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ヒャッハー! 新鮮な生贄だ!(やけ)

作者: 央美音
掲載日:2026/02/08

伯爵なのに侯爵になっていた部分を修正しました。

 周辺諸国から蛮族の国と思われているアラミ神国。

 その理由は、建国当初から信仰する神へと生贄を捧げているからだ。

 そも、神が生贄を求める為に自身の領土としている国である。他の国とは、国が建った理由が違うのだ。

 蛮族の国だからと言う理由で、自国の情勢が悪くなると攻めて来るのは勘弁して欲しいのだが、アラミ神国としても他国が攻めてくるのは止めない。

 時折その国の主神から生贄として差し出してくる者達がいるし、もし生贄がいなくても戦後の交渉がしやすいからだ。

「この蛮族どもめ! このナーヤゴラ国第一王子であるパクトシラがお前達の悪行を成敗し、この穢れた土地を清めナーヤゴラの国土とし、わが国へと勝利に導いた男として凱旋を果たして見せる!」

「はあ」

「なんだその腑抜けた返事は! まずは貴様の命を皮切りに全ての蛮族を滅ぼして見せよう!」

「グエッ」

「さあ、行くぞ! 我らの聖戦が今始まるのだ!」

 ナーヤゴラ国の代表として名乗りを上げ、対応していたアラミ神への生贄受付担当であるサタに剣で斬りつけさらに蹴り倒した男パクトシラは勢いよく剣の切先を天に向けた。

 パクトシラが雄叫びを上げ、アラミ神国唯一の神殿へと威勢よく走り出す。他の五人も、それにつられて彼の後に続いた。それを止める者は誰もいない。

 ただ、異国から来て神殿へと向かう後ろ姿を見つめるだけだ。彼らが去った後は何事も無かったように動き始めた。

「……今回、多くないです?」 

「んー、なんかついでに処分して欲しいって話。五人分の報酬はすでに貰っている。神殿に着く前に一人ずつ脱落してく感じにするかって話になってる。まあ、『今年の生贄』の王子様は、是非とも自分に酔ったままの状態でアラミ様の前にいて欲しい」

