第13話公式愛妾4
「王妃が国王陛下を刺殺未遂した」
「刺殺!? 何故、そんな事になったのですか?」
情報通の伯父様の事です。
詳しい内容を知っているはず。
「……噂を鵜呑みにしたせいだな」
「どういう事です?」
「今、社交界を騒がせている噂を知っているな」
「私と陛下の事ですか?」
「陛下が我が子可愛さに王妃を離縁してフアナを正式に娶る算段をしているという内容の、な」
「いつの間に離縁の話まで追加されたのですか……」
「噂など、尾ひれがつくものだ」
確かに。
伯父様の言う通りです。
「元々、ここ数年情緒不安定であったようだ。結婚当初から城の者達から厳しい目で見られていた上に、陛下は生来移り気な方だ。結婚一年目には数人の愛人がいた位にな。愛人の存在に気付いてヒステリックになった事で陛下からの愛情に陰りを見せ始めたのが運のツキだった。陛下は王妃を嫌ってはいないが、昔のように愛がある訳ではない。まあ、愛着はあったようだし、これといって離縁の理由も無かったから今まで結婚生活が続いていたんだろう。王妃も子供がいない事に負い目を感じてもいたようだしな」
「私が陛下の子供を産んでしまったせいですね」
「精神のバランスを崩したらしいが、フアナのせいではない。後見人の侯爵家が王妃との養子縁組を解消したのが決め手だ」
王妃の後ろ盾でいても、もう旨味が無いと判断したのでしょう。それとも別の思惑があったのかもしれません。
「侯爵家の養女になっても、男爵家の庶子の身分は王城では侮蔑の対象だったでしょうに……」
きっと、王妃様の最大の後ろ盾は陛下だったはずです。
陛下の愛情だけを頼りにしていたのでしょう。
伯父様が仰るように陛下は移り気です。熱しやすく冷めやすい。愛妻家とは程遠い方です。恋人にするなら最高の相手ですが、結婚相手となると最悪でしょう。私も陛下の『愛妾』だからこそ今まで付き合ってこられたと思います。結婚して一緒に暮らすとなると……難しいですね。
「王妃様はどうなるのですか?」
「いずれ、毒杯を賜る事になるだろう」
ああ、やはり。
となると、今は処分を待つ身ということですか。
「生家の男爵家も連座だ。子供ができない事を長年責め立てていたらしい」
実の親兄弟から言われるのは堪えますね。
何とも嫌な事件です。
私の息子が玉座に就くはずありませんのに。
いいえ、そもそも就けるはずがないのです。
子供達に王家の血は流れていないのですから――




