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94.祈り祈られ全開バフ

「うおおおお!」

「はああっ!」


 魔女軍と呼ぼうか……その魔女軍と、王国軍の戦が周囲で繰り広げられている。と言ってもちと狭いエリアってこともあって剣と剣とか、ハンマーぶん回したりの近接戦ばかりである。

 おかげでテント吹き飛ぶし荷物散乱するし、散々である。後片付けめんどくさそうだなあ、なんて考えてる暇はないけどね。


「貴様らあ! 魔女様のお怒りに触れるか!」

「そちらこそ、聖女様がお怒りだあ!」


 何というか、文句の内容が微妙だなあ。ともかく、王国軍……どうせならこちらに味方してくれている帝国軍の人たちにもバフください、お願いしますとお祈りしまくりである。どうせ、戦闘なんてできないし。

 ん、何か背後に、気配。


「キャルン様!」

「っ!」


 瞬間がきょん、と耳障りな金属音がして、エイクが割り込んできてくれた。敵の兵士が剣を振り上げてたところを、土手っ腹に一撃食らわせたらしい。


「あ、ありがとう、エイク」

「任務ですから!」


 二人目は金的食らわせて、三人目に剣を突き入れながらエイクはあっさり叫ぶ。

 あー、人死んでるし殺してるんだけどどうも何とも思わんなあ。キャルンになってから人死にはしょっちゅう見てるし、戦場だって理解できてるからだろうか。怪我人の治療は頑張ってるけど、どうしても助からない人は出てきているしね。


「あと、お祈りは続けてもらえると助かります。どうやら、聖女の御加護があるのは事実のようですので」

「あら」


 おお、バフはマジでかかっているようだ。それなら、私が祈るのも無駄ではないってことよね。味方の能力アップに繋がる、ってことなんだから。


「わ、分かりました。ちょっとがんばります」

「お願いします。他の聖女様も、祈りを!」

「はい!」

「構いませんが、後で一人殴らせてくださいましね!」


 ガルデスさんが、他の聖女様たちにも叫ぶ。この場合スクトナ様も入るのかな、とかしょうもないことを考えるのはやめよう。どうせ数ならこっちの勝ちだ。

 なお、殴らせろと言ったのはコートニア様である。殴りたい一人って多分、あそこでセーブルさんと戦ってるドナンさんのことなんだろうなあ。


「わたくしはあ、参戦いたしますわあ」


 そうして、ピュティナ様だけはにっこり笑って拳を握りしめている。あー、拳光ってるよ。もしかしてアレ、正面からぶつかっても剣折りそうなんだけど気のせいかな。折れるくらいの防御力ください、と都合のいいお祈りをしまくる私である。


「ふ、ふざけるな! たかが聖女ごときが!」

「スクトナ様もお、たかが聖女ですわよお?」


 そこらの兵士たちに対し、ピュティナ様はにこにこ笑いながら光る拳を突き出した。あ、やっぱり剣折ってる。でも、その後手をひらひら振っているところを見るとノーダメージ、というわけにはいかないようだ。マジ祈り続けるか、うん。


「わ、わたくしとて魔女様配下の聖女! 我が軍に、力を!」

「わたくしからも、幸運を授けますわ!」


 おっと。スクトナ様と魔女が、ほぼ同時に全身から光を発した。魔女軍にバフかかったかなあ……無効化できそうな人いませんかー。

 つか魔女、魔術攻撃しないのね。こういう手合だとやりそうなもんだけど……前世でそんなにゲームやってないはずだけど、ゲーム脳なのかなあこれは。


「魔女様のお力だ!」

「王国、おそるるに足らず!」


 そして魔女軍は単純脳。うんまあ、今の光からちょっと押し返されてきてるっぽいの、分かるけれど。


「いい加減に、なさいませ!」

「ドナン! あとで殴りますからね!」


 そこへエンジェラ様とコートニア様の反撃と言うか敵方バフ解除というか、がかかる。ある意味不毛な戦いになってきたなあ。バフ合戦みたいなもんだし。

 そうして。


「何だ、こちらに来ていたのか」


 散らばったテントや荷物を避けながら、黒衣の帝国司令官が姿を現した。

 まるで主人公だなあ……まあ、『のはける』では主人公のエンジェラ様を救うヒーローだもんな、魔帝陛下。

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