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髑髏王と枇杷の姫  作者: べにいろたまご
第四幕 稀代の奇術師
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4-14 小噺4 ブラッドリィの視点

第四幕 稀代の奇術師

 小噺四 ブラッドリィの視点




 僕は今、旅の途中だ。ジェイドの魔力を開花させられるかもしれない人物に、一人だけ心当たりがある。だが、その人は根無し草で、どこにいるのか誰にも分からない。だから、自分の足で探すしかない。


 道中の景色は美しく、食事も悪くない。だが、胸の奥にあるのは落ち着かぬ思いばかりだ。スカルとジェイドのことが、いつも心を離さない。――本当なら、彼らのすぐ傍にいたいのに。


 僕は、スノウの残酷さと狡猾さをよく知っている。奴は人の隙間に忍び込み、そこから心を蝕む。与える愛は甘美で、抗えぬほど魅力的だが、触れた者を確実に堕とす毒でもある。

 だから僕は、奴に居場所を嗅ぎ取らせぬよう、細心の注意を払っている。ジェイドへ送った言葉も、一度きりで消える魔術に仕立てた。痕跡を残せば、それだけで居所を突き止められるからだ。


 この旅で、僕は必ず鍵を見つけ出す。スノウがセルリアン殿下に何をしたのか、そして天使の加護をどう破るか。その答えが、この世界のどこかに眠っているはずだ。




 ある夜、焚き火の赤に照らされながら古の魔術書を読み解いていると、一羽の白い鳩が舞い降りた。スノウがスカルに使う伝令の鳥だ。


 僕は息を止め、その姿を見送った。鳩は闇に溶け、夜空の向こうへ消えていった。間違いない。奴はまた、スカルに囁いた。ジェイドを惑わす言葉を混ぜながら。


「スカル……ジェイド……」


 炎のゆらめきを見つめながら、僕は二人を思う。スカルは揺らいでいないだろうか。ジェイドは恐れていないだろうか。


 ――ああ、本当は、こんな風に遠くから案じるのではなく、二人のすぐ隣に立っていたい。肩を並べて、笑い合っていたい。だが、それを叶えるには、この旅をやり遂げなければならない。


(スカル。どうか、再び闇に呑まれることのないように。ジェイド。どうか、彼を支えてくれ。君の心の光こそが、彼を救うから)


 僕は静かに祈り、再び魔術書へ視線を戻した。この旅の果てで必ず見つけ出す。スノウに打ち勝つ鍵を。

 そして今度こそ、大切な二人を、奴の狂愛から守り抜き、胸を張ってその傍らに立つんだ。


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