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第2章:記憶の断片 ―TV、宇宙戦争、V.R.C.P.―(第1部)

ホワイトノイズ……。


ホワイトノイズ……。


ホワイトノイズ……。


(ザザッ……古いテレビの砂嵐の音)


『──クリスタル、推定される科学者であり、一部の情報筋によれば組織のスパイとも言われる彼女は、現在逃走中であり……』


「逃走中!」


『クリスタル! 特別な場所へ行け!』


『クリスタル、そう! そうだ、いい子だ!』


「クリスタル、パパ?」


『クリスタル、食べるものがない、行ってこい……通りで体を売ってでも!』


「クリスタル、ママ?」


(テレビのノイズ)


"I am the face of destruction."

(我は破壊の化身なり)


「何? あなたは何?」


(テレビのノイズ)


『覚えている、あれは私だ。私がやったんだ。覚えている。私が彼らを殺した。彼は生き残った。恐ろしかった』


忘れていた記憶。


(テレビのノイズ)


『すべてはオリジナルの書に記されている。お前のためだけの本もあるのだよ、クリスタル……』


「誰なの?」


(テレビのノイズ)


『クリスタル、あなたは|V.R.C.P - ULTRAウルトラプログラムに受け入れられました。あなたの能力が要求レベルに達していることは十分に確認されています……』


『クリスタル、このプロジェクトの礎石として、虚空の同胞団ブラザーフッド・オブ・ヴォイドのために、真実を知らなければならない。なぜ私たちがこれを行うのかを』


『我々と共にあるか、敵対するか。決めるのはお前だ』


(バチッ! 電子的な破裂音)


目を開けた。


だが、それは私の目ではなかった。


別の私の目だった。


私は私自身の観客となり、まだ書かれていないメッセージを読んでいるようだった。


"I am the face of destruction."


宇宙の虚空。


私は、戦闘用母艦の中にいるのだろうか?


"Filling hearts with dread."

(心と恐怖で満たしながら)


『クリスタル、すべての通信チャンネルを開いておく。これで、なぜ我々がこれを行うのか理解できるはずだ』


目がくらむ。


宇宙の虚空で、激しい戦闘が行われていた。


数と力で圧倒されている。


パイロットたちが次々と堕ちていくのが見える。


母艦が目の前で燃え上がっている。


その光景に心が沈む。


私の中で恐怖が轟き、共鳴しているのを感じた。


開かれたすべてのチャンネルからの、圧倒的なノイズ。


『クリスタル、私が決めなければならない。だが真実を言おう。今、私に決められることは何もない。このセクターは必然的に陥落する』


『我々の足場は一つずつ崩れ落ちていく』


『クリスタル、このプロジェクトに入ってから長い時間が経ったが、今こそ真実を知る時だ!』


『選択はお前次第だ……司令室(クロノス)へ入れ』


『全艦(母なる土星(マザー・サターン))は、司令室クロノスからのお前の指揮に応答する準備ができている』


『そこからなら、敵を減らすことができる唯一の存在として戦争ができる』


"No more sorrow, no more pain."


私は自分自身に適合し、移植される部屋に入っていくのが見えた。


思考が凍りつく。


だが完全ではない。


何らかのテクノロジーが、人工的な辺獄(リンボ)の中で精神を燃やし続けていた。


突然、鏡を向かい合わせにしたような感覚に襲われた。


私のリンボが、あの「別のリンボ」と反射し合ったのだ。


見るのをやめなければ!


精神が飽和する。


あの時の私が、その場の全戦闘艦隊を制御し、同時に時間を超越して見ていることに気づいた。


星々の虚空の果てで、超現実的な戦いが繰り広げられていた。


テクノロジーと魔法の境界が消え、神々と人間が火花を散らし、星の闇の彼方で燃え上がり、消えていく。


戦いは続く。


私は敵の動きを予知できるようだった。


だが、私自身の反射の中に、私の表情が見えた。


苦痛の表情。


泣き叫ぶ顔。


まるで世界が崩れ落ちていくかのような顔で、争いの最中、星間艦隊を操ろうとしていた。


モニターには、全方位から包囲されている様子が映し出されていた。


敵の方が巨大なのか?


数が多いのか?


残念ながら、あのリンボのせいで鮮明には見えない。


あのクリスタルが見ているリンボを覗き込むだけで、自分自身が崩壊しそうだった。


だが、彼女には今の私が見えているのか?


すべてが不可逆的なクライマックスに達しようとしていたその時。


あのクリスタルが私の方を向き、じっと見つめた。


私が見えるの?


私が私を見ている?


どうして?


彼女の唇から、ささやきが漏れた。


「ありえない……こんなのありえない……」


「私は重大な過ちを犯した……」


「助けて……ここから出して……」


「お願い……やって……私を出して……」


涙と深い悲しみの中で、私は自分自身の内側へと沈んでいく。


コントロールを失った痛みの深淵へと、崩れ落ちていった。

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