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ヒドインに転生してしまったので、何とかしてざまぁ回避しようと思います!  作者: 山吹弓美


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75.魔女の目的はスベテ

「わたくしどもと同じ力を持った部隊が、帝都を攻撃しているはずです」


 ミッチャと言うらしい彼女は、他の人には見えないような場所……まあ要は仮設の取調室に入ったところで素直に白状してくれた。というか、いきなりこれかい。


「帝都って、帝国の都ですよね。大丈夫なんでしょうか?」

「都ですから、相応の防御を固めているはずですよ。それこそ、ピュティナ様クラスの結界を展開できる術師がいるようですし」


 他所の国とはいえ心配なのでセーブルさんに聞いてみると、あっさり答えが帰ってきた。

 いるのか。というかセーブルさん、いるはずとかいるようだとか、推測っぽいけどこれ情報持ってると思って間違いないよね。

 ま、帝国もラハルトさんを送り込んできてるんだし、こちらからも誰かが行っていておかしくはないよな。


「まさか、守りの聖女の実力があそこまでとは、わたくしどもは考えていませんでした」

「能力を発揮する現場がなかったからね。たまに、辺境に派遣されて魔物の大群相手に展開していたらしいけれど」

「王都全域カバーとか、とんでもないですよね……」


 ていうかさピュティナ様、わりかし平然と結界操っておられたようだけど。あれ、訓練とかしてないわけないですよね? それに、全力でどこまで展開できるかなんて一度やってみないとわからないだろうし……さてはて。

 まあ、ピュティナ様の能力は後で本人に聞くことにして、まずは魔女軍団の話だ。


「魔女はどうして、グランブレスト王家や帝国の魔帝陛下を敵視するのかな?」

「魔女様はおっしゃいました。魔女様やわたくしたちを排除しようとした魔帝一族、そしてその一族と結びついているグランブレスト王家を消し去ることで我らの国とするのだと」

「ふむ」


 王家や魔帝陛下が自分たちを敵と見てくるから、彼女たちもその勢力を敵と見ている、と。

 『のはける』では帝国対王国になってしまったから、国内のこういった敵がクローズアップされることはあんまりなかったな。せいぜいがスヴァルシャのご令嬢……って、それが魔女じゃん。


「以前からいろいろな陰謀をめぐらしておられたようなのですが、それが不首尾に終わったためこうして実力行使に及んだ次第です」

「陰謀?」

「詳しくは、わたくしは存じ上げません。部隊長様も、ほとんどご存知ではなかったかと」

「なるほど。まあ、表立って攻撃するグループと裏工作するグループで別々なんて、よくある話だね」


 うん、『のはける』でもコソコソやらかしてたもんねえ。それで魔帝陛下に遠ざけられて、結局色ボケしたフランティス殿下と組んで……いやまあ、私よく思い出したもんだグッジョブ。


「それで、帝国内だけでなく越境してこちらに攻め込んでくる理由は分かった。わざわざ、長距離から王都を狙ってきたのもその方が効果が認められる、と考えたからかな。ピュティナ様の能力は計算外だったわけだが」

「はい」


 ほんとにミッチャさん、素直に答えてくれるなあ。これが本気なのか演技なのかは分からないし、本気でもちゃんとした情報として使えるかどうかはまた別の話なのが面倒くさいけど。


「君たちは、君たちの本拠地が狙われることを考えなかったのかな?」

「その前に叩き潰せる、と皆考えていましたから。それに、魔女様がおられますので」

「かなりの部分を、魔女に依存しているようだな。カリスマって、すごいなあ」


 本当にすごいよねえ。ミッチャさんやこの部隊の人たちは、魔女が大丈夫だと言ったから大丈夫だと思いこんで、そうしてこうやって国境越えてはるばるやってきたんだから。んで、ピュティナ様に阻まれてセーブルさんに潰されたんだけど。


「ところで」


 ぼんやりと考えている私を置いといて、セーブルさんはミッチャさんの顔をまっすぐに見た。真剣なイケメン顔に、いくら敵でも一瞬ミッチャさんが固まったのはまあしょうがない。何でこの人、『のはける』じゃちょい役だったんだろ?

 ……いや、ちょい役じゃなかったらフランティス殿下や魔帝陛下の影が薄くなるかもしれないけどさ。


「君はどうして、そういった情報を口にする気になったのかな?」


 そのレベルのイケメンに、優しい口調で問われてミッチャさんは「……その」とあっさり口を開いた。おのれイケメン。


「部隊長様がおかしくなられたのは、多分魔女様のお力によるものなんです」

「うん」

「以前、物資調達を任されていた者が帝国軍に摘発されたんですが、その者は取り調べ中に先程の部隊長様と同じような状態になって……その」

「……失礼」

「うわ」


 おわっ、いきなりイケメンに耳塞がれた。いやえーと、何か私に聞かせたくない話?

 しばらくして、セーブルさんは手を外してくれた。うーむ、意外にちゃんと聞こえなくなるもんなんだな、会話。


「……失礼いたしました。物資調達の責任者は、魔女の力により取り調べ中に死亡した模様です」

「へ?」

「具体的な状況を教えていただいたのですが、さすがに聖女様のお耳には入れたくなかったもので失礼いたしました」


 セーブルさんの言い訳からすると、結構洒落になってない死に方だったみたいね。本能寺とか平蜘蛛ボンバーとか、そんな感じかも。うむ、前世の終わりがたに見た時代劇を思い出してしまった。


「でも、どうしてそんなこと分かるんですか? 帝国軍にスパイでも」

「いえ。魔女様自ら、罰を下したとおっしゃいました」


 魔女か。結局魔女、なのか。

 王国も帝国も敵に回し、自分に心酔する者を鉄砲玉として敵陣近くに送り込み、裏切り者は消す。うん、わかりやすく敵の黒幕、大ボスだ。

 ……私がフランティス殿下を撃墜しなければ、こういう展開なのか。大変な世界なんだな、ここ。

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