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ヒドインに転生してしまったので、何とかしてざまぁ回避しようと思います!  作者: 山吹弓美


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67.移動先クエスチョン

 その後、すぐに地下牢の付近を警備していた兵士さんたちが呼ばれた。

 彼らによれば、気がついたときには既に牢番たちが斬り殺されていて、スクトナ様を入れていた牢の鍵が開いていたらしい。こっそり忍び込んだんだな、ドナンさん。


「その後、二人はどうしたのかな?」

「おそらくは通用門より、城の外に逃亡したと思われます。王都内に探索の指示が出たはずですが……」

「勢いよく王都の外にまで逃げたと思うよ? 王都内に潜入し続けるのは、周囲が皆敵だし難しいだろうから」


 お城にも、通用門ってあったね。いやまあ、食料とか運び込んだり運び出したりするのに必要だけどさ。

 正門よりは警備が薄いのか、交代の時間を見計らったのか、まあいろいろ考えるのは後にしたほうがいいよね。


「ありがとう。君たちは任務に戻ってくれ」

『はっ!』


 兵士さんたちを帰して、フランティス殿下はこちらを振り返った。まあ、私たち聖女もある意味当事者だしなあ。当然、話は普通に聞いているわけで。


「スクトナとドナンがどこに向かうか、考えてみようか」


 その私たちに殿下は、そんなことを言ってきた。正直私も知りたいけれど、本人に聞けない以上皆で考えるしかないし。


「グランビレのご実家はありませんわね。さすがにスクトナ様も、押さえられていることは推測できるかと」

「と言いますか、主だった貴族を頼ることはできないとスクトナ様も、騎士ドナンも分かっているでしょうし」


 コートニア様、そしてエンジェラ様がまずでかいところを潰す。大概の貴族のところには行けない、まあセイブレストなんて当然無理に決まってるし。


「父上がお二人を発見されたらあ、お二人のお生命ないかもしれないですねえ」

「多分避けて通りますよ。セイブレスト辺境伯の領地なんて、今のお二人にとっちゃただの壁です」


 その娘さんであるピュティナ様が物騒なことをぶちかましてくれたので、ついつい突っ込んだ。

 だって、あの二人にしてみたら王家に忠誠誓っているセイブレスト領に向かうってことは罠と地雷と武装兵士がうじゃうじゃいる中に飛び込むようなもんだろうし。そんなことしないわ、きっと。

 ふっと、エンジェラ様が顔を上げた。


「現在ではセイブレスト領ですけれど、スヴァルシャと繋がりやすい旧セイブラン領はいかがでしょうか。魔女がいまだ味方だとスクトナ様がお考えならば、すぐにでも連絡を取りたいはずですわ」

「ふむ」


 旧セイブラン領は、現在セイブレスト家から派遣された名代がセイブランの後始末に奔走しているとか何とか。そこそこ混乱している状況らしいし、セイブラン家に忠誠を誓っている者もまだいるだろうから……その人たちを、頼れば。


「旧セイブラン領、念のためグランビレ家にも連絡を取ろう。本人が来なくても、手紙が出されている可能性はある」


 そうして殿下は、そう結論づけた。王都から逃げててくれれば、こっちに面倒が降り掛かってくる確率は下がるけどさて、どうなることやら。


「念のため、王都内の捜索は継続させるよ。できれば、ドナンの協力者なども探し出してくれるとありがたいね」

「そうですわね。彼一人でスクトナ様をお救いすることなど、できないとは申しませんが様々な問題がありますもの。ゲルダ、手配をお願いできて?」

「はっ。国王陛下にご報告と手配の依頼をしてまいります」

「頼んだよ」


 善は急げ、とばかりにゲルダさんを走らせるのはさすがというか。エンジェラ様のおつきでガルデスさんの妹だから、結構信頼あるんだろうなあ。

 そして、もう一つ。


「エイク・カリーニ」

「は、はいっ!」

「ドナン・カリーニの処遇については、カリーニ家に任せる。すぐに通達を出すから、君はそのまま任務を続行してくれ」

「わ、分かりました」


 フランティス殿