「ていうか六人で聖戦」

「やめろ、思い出したら笑えるだろ」

「笑えば良いじゃん」

「慌てふためいて命乞いしないといいですね。みんなが準備した生贄より、あの王子を指名された時は、国中が絶望するしかなかったですし、無様な姿は嫌ですよ」

「しゃーない、来年は選ばれるようにとみんな気持ちを切り替えているさ」

「それよりこの切り口見てくださいよ。ひっどくないですか!?」

 サタだったものを囲んで呑気に会話をしている。

 さっきまで生きていたはずの人間が、今では服を着た等身大の革人形に変わっており、斬られた跡を指してサタが汚すぎると皆に文句を言っている。

「コレもう再利用出来ないですよ。中身も直すにしてもすぐには使えない、王子とか言ってたけど剣の腕前は最悪です。習いたての子供の方が上手い」

「言うねぇ」

「腕前もだけど、あの剣は見た目名剣ですみたいな感じで肝心の刃がなまくらだったな」

「うぇ、最悪じゃないですか。そんなのに斬られた俺を誰か慰めてくださいよ」

「お前がちょくで斬られたわけじゃないんだから一々騒ぐなって」

「あの王子、持ってた剣を使うかなーって思って魔術人形で対応させたけど、正解だったな」

「賠償金たくさん貰おうな!」

「証拠になる剣はあとで回収しないとね」

 各々好き勝手に喋っている中でサタが叫ぶ。

「この魔術人形作るのめちゃくちゃ大変なんですよ! ヤナだって自分の鍛えた剣を駄目にされたら嫌になるはず!」

「そりゃあ嫌だけどさ、俺の剣を駄目にできる奴なんてここにいるか?」

「いないな」

「いないね」

「いたら爆笑の嵐がおきますね」

「だろ?」

「俺の魔術人形ちゃんは無駄な犠牲になった」

「拗ねるなって、ガワならあの五人から確保して加工すれば良い革になるんじゃない?」

「あ、あいつらのは駄目だよ。全員回収した後やることあるから」

「また、どぎついのやるんだろ」

「そこまではないよ。ここは封鎖するよって目印にする為に国境に立てるだけだし」

「きっつ」

「俺たちが蛮族とか言われるのお前のせいだろ」

「失敬な。これは由緒正しきアラミ神国の国交断絶の行為だぞ」

「俺の魔術人形ちゃん……」

「はいはい、皆そこまでだ。サタも人形片付けたら仕事に戻って、修復するか新規で作るかは後で相談に乗るから」

「はーい」

 自分達の代表でもあるカラの言葉に素直に従うサタだった。

「にしてもカラの機嫌がすこぶる良いのって、追加の奴らの報酬だろ? 何をもらったん?」

「聞いて驚け、何と海の塩を一人大樽十個だ」

「おー、流石は負け知らずの外交担当だー」

「なんだそのやる気の無い驚き方」

「いや、だって塩って、岩塩あるじゃん」

「阿呆だな、これは良い塩なんだぞ。何と東の国で作られていて不純物の混じりがほぼ無い」

「へー」

「そして、塩を使って加工した肉はアラミ様の『今年の生贄』に選ばれた事がある。この塩を使えば更に上質な加工品になってまた『今年の生贄』に選ばれるかもしれん」

「おー!」

「加工品なのに生贄になるって不思議だよな」

「それはアラミ様が決めてる事だし、深く考える必要なんてないだろ」

「あとな、この塩は単純に値が張る」

「塩で?」

「ナーヤゴラではこの塩一袋で平民の家が建つ」

「それを大樽十個ってとてつもなく凄い?」

「各家は、結構な数の資産を売ることになったとだけ言っておこう」

「どぎつー」

「生贄だけ寄越せば良いのに向こうが余計なのを追加したのが悪い」

「それはそうですけど、良く条件のみましたね」

「コツはな、一人で軍隊を全滅させた後に家を物理的に潰されたいか聞くだけだ」

「こわー」

「うるさいぞヤナ」

「物理的に潰された方がマシだったのでは」

「うるさいぞマハ」

「あいつらって、何をやってここまで送り込まれたんです?」

「凄いぞサタ、聞きたいか?」

「聞きたーい」

「ヤナ、お前には聞いてないが教えてやろう。何と平民三桁殺しだ」

 カラの言葉にその場の空気が凍りつく。

「は、三桁? まじで? 六人で?」

「大マジ。しかも殆どが生まれは貴族だった平民で、城勤めの子女達だ。なんと五年間で二百人超え」

「きっっっっつ!」

「俺たちのこと蛮族とか言ってたのに、俺たちより蛮族じゃん」

「標的にされていたのは、王族の居住区で働く下級使用人だ。下級は裏方で掃除洗濯が主な仕事」

「元はつくけど貴族がする仕事?」

「王族が使う場所や物だぞ。下手な人間は使えないだろ、元からそう教育されてる子女達が働くんだろ」

「え、ヤバヤバじゃん。何でバレなかったん?」

「下級使用人の管理、ガバガバだったから好き放題していたらしいが、最後の被害者が不味かった」




 パクトシラは興奮と混乱の中にいた。

 本来なら、自国でのんびりと次期国王としての仕事の合間に、身の程知らずの女で遊んでいたはずだった。

 パクトシラが十三の時から始めた遊び。本来なら彼が声をかけるのも許されていない下級使用人の女に対して、まるでこちらが好意を持っている仕草と言動で勘違いさせてからかう遊び。

