼女の傷口に詰め込んだ。両手で傷口を押さえる。彼女の手はすでに血の塊のように冷たく、古い血と新しい血が混ざり合っていた。


押して、押して、押し続けた。 彼女を雪から守るために、私は自分の服のほとんどを使った。私はシャツ一枚とズボンだけになった。


雪が私の肌を凍らせる。数時間が過ぎ、ようやくクリスタルの出血が止まった。


いつしか彼女は目を覚ましたが、ひどく弱っていた。雪の中から出なければならない。私たちは這うようにして、最後の避難場所へ向かった。


夜が来た。クリスタルは血に染まった衣服の詰まった傷口を、ずっと押さえたままだった。それが唯一の応急処置だった。


「どうする? 一人で帰れるか?」


「いいえ……終わらせましょう」クリスタルは答えた。


翌朝、私たちは「神の剣士団」の本拠地へ向かった。


クリスタルは通りに落ちていた持ち主のいない凍った「鎖鎌」を拾い、私は奪った両手剣を背負った。


彼女の衰弱しきった体には、最期の意志とも呼べる力があった。


道を走り抜けながら、私たちは脅威となりうる者の命を次々と奪っていった。クリスタルは影から鎖鎌で、私は正面から剣を交えて。彼らが私に武器を突き立てる頃には、私の剣は彼らを貫いていた。


「神の剣士団」の門に到着した時、そこには彼らの名刺代わりとも言える光景があった。異教徒たちが串刺しにされ、額には焼印で「異端者」と刻まれている。新鮮な死体もあれば、飢えたカラスについばまれた骨もある。


私たちはリヴァイアサンとは異なる、異様な街並みを歩いた。


長い行列を作って神に祈る人々。雪が無垢な者と罪人の魂を等しく浄化することを空に乞うている。地平線には教会がそびえ立ち、かつての廃墟は宗教施設として再建されていた。神の言葉が至る所で響いている。虐げられた奴隷たちの目は、多くの物語を語っていた。罪を贖うために自傷する人々、日常的な取引として売られる子供たち。敵の死体は神への供物として捧げられていた。


