表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

わたしとタケシの日常2

作者: 恵梨奈孝彦

『わたしとタケシの日常2』


「おれは使い捨てカイロがきらいだ。異常なほど熱くなるのが嫌いだ。燃えるゴミかそうじゃないのか、わからないのもキライだ」

 と、力説している男子のそばで、わたしはお弁当を食べている。

 こいつがカイロを好きでも嫌いでもいいが、つばがとんできたらしばいてやる。

 そんなことを考えながら、幼馴染のタケシの隣で、わたしはミニハンバーグとプチトマトと鮭の切り身のお弁当を食べる。

 この中のメインは、やっぱりハンバーグだろうか。

 わたしは好きなものを最後までとっておくタイプだ。

 いつかそう話したら、タケシに「貧乏性だなあ」と言われた。

 やっぱりしばいてやる。

 そんなことを考えていると、タケシが着替え始めた。

 やばい! 5限は体育だ!

 タケシに時計を貸しっぱなしにしていて、時間に気づかなかった。

 すぐに更衣室に行かなきゃ。

 必死に食べ続けたが、全部は無理だった。

 持久走のあいだじゅう、弁当箱に残ったハンバーグのことだけを考えていた。

 6限、掃除、ショートの間、ずっとお腹がすいていた。

 「さようなら」の後、教室に一人で残って、ひそかにお弁当箱を開けて、ハンバーグを食べた。

 帰ったら、お腹が痛くなった。

 ハンバーグがいたんでいたのか? まだ寒いからイケると思ったのに。

 次の日学校を休んだ。

 下痢では格好がつかないので、風邪だと連絡してもらった。

 午後に、タケシが見舞いに来た。

 風邪だと言ってあるはずだから、みかんゼリーでも持ってきたんだろうか。

 腹痛だから、それでもいいけど。

 しかし、お母さんが「タケシ君から」と持ってきたのは、食べ物ではなかった。

 使い捨てカイロ1ダース。

 あいつ、嫌いだと言ってなかったか?

 もしかしたら、ヒトからもらったものを、自分が使わないからわたしに押し付けたのか?

 まあいいや。

 わたしはカイロを布団の足元に入れた。

 タケシがくれたカイロは、1日中寝ているしかなかったわたしを、しっかりと温めてくれた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