 下級使用人は、貴族の血を持つ平民である事と、男女問わず独身である事が絶対条件なので、婚約者や配偶者がいる面倒な女がいないのも遊びの対象にしやすかった。

 パクトシラだけで遊んでいた時は、標的になった女は彼が遊び飽きるとただひっそりと城から出ていくだけだった。

 しかし、パクトシラが同じ年頃の側近として選ばれた五人と一緒に遊びを始めると、その行為は過激さを増した。

 人が増えれば後処理も楽だと分かり、遊びの標的を殺害するまでには時間がかからなかった。

 身内に縁の無い女ばかりを狙っていたが、時折駆け落ちしたと誤魔化す為に下級使用人の中で顔の良い男を選んで共に始末した。

 遊び過ぎた時に父母である国王と王妃からそれとなく注意はされたが、この遊びを止める気は全くなかった。

 複数いる弟と妹にはこの遊びが理解できないようで、会うたびに冷めた目でこちらを見てくるのが面白くなかった。

 パクトシラがこの国に来るハメになったのは、最後に遊んだ女のせいだった。

 あの女は、下級使用人として働いていたのに本当は貴族だった。しかも面倒な事に公爵の女。それも妾では無く、正妻。

 この事を知ったパクトシラは意味が分からないとばかりに何度も確認した。国王も王妃も宰相も、誰もがあの女は貴族夫人だったと告げるのだ。

 どうもあの女を正妻にした公爵は、あの女が城下町で買い物をしていた時に一目惚れをしたらしく、女の身元を調べた後に女の生家へ突撃して結婚の許可を得たそうだ。

 あの女の身分は平民だが、生家の爵位は伯爵だった。

 王都に小さな屋敷だけを持つ名ばかりの家。

 公爵との婚姻は、生家に籍を戻せば問題ないとされ、手続きなどは多額の金銭を使って本人の承諾もなく行われた。

 だからあの女を始末する前から身分が平民では無くなっていた。

 勝手に婚姻届を出していざ王城から連れ出そうとしたところ、あの女の行方が分からないと告げられた公爵は盛大に騒いだ。

 公爵はあの女に見張りをつけていたので、王城から出ていないことを知っていた。あの女の行方を探す為に公爵は何でもした。

 あの女の死体を見つけた時、公爵は死体を抱きしめ号泣していたらしい。

 そこから芋づる式にパクトシラ達の悪行が世に知らされ、何故か神殿からパクトシラをアラミ神国の神への生贄にせよと神託が下った。

 国王からは無言で剣を渡された。

 これでアラミ神を討ち取って華々しく帰国せよという事かとパクトシラは察した。

 王太子の座は剥奪されたが、自分はまだこの国の第一王子だ。帰国した後すぐさま王太子に再任命されるだろうと考えた。

 神託ではパクトシラだけが生贄とされたが、遊び仲間でもある側近達の同行が認められた。

 この六人ならきっとアラミ神を打ち取れる。

 意気揚々とアラミ神国に向かうパクトシラ達は、自分達の状況を全く理解できていなかった。

 国を出るまでぶつけられた国民の侮蔑の目。

 国境まで着いてきていた兵士達の胡乱な目。

 なにより王城から出ていく姿を見つめる親達の何の感情もこもっていない目。

 パクトシラ達は、最期の時まで自分達は強者であると勘違いしていた。

 神殿の中にたどり着いたパクトシラは、一人アラミ神の前に立っていた。そばにいた五人はここまで一本道だったのにいつの間にかはぐれていた。

 だが五人の存在など今のパクトシラには頭になかった。

 神殿内は広々とした空間で、そこにいるのはパクトシラとアラミ神だけ。

 パクトシラは目の前にいるアラミ神から目が離せなかった。今までに見たことのない容姿をどう表せばいいのかパクトシラは分からない。

 人と同じなのに明らかに人とは違うと分かる姿にどうすればいいのかが分からない。

 既にパクトシラから戦意というものは存在しなくなっていた。手にしていたはずの剣はいつの間にかどこかに消えていた。

 アラミ神の身体が震えた時、パクトシラの目の前には蛇の頭があった。

 パクトシラの身長より太い胴体がとぐろを巻いて彼を囲い込んでいた。

