シルバニ◎ファミリー1
ミニチュアが目についたのは、一人でぶらぶらとウィンドウショッピングをしている時だった。
はああ!と息で叫ぶ。
中に入るとそこは玩具屋だった。
それならこれがあるのは納得だ。
「シルバニ◎ファミリー!そうか、こっちに手を伸ばすのを忘れてたっっ!」
ずらりと並ぶ箱。
「このシリーズ、終わりがない。こういうタイプの玩具は、終わりがない。でも、だからこそ。多種多様。みんなも重ならないだろうし、創作性もある」
リーシャは手のひらの半分ほどしかない人形をみて、ほんわかとなる。
「よし、時間は潤沢にある。買おう」
お金を確認して、買い込む。
全ての種類を買い、異星の星へ跳躍する。
自宅へストレートに向かい、シルバ◎アファミリーを並べていく。
むむ、なかなか配置が難しい。
パーツが細かくて大変。
リーシャは家の中であれやこれやとして、完成した時には3日経過していた。
ご飯を食べた記憶が全くなくて、自分の時間が単に3日スキップした気分になり、宇宙が心の中に現れた。
宇宙に飛んでいく猫の動画や画像を見た事があるが、正にそんな気分と同じなのかも。
いつの間にか買った物全てが並び揃われていた。
「なんと危険な玩具」
私がこんなに夢中になるなど、近年のミニチュア玩具は凄い。
楽し過ぎて時間を忘れ、3日もこの状態だったことに心配していた父達。
部屋からフラフラと出ると凄く凄く、体は大丈夫なのかと聞いてくる。
大丈夫、と苦笑すると親達にこれにうっかりハマったのだと説明。
一つ一つ目の前で組み込もうとして、親らの目がミニチュアに釘付け。
いつものことなので所有権を完全に放棄し、全員とやれるように細かく説明する。
「この小さいのはなんの動物なの?」
「うーん、色々?リスとか、猫とか、大体そこらへんなんじゃないかな」
「へえ。ちっちゃくて可愛いな」
と、人形を手に取ったり動かしたする。
どうやって遊ぶのかを細かく理解して行く。
「全てが小さい」
「喋るんだよ、実は、設定的に」
「……えっ?」
二人は喋ると聞いて人形を恐る恐るテーブルに置く。
あ、言い方が悪かったらしい。
生きていると思ってしまったよう。
「生きているわけじゃないよ。アニメというか、この人形が動くものが放送されてて、CMとかもあるんだよ」
慌ててリーシャは解説した。
「ねえねえ、これ、たくさんあるから飾ろう」
「そうね。また部屋を拡張しなくちゃ」
割とリフォームも簡単に出来るのだ。
まるで某アニメやゲームのように。
親は説明する娘のリーシャに、嬉しそうに顔を桃色にさせる。
我が子が地球の食べ物を受け付けてくれるようになってから元気に振る舞う事が増えて、夫婦は堪らなくなる。
ニコニコとした顔を見た娘は首を傾げながら親達をみると、再度シルバ◎◎ファミリーの説明をする。
実はこういうミニチュアの玩具はまだまだたくさんあるんだよと教えると、二人はびっくりして欲しいなと言っていた。
「いっぱいあるから、カタログも作れば良いかもね」
私はミニチュアを触りながら、この感じならば紹介しようかと思案する。
アルメイ達にも、2日後くらい……5日後くらいには教えようかなぁ、と思っている。
教えたら教えたで、どれほどの何が起こるか分かったもんじゃないので、静かに遊びたいのなら先ずは彼らに内緒で遊ぶべき。
というわけで三日間は普通に遊んでいたんだけど、遊んでいたわけじゃなくて組み立てていたという方が正しい。
「私達に内緒で新たな遊びをし始めたと噂を聞いたのですが」
そこはじっとりとした顔を浮かべた幼馴染。
「どこからそれをっ」
「母さんから聞きました。母さんはリーシャの母から聞きました」
「だよね」
母さん達、楽しすぎて教えちゃったのか。
まあ、いうなとは言ってないし、言うだろうとは思っていたが。
「教えるのほんの少し早かったかなー」
「遅いですよ。ジャニクなどはまだ気づいてませんから、私がリードしてますね」
誰よりも先に遊びをしれた喜びを隠さない彼女に、笑ってミニチュアを見せる。
バレてしまったのなら、もう隠すのは無理なので彼女に紹介をすることにした。
こういうオンオフは私にとって最早慣れた事だ。
アルメイと一つ一つ、ミニチュアの説明をしていく。
人形を両手に抱えうっとりしている彼女。
可愛さに心を打たれている様子。
それを眺めつつ、私はその可愛さは世界も認めているのだと情報を伝える。
サブカルにおいて可愛いは自然と付属してくる。
老若男女、問わず。
シルバニ◎ファミリーを自分も購入したいと言われ、まあいわれるだろうなと思いつつも、困った事態に眉根を下げる。
このミニチュアの動画にはとある問題がついてくるのだ。
「あのね、アルメイ。心を強く持って聞いて?」
意地悪で知らせなかったのではない。
「はい」
こくりと頷く相手。
「ミニチュアの人形はこれだけじゃなくて、膨大な種類があるんだよ」
どう頑張っても収集がつかなくなると分かっていたのもんだから。
シルバーニアだけに収まらない。
例えば有名なのはリッカちゃん人形。
アルメイは真顔でシーンと無音で立ち尽くしていた。
手を顔の前で振る。
「おーい、聞こえてるぅ?」
気絶したとかではなさそうだが、どうやら意識を持っていかれていたらしい。




