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第17章: ————冬————(第2部)

ゲオ:デミウルゴスに刻印されし者


廃墟の骨組みに、最初の雪片が舞い込み始めた。風の咆哮は、過酷な日々がすぐそこの窓辺まで迫っているという、死の警告のようだった。


冬が、到来したのだ。


通りは雪で埋め尽くされ、「マクロ環境」——かつて『リヴァイアサン』の中央サーバーだった場所——への到着は、当面の間、お預けとなった。


旅の交換材料として持ち出せたのは二冊の本だけ。『光の中で呼吸する者たち』と、この凍てつくビルで寒さを凌ぐ間に読み耽っている『聖書』だ。日は一日ごとに壁から熱を奪い、凍結させていく。あらゆる凍った物体の表面から、冷たい死がこちらを覗き込んでいる気配がした。


タイラーは焦っていた。彼の計算によれば、「スカイスクレイパー・ボーイズ(摩天楼の少年たち)」の派閥が冬を越すための物資は、絶望的に足りないという。冬は容赦なく訪れ、補給は追いついていない。好むと好まざるとにかかわらず、追い詰められた彼らが絶望的な決断を下すのは時間の問題だった。冬の夜は、一寸先も見えない完全な闇なのだ。


タイラーは恐れていた。彼らがそこまで困窮しているなら、他の派閥も同様だろう。数年前にも起きたように、最も弱い派閥が冬の間に虐殺されるのではないか、と。


今年の冬は異常だ。人の気配が消え、厄災の爪痕が百年経った今も環境を蝕んでいる。


この冬は暴力的だ。あらゆる場所で死の気配を感じる。まるで、あの世から「やあ」と手招きしているように。


私は知っていた。この冬が多くの命を奪うことを。認めたくはなかったが、心の奥底では理解していた。多くの者が連れ去られるだろう。


すでに体力の低い者たちから、呼吸器に異常が出始めている。一日生き延びるだけでも必死だ。


夜になると、闇に紛れて何かの影が動くのが見えた。「スカベンジャー(屍肉あさり)」かもしれない。だが、夜の闇が深すぎて正体までは分からない。


クリスタルは解放された。仲間たちは彼女を危険ではないと判断し、私たちの派閥ファクションに迎え入れたのだ。


私たちは南の地平線を監視する任務についた。崩れかけた上層階が屋上の代わりとなり、視界は良好で、ある程度は雪もしのげた。


私たちは少しずつクリスタルという人間を知り始めていた。長く黒い髪、やつれた顔、黒ずんだ瞳、そして虚ろな眼差し。彼女がここまで来るのに、神のみぞ知るような惨劇をくぐり抜けてきたことは明らかだった。


地平線の微かな光が消え、暗く盲目的な夜がまた我々を打ち据える。


凍える風が吹き荒れ、立っていれば吹き飛ばされそうなほどの強風だ。


心臓が早鐘を打ち、不安が募る。何が起こるか分からない恐怖。


ビルの高層階、焚き火の陰で、凍傷になりそうな唇を震わせながら、私たちは言葉を交わそうとした。明日がある保証など、誰にもないのだから。


「名前はなんていうの?」エミリーが尋ねた。


「クリスタルよ」


私はクリスタルに食事を運んだ。ひどく衰弱し、繊細な体つきで、腹部に打撃を受けた跡があり、まだ回復の途中だった。


「食欲はあるみたいだな。だが、次は狩りを手伝ってくれよ」私はクリスタルに声をかけた。


「頼まれたことなら、なんでも返すわ……」


クリスタルは私を見ていた。穏やかな表情だったが、ふと陰りが差す。私の内側に、何か邪悪なものを見ているような目つきだ。自分の中の何かが、彼女の目には「異常」に映っているらしい。


それでも、私の善意は伝わっているようだった。彼女の回復を願う私を見て、エミリーは少し焼いていたが、人助けだと理解してくれていた。


極寒の夜、クリスタルは骨まで凍るような寒さに震えていた。エミリーは疲れ果てている。私は「守護者」としての意識を研ぎ澄ませていた。もう誰も死なせたくない。


私は焚き火に近づき、彼女に尋ねた。


「どうしてここまで? 一体、何があったんだ?」


……沈黙が流れた……


「話したくないか?」


……再び沈黙……やがて、彼女は迷いながら口を開いた。


「わ、私……子供の頃の冬を思い出すの。全てが始まったあの冬を。舞い散る反射する雪片や、私の顔を映し出す割れたガラスの一つ一つに、その記憶が見えるわ」


「そうか」私は短く答えた。


彼女は横目でこちらを見ると、唐突に私へ問いかけた。


「貴方、『灰の怪物』を見たことある?」


その核心を突くような質問に、私は驚き、一瞬言葉に詰まった……


「いや、見たことないな」なぜそんなことを聞くんだ?


「夜になると、灰の怪物が見えるの。彼はここに、私たちと一緒にいる。夢の中では私を傷つけるけど……ここで目を開けて見る彼は、悪い人には見えないの」


「どういう意味だ?」どういう理屈かは分からないが、彼女は何かを知っているようだった。


「ううん、なんでもない。忘れて……名前、聞いてなかったわね。貴方は?」


「ゲオだ。クリスタル」


(凍てつく風が、悲しい旋律を奏でるバイオリンのように唸りを上げた)


「怖いな。もう誰も死なせたくないんだ」


「貴方に彼らを救えると思う?」クリスタルが問い返す。


「できればいいが……」私は答えた。


「何人かは死ぬわ。私には見える。この場所でさえも」クリスタルが言葉を漏らした。


私たちの会話で半分目を覚ましたエミリーが、寝転がったままじっとこちらを見ていた。寝言のような、だがはっきりとした囁きが聞こえた。


「……忌々しい化け物め」


クリスタルは身を縮めて、眠りについた。


私は最後にもう一度、辺りを見回った。通路は完全な暗闇に満ちている。飢えた獣のように光を飲み込む漆黒の闇だ。2メートル先も見えない。一歩踏み外せば、それが最期になるだろう。


目は冴えて閉じようとしない。手が微かに震え、呼吸が荒くなる。体を制御するのが難しい。それは単なる恐怖ではない。目の前で死んでいった者たちの記憶が、今も鮮明に蘇るからだ。「何人かは死ぬ」彼女の言葉が、頭の中で反響していた。

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