「この場所の金は魂を買っているわ。結局、人間は同じ過ちを繰り返すだけの運命なのね」クリスタルが呟いた。


彼らは十字架を掲げ、一人の男の処刑を祝っていた。大声で叫んでいる。「神は死んだ! 我々が殺したのだ! 我々は神の血を飲み、今や神となった!」


クリスタルが囁く。「ここで戦えば、多くの無実の人が死ぬわ」


ゲオ:「彼らにとってはどうでもいいことのようだ」


兵士たちが私たちの異様な存在に気づいた。


引き返せない疾走スプリント。剣と鎖。私たちは無駄のない致命的な動きで、次々と彼らの命を奪っていった。


小競り合い(スカーミッシュ)が始まった。


アリアナ:『神の剣士団』の新祭司


恐怖に駆られた男たちが私の神殿に駆け込んできた。灰の怪物と青い目の少女の話をしている。夜警団のメンバー数名が戻らず、リーダーのクリストファーも行方不明だという。


街の門に悪魔が現れ、罪人も無垢な者も等しく殺していると。


私のような祭司でなければ、あの灰の獣を封印することはできないと。


その知らせに私は恐怖を感じたが、腕輪ブレスレットが輝き、私の目は「制御予測」モードに入った。神殿を出ると、確かにそこで戦闘が起きていた。


私は氷と優雅さを纏い、敵に死を与えるために舞い降りた。


兵士たちは私の姿を見て歓喜した。天から降り立った救世主として。


兵士たちが道を開けると、そこには見覚えのある顔があった。やつれて、傷ついた……。


「クリスタル」


その傍らには、赤い目をした悪魔がいた。定まった形を持たず、凍てつく風に舞う灰のような存在。


悪魔の剣は度重なる戦闘で完全に砕け、クリスタルはおそらく盗んだであろう「鎖鎌」を回していた。


私たちの視線が交差した。


「祭司様だ! 我々は救われたぞ!」兵士たちの歓声が響く。


アリアナ……雪と血の中で響く彼女の声。彼女の髪は犠牲者の返り血で染まり、青白い肌は戦場の風に晒され、我々の忠実な兵士たちの血を浴びている。


クリスタル……私の声は喉に詰まり、言葉にならなかった。


「誰だか知らないが、お嬢ちゃん。お前の死に場所はここだ」


二対一……。


クリスタルが鎖鎌で攻撃してきた。私はサイオニック・ブレスレットで氷の盾を作る。


私は凍てつく怒りで応戦し、無数の氷の槍を放った。


だが、その全てが灰の悪魔の体に突き刺さった。彼は土壇場でクリスタルを庇ったのだ。


クリスタルはその場に崩れ落ちた。もう戦う力は残っていないようだ。あんなに弱った彼女を見るのは初めてだった。


だが、私はもう昔の人生には戻りたくない。この新しい人生を受け入れるためなら、誰であろうと殺す。この男たちと、彼らがもたらした平和を守るのだ。


地面の氷を隆起させ、灰の悪魔を串刺しにした。だが、死ぬ気配がない。


彼は串刺しにされたまま、震える手を氷に伸ばした。心臓を貫かれ、血が噴き出しているのに、彼は死なない。彼は私の氷の杭を掴み、常軌を逸した怪力で全てへし折った。


彼は立ち上がった。口から血と灰を吐き出しながら。狂気に満ちた隻眼が私を射抜く。この怪物は、何かがおかしい……。


『深紅の預言者』? 悪夢? 予言が成就しようとしているのか?