 そこでようやく彼は気づいた。この神殿は目の前にいる蛇の姿のアラミ神の為の捕食場なのだと。

「あ」

 パクトシラが何か口にしようとしたが、それよりも早くアラミ神は彼を丸呑みにした。




 アラミ神は憤っていた。

 神託のせいで『今年の生贄』がクソ神を主神とする国の王子になったからだ。

 本当なら三年程良い肉になるように育てられた豚を選ぶはずだった。あの豚の煌めきはとても美味しそうだった。ただの生贄として喰らうしかないので悲しくなる。

 アラミ神は生贄から信仰の力を得る神だ。直接選んだ生贄を口にする事で神としての力が高まる。

 年一回だけ選ぶ『今年の生贄』はアラミ神にとって大事な生贄なのだ。他の生贄とは訳が違う。

 その性質上、人間界での暮らしが余儀なくされたが、正直に言って神界にいるよりものすごく快適に過ごせている。

 アラミ神が憤る原因は、毎年行われる神達の宴で起きた。

 神界で行われる年一回の宴では、大小様々な人の形をした神達が一年間どのように働いていたかの発表会も兼ねている。

 勿論アラミ神も果たすべき役割を持っている。

 そこで、最悪な報告をしたのがアラミ神がクソ神と呼ぶナゴーマル神だ。

 ナゴーマル神が果たすべき役割は人の運命と婚姻。

 つまりは縁結びによる人間の繁栄が主な役割。人間界では重要な役割を持つ神だ。

 その神が縁結びに失敗したとあっさり報告した事でその場は荒れた。

 ただの縁結びでは無い。この縁が元で将来聖人と呼ばれる人物の誕生が二百十二年遅れる事になったのだ。

 聖人は全ての神に良い影響を与える存在で、中々生まれる事の無い稀な存在だ。

 聖人の誕生が遅れる原因は、ナーヤゴラ国の公爵家に生まれるはずだった聖人となる人物の母親と、父親である公爵との出会いが数年遅れたことだった。

 本来なら伯爵令嬢として公爵と結婚するはずが、何故か平民になって更に王城で下級使用人として働いており、王太子だった第一王子と側近達によって殺害されたというのだ。

 そうなった原因はナゴーマル神の眷属の人違い。

 公爵夫人となって何事もなく聖人を産み、寿命で死ぬまで姿を隠した眷属によって人知れず護られるはずの伯爵令嬢が殺されたのだ。

 ナゴーマル神が眷属の人違いに気づいたのも、彼女が殺されて聖人が誕生する年代が変わった事に気づいた別の神からの知らせだったのにはアラミ神も呆れた。

 ナゴーマル神もだがその眷属達は更に酷い。

 出会うはずの時期に出会わなかったのなら、すぐにナゴーマル神に報告すればいいものの、今まで放置していたのだからと呆れるしかない。

 呆れはしたがナゴーマル神に忠告などの進言はできない。

 神の役割に他の神が口を挟むのは禁忌だ。それが正しい行為でも、役割に口や手を出すのは殺されて当然とされている。

 この件で迷惑を被った神達の愚痴がよく聞こえる。

 その中でナゴーマル神はただにこやか微笑んでいるのがアラミ神には悍ましく思えた。

 ヒトゴトだったのはここまで、アラミ神を最悪な気分にさせたのもまたナゴーマル神だった。

「ナーヤゴラにある私の神殿に、王子をあなたの『今年の生贄』にするように神託を出したからよろしくね」

 その言葉を聞いた瞬間、アラミ神は右腕を鋭い刃に変えてナゴーマル神の首を落とした。

 首を落とされたナゴーマル神の体は首と共に消えていった。

 アラミ神の役割は魂の選別と賞罰。つまりは人間界にある魂の管理者。

 あらゆる魂の行き先を決めるのが主な役割。

 清らかな魂と生き様で汚れが落とせる魂は人間界に溶け込ませ、酷く汚れた魂は消滅させる。

 信仰の力を得るために生贄を求めるのはその副産物のようなもの。

 信仰の力が溢れる魂の中から、毎年一つだけアラミ神が選び『今年の生贄』とする。

 人間の時もあれば、家畜や植物、魂が込められていればそれらの加工品や工芸品の時もある。アラミ神が選ぶ基準は魂に込められた信仰の力だ。

