わたしとタケシの日常2
『わたしとタケシの日常2』
「おれは使い捨てカイロがきらいだ。異常なほど熱くなるのが嫌いだ。燃えるゴミかそうじゃないのか、わからないのもキライだ」
と、力説している男子のそばで、わたしはお弁当を食べている。
こいつがカイロを好きでも嫌いでもいいが、つばがとんできたらしばいてやる。
そんなことを考えながら、幼馴染のタケシの隣で、わたしはミニハンバーグとプチトマトと鮭の切り身のお弁当を食べる。
この中のメインは、やっぱりハンバーグだろうか。
わたしは好きなものを最後までとっておくタイプだ。
いつかそう話したら、タケシに「貧乏性だなあ」と言われた。
やっぱりしばいてやる。
そんなことを考えていると、タケシが着替え始めた。
やばい! 5限は体育だ!
タケシに時計を貸しっぱなしにしていて、時間に気づかなかった。
すぐに更衣室に行かなきゃ。
必死に食べ続けたが、全部は無理だった。
持久走のあいだじゅう、弁当箱に残ったハンバーグのことだけを考えていた。
6限、掃除、ショートの間、ずっとお腹がすいていた。
「さようなら」の後、教室に一人で残って、ひそかにお弁当箱を開けて、ハンバーグを食べた。
帰ったら、お腹が痛くなった。
ハンバーグがいたんでいたのか? まだ寒いからイケると思ったのに。
次の日学校を休んだ。
下痢では格好がつかないので、風邪だと連絡してもらった。
午後に、タケシが見舞いに来た。
風邪だと言ってあるはずだから、みかんゼリーでも持ってきたんだろうか。
腹痛だから、それでもいいけど。
しかし、お母さんが「タケシ君から」と持ってきたのは、食べ物ではなかった。
使い捨てカイロ1ダース。
あいつ、嫌いだと言ってなかったか?
もしかしたら、ヒトからもらったものを、自分が使わないからわたしに押し付けたのか?
まあいいや。
わたしはカイロを布団の足元に入れた。
タケシがくれたカイロは、1日中寝ているしかなかったわたしを、しっかりと温めてくれた。