彼は砕け散った両手剣を捨てた。


制御できない怒りで拳を握りしめる。


灰の怪物は戦う気満々だった。まだやるつもりだ。


私、アリアナは負けない。ようやく世界に自分の居場所を見つけたのだから。


怪物は心臓にエネルギーを集中させていた。雪が彼を避けるように舞う。


氷の上で傷つき、無防備なクリスタルを見つめる。


灰の怪物は限界に達していた。


地面から雪が舞い上がり、大地が震える。


彼の力が膨れ上がっていく。止めなければ。今すぐに。


「怒り、憤激、不条理、罪」


私は彼に極寒の風を浴びせた。あまりの速さに、空気中の水分が瞬時に結晶化する。だがその瞬間、凍りついた目をした灰の悪魔は、すでに私の数センチ前にいた。


「速すぎる」


防御し、氷で攻撃する。だが私の攻撃は彼を怯ませることすらできず、防御は一撃で粉砕された。雪の中からクリスタルが恐怖の眼差しで見ている。


一撃が私のブレスレットの一つに直撃し、即座に砕け散り、粉になった。


距離を取り、最後のブレスレットを使った。両手を広げ、捨て身の氷結攻撃と氷の槍を放つ。


無数の鋭利な切っ先が怪物を襲う。だが彼はその間をすり抜けるように滑り、黒い血を私の武器に撒き散らしながら迫ってくる。


失敗した。


彼は無慈悲に近づいてくる。


殴り合いを望むなら、受けて立つまで。


私は彼を殴り始めたが、効果はない。


彼は反撃してきた。目にも留まらぬ速さのコンビネーション。


私の制御予測でさえ、かろうじて捉えられるレベルだ。


最も硬度の高い氷を多層展開して防御したが、それでも衝撃が私を襲った。


衝撃で吹き飛ばされたが、空中で体勢を立て直し、氷と水で衝撃を殺す。


灰の悪魔はカテドラルに激突した。私は反撃の準備をする。


悪魔は力を溜め、弾丸のような跳躍で私の目の前に現れた。予測は見えていたが、体が反応しなかった。


彼の全身が私に激突し、私たちは民家に突っ込んだ。落下の衝撃を和らげようとしたが意味はなく、破片が体に突き刺さる。


凄まじい慣性で、そのままメインストリートを滑っていく。


なんとか彼を振りほどき、優雅に着地したが、肩に鋭い痛みを感じた。


破片が突き刺さっている。


まずい、重傷だ。足元がふらつく。ガードを維持する。


再び悪魔が襲いかかってくる。


瞬きする間に目の前にいた。彼の瞳孔が私の目の前にある。


右フック。私は屈み、彼の胸を凍らせて動きを止めようとする。


彼は凍りついた自分の胸を引き剥がし、灰で再生した。


諦めるわけにはいかない。私はこの獣に勝てる。


再び接近してくる。私はもう一度胸を凍らせようとしたが、彼はそれを読んでいた。私の手を払い除け、直撃コースへ拳が……


「死ぬ……」


一本の槍が、彼の腕を引き裂いた……。


私はその不死身の怪物の力に恐れをなし、距離を取った。


怪物は誰がやったのかと動きを止めた。


私たちの勇敢な兵士たちが、確実な死から私を救ってくれたのだ。


生き残った兵士たちが決死の攻勢に出る。私は時間を無駄にせず、攻撃に加わった。


兵士たちは自らの命を犠牲にして時間を稼いでいた。一人、また一人と命が奪われ、血の噴水が上がる。


だが私は、怪物を内側から凍らせていた。


少しずつ、時間をかければ、物理的に可能な限界まで凍結させられる。原子の運動さえも停止するまで。


彼の動きは鈍くなり、再生も遅くなっていった。


封じ込められる。ついに彼を殺せる。槍が彼の胸を貫き、動きを封じる。


私は彼の周りを旋回しながら、全方向から凍らせていった。杭と氷漬けの中で、私たちは灰の悪魔を追い詰め、ついに完全に凍結させた。


やった。灰の怪物を倒した。今はただの氷塊だ。遠くの雪の上で、死の床にあるかのようなクリスタルが、かすかな仕草を見せた。


それは喜びの仕草だった。


私は灰の獣をよく観察するために近づいた。


クリスタルはゆっくりと、弱々しく立ち上がり、ふらつきながら歩いてきた。彼女は怪物の死を自分の目で見届けたいのだ。


「クリスタルの肌から、喜びが漏れ出しているようだった」


「一瞬、無理かと思ったわ……」


ピキリと音がした。氷に亀裂が入る。私は下がろうとしたが、兵士たちは私より先に逃げ出していた。


クリスタルが地面にへたり込む。


氷の亀裂から灰の腕が飛び出し、私の首を掴んだ。封印していた氷の中から、悪魔の赤黒い目が現れる。


腕が首を締め上げる。力が強い。命が削られていく……。


残った唯一のブレスレットで凍らせようとしたが、彼は凍りつきながらも、ゆっくりと首を締め続けた。


視界が霞む。舌が飛び出しそうだ……。


叫びたいのに声が出ない。息ができない。


力と生命力に満ちたその腕は、殺意の塊となって容赦がない。


(残っていた数人の兵士たちは、凍った血と四肢が散乱する惨状と、彼らの祭司が絞め殺されそうになっている光景を見て完全に戦意を喪失し、悲鳴を上げて逃げ出した)


足がバタつく。制御不能の震えが走る。割れた空が目に入る。私の中で何かが壊れていく。今日、私は死ぬの?


驚愕と恐怖に満ちたクリスタルが見えた。


腕は私をさらに高く持ち上げる。常軌を逸した怪力。私の氷結の力は弱まり、効果を失っていく。首に巻きついた蛇の締め付けが、私の最期になるのか?


