わたしの夏休み
ゲーム制作時代と名付けても良いほど、私はゲームに熱をあげ、大統領が大枚はたいて作り上げたゲーム制作キッドで、自作ゲームを作りまくっていた。
遂に出来上がったゲームを家族に披露した。
2人は盛大に喜び、やりたいわと親ばかみたいに欲しいと言ってくれた。
照れながら二人に手渡して、携帯型デバイスでやり始める両親。
クリアしたらレビューしてね、と伝えておき、私もゲームを起動。
『わたしの夏休み』というタイトルだ。
このタイトルは言わずもがなオリジナルではなく二次創作。
有名なゲームをオマージュしている。
サブタイトルは『宇宙人家族』というもの。
主人公は女の子でワタシちゃん。
複数プレイは推奨しておらず、完全なる一人プレイ。
日本が舞台、と言いたいが、今回は異世界というかパラレルワールドのような設定だ。
ワタシちゃんの家族が住む家の中で4人の宇宙人が不時着して滞在するという本家とは違うスタイル。
やはり、己がゼクシィ人だからかな。
こういうところに自分の種族を登場させておくというが二次創作なのだ。
ここまでオマージュしたのなら、とことん投影していきたかった。
自分くらいしかしないと思ってね。
実はやろうとしたんだけど、地球じゃ今や出来ないらしいし。
それは知っていたけど、私が頼んだところで入手できないということは、既に手に入らない状態。
動画を見るくらいしかやりようがなく、傲慢にもデータだけくださいなどとは口が裂けても言いたくない。
脅しのように聞こえそうで、言えまい。
私はゲームを作れるから、オマージュとして作ってしまえと、決意し、わたしの夏休みを作った。
おまけとなるが、わたしの冬休み編もある。
配信しよう。
と、決めていた。
最近はゲームを作るのに夢中で、サブカルを広めてなかった。
一応、本家の夏休みのアニメもなんとなく作ってみたのだが、今は取り敢えずゲームをする。
「皆さん、少し振りですね」
〈作者、こんにちは〉
〈お久しぶり!〉
〈久々に見た〉
〈なになに?〉
〈ゲリラ配信?やったあ〉
〈なに配信するんですか?〉
〈やった、やった!〉
「今から私の作った完全二次創作ゲームをしたいと思います。本当は元になったゲームをしたかったのですが、今では地球でできないらしいので、出来るだけ近付いて作ったのですが、なかなか難しかったです」
配信コメントが次々に投げ込まれてくる。
〈自作ゲームを!?〉
〈作者の!やりたーい〉
〈いいなあ、私もしたい〉
〈もし出来たら販売考えて下さいね〉
〈ほしいー〉
「わたしの夏休みというネタ元のタイトルを少し変えたタイトルてです」
夏休みについて説明する。
とはいっても、やはりゼクシィには季節などなく、暑いも寒いもないので、ピンと来てない。
「サブタイトルの宇宙人は私達種族をモデルにした家族連れを使ってます」
〈うちも登場キャラクターにゼクシィ人を起用してる〉
〈あるあるです〉
〈勝手にゼクシィ人を作ってしまう私の黄金の右手〉
「地球には夏休みという休日があり、その休日を過ごすという、ざっくり言えばそんな感じです」
ゲームをスタートさせる。
オープニングはヒロインが家で過ごしていると普通に、ナチュラルに宇宙人が空から降ってくるシーン。
爆音。
ヒロイン、主人公のこと、ワタシちゃん。
〈ワタシちゃんって変わってる名前〉
〈ワタシちゃんかわいい。独特なキャラクター構造〉
〈元ネタのゲームやりたーい〉
「そうですねえ、地球の動画投稿サイトなら、あるようで」
(地球に許可を取って流そうかな)
夏休みはかなり有名なゲーム。
ほのぼのに見えて人間関係観察ゲームとしても名高い。
「いつか、まあ、許可を得れば本家のゲームを見せたいとは思ってます。許可をもらえれば」
〈やりたいいいいい!〉
〈してええええ!〉
〈流してえええええ!〉
彼らの魂の叫びは地球に届くのだろうか?
オープニングが終わるとワタシちゃんの夏が始まる。
宇宙人家族をなんとか隠す為に期間限定でワタシちゃんの家族は知り合いのところの別荘的なところを借りることになった。
ワタシちゃんの家は住宅街ゆえに人の閑散とした土地の方がバレるリスクはない。
「宇宙人を隠す為にここまでするって凄いですよね」
〈ゼクシィ人は必ず恩返しするから、やる価値はある〉
〈確かに。私なら100倍の恩返しするよ〉
〈宇宙人、かわいい。真っ赤な真っ赤なルビー色〉
田舎と呼ばれる程人がいない土地に期間限定で越してきたワタシちゃん。
その閑散とした様子にしょげる。
夏休みは友達と遊ぶ約束をしていたのに、全部パーになったのだから、当然の気持ち。
しかし、宇宙人の家族という人生におけるビッグイベントを前に、やっぱり自分だけ家に帰るというのも嫌だ。
と言う心情。
ゲームは一度区切り、一旦画面から出て伸びをする。
ふと、産毛にさわりと立つ感覚がして、そこを触りながらも後ろを向く。
「わあ!?い、いつのまに!?」
気づかなかったけれど、ジャニクとアルメイの2名がこちらをジーっと見ていた。
アルメイならばと思ったけれど、ジャニクまでそういった顔をしているので珍しい。
「な、なに?え?なんでこっちを見つめてるの?」
「面白そうな事をしてるなって。な?」
「ええ。とても楽しそうなゲームをしてますね」
二人はまるで息ぴったりの双子のように会話をしあう。