 アラミ神国の全ての国民が『今年の生贄』に相応しい者達なのだ。ただし眷属は除く。

 だからこそナゴーマル神がやった事は禁忌に触れる。首を落として殺そうが誰も咎める事はしない。

「あ、ついにやられちまったか」

 近くにいた神がアラミ神の行動に驚きもせずにそう呟く。

「何?」

 その呟きを聞いたアラミ神はその神に視線を向ける。

「いや、今のナゴーマル神もいつかはやられるだろうなとは思ってたが、すぐそばでやられるところを見られたなーと」

 他の神達もその言葉に同意するように話に混ざる。

「神が死んだ時ってあんな風になるんだな。初めて見た」

「あたしは二度目かな。死に方に関係なくあっさり消えていくのって何とも言えないわよね」

「にしてもナゴーマル神はアラミ神の『今年の生贄』に神託使ってまで口出すって、すっげー最悪な事したよな」

「オレ達もアラミ神に人間を生贄として差し出すけどさ、アラミ神の『今年の生贄』にするなんてバカはしないもんな」

「な、大体生贄に差し出すのも存在を消滅させたいやつだからお願いしてるんだし、『今年の生贄』に神託を使ってまでさせるとか、殺してくださいって言ってるようなものだ」

「神託はなぁ、他の神でも覆せないだろ? アラミ神どうするの?」

 神達の視線に苛つきながらもアラミ神は答えてやる。

「どうするも、クソ神の最後の神託だ。今回の『今年の生贄』は駄目にされた。ただの生贄を喰らうしかないさ」

「ナゴーマル神は今までアラミ神に生贄のお願いをした事がなかったからこうなったんだ。ま、次のナゴーマル神に期待しよう」

「てか、今までの記憶とか姿形を保持して生まれてくるん?」

「いや、名前と役割は同じだが別の神だと思った方がいい」

「次のが生まれるまでの繋ぎってどうなるんだっけ?」

「効率は落ちるが眷属から代理が選ばれてるはずだ。次が生まれるまでどれくらいかかるかな」

「次のはもうちょっと利口なナゴーマル神だといいな」

「期待しないほうがいいぞ。歴代のナゴーマル神ってクソしかいないからな」

「マジか。オレ、今死んだナゴーマル神しか知らない」

「大体クソだったぞ。死因が他の神からの殺害しかないのはナゴーマル神だけだし、結構な数死んでるのもナゴーマル神だけじゃね?」

 アラミ神がクソ神を殺したのはこれが始めてだが、禁忌に触れたナゴーマル神を何度も殺している神は複数いる。

「クッッッソじゃん!」

 口には出さないが、ここにいる誰もが何であいつが重要な役割を持っているんだという顔をしている。

「他の神の死因は、主に人間から信仰が途切れたとか自然消滅くらいだ。それも滅多に起きないんだがな」

「え、じゃあアラミ神大丈夫なん? 『今年の生贄』がないと力を得られないんでしょ?」

 何故か心配されるアラミ神。

「たった一年だ。来年、私が選ぶ『今年の生贄』のために国民が信仰の力をたっぷり蓄えてくれるはずさ」

 神達に大見栄をきったアラミ神だが、クソ神が神託で告げた『今年の生贄』を目の前にするとやっぱり腹が立つ。

 生贄を丸呑みにしたアラミ神は、生贄をすぐには消化せずに体と魂を分離して体だけ吐き出して神殿の外に捨てた。

 生贄の全てを消化するのは癪に触ったのだ。

 勢いよく神殿から飛び出した生贄の体をどうするかはアラミ神の眷属であるカラ達が決めるだろう。

 口の中に残った魂は酷く汚れていた。

 いつも通りアラミ神は体内で魂を消滅させる。

 ただし、魂を消滅させてもアラミ神の力には全くならない。

 今日はこのままの姿でふて寝すると決めた。蛇の姿に合わせて作った神殿はとても良い寝床だ。

「とりあえず、これでクソ神の神託は守られた」

 本当に嫌なのだがクソ神託でも神託は神託。守らないと後が怖いのだ。

 神界にいる神達は今後軽々しく人間界にクソ神託を下さないでほしい。

 切に願うアラミ神なのであった。

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