クリスタルが泣き出しそうになっているのが見えた。恐怖で瞳が揺れている。


もう誰もいない。私は最後の力を振り絞り、クリスタルに慈悲を乞うた……。


「クリスタル、助けて……お願い」


ゲオが言う。「知り合いか?」


クリスタルが言う。「……いいえ」


ゲオ:「一瞬、お前が彼女の仲間かと思ったぞ……」


クリスタル:「……」


私の中で何かが完全に壊れた。走馬灯のように言葉が駆け巡る。私の母アルテミス、マザー・サターン、戦いから逃げ、実験から逃げ、私たちをただの操り人形として利用しようとする病んだ大人たちから逃げ、宇宙船に捨てられた一人の少女。無関心な実験動物として扱われ、ようやく自分の居場所を見つけたのに、こんな形で人生が終わるなんて。いやだ、いやだ……いやだ……。


「壊れかけた操り人形が、完全に壊れた」


ありえない角度に折れ曲がった体が、地面に落ちた。その瞳に残った光は、クリスタルに懇願していた……救いを求めていた……。


クリスタルは涙をこらえていた。強張った顔と、充血した目が、彼女の真実を物語っていた。

テーマ:冬の鉛の兵隊たち


我らは壊れた空の下に立つ

We stand beneath a broken sky


それでも命令には従わねばならない

To orders we must still comply


だが忠実な兵士たちが、一人また一人と死にゆく

But one by one watch the loyal soldiers die


その死を正当化する者は誰もいない……

With no one left to justify...


神に向かって「なぜ」と叫ぶ

We scream to God and ask Him why


だが返る答えは沈黙のみ

But silence is the sole reply


聖なる言葉はただの嘘だった

The holy words were just a lie


天から舞い降りる天使などいない

No angels coming from on high


聖者も罪人も、凍えて死ぬ

The saint and sinner freeze and die


同じ穢れた空の下で

Beneath the same unholy sky


冬は何も明らかにはしない

The winter does not clarify


誰が真実で、誰が嘘なのかを

Who is the truth and who’s the lie


神に向かって「なぜ」と叫ぶ

We scream to God and ask Him why


だが返る答えは沈黙のみ

But silence is the sole reply


聖なる言葉はただの嘘だった

The holy words were just a lie


天から舞い降りる天使などいない

No angels coming from on high


さよならを言う時間すらない

There is no time to say goodbye


喉は凍りつき、乾ききっている

My throat is frozen solid dry


最期の溜息をひとつ吐き出し

I let out just a final sigh


闇が増殖していくのを見つめる

And watch the darkness multiply


だから、その重く疲れた瞳を閉じて

So close your heavy weary eye


冬が子守唄を歌っている

Winter sings a lullaby


太陽と夏の空を夢見ればいい

Dream of sun and summer sky


だが二度と戻ることはない……二度と目覚めて証言することもない

But you will never re-apply... Never wake to testify.


神に向かって「なぜ」と叫ぶ

We scream to God and ask Him why


だが返る答えは沈黙のみ

But silence is the sole reply


聖なる言葉はただの嘘だった

The holy words were just a lie


天から舞い降りる天使などいない

No angels coming from on high


鉛の兵隊が歩き、通り過ぎていく

Lead soldiers walking, passing by


その瞳には何の光も残っていない

With no sign left inside the eye


壊れた空の下で

Underneath a broken sky


我らは死ぬその日まで行進を続ける

We march until the day we die


止まることも、抗うこともできない

We cannot stop, we cannot try


俺もお前も、ただの玩具の兵隊なのだから

We are just toy soldiers, you and I


増幅させる感情など残っていない

No emotions left to amplify


ただ死を待つだけの、空っぽの抜け殻

Just empty shells about to die


鉛の兵隊が歩き、通り過ぎていく

Lead soldiers walking, passing by


その瞳には何の光も残っていない

With no sign left inside the eye


壊れた空の下で

Underneath a broken sky


我らは死ぬその日まで行進を続ける

We march until the day we die


我らは天に「なぜ」と問う

We ask the heavens for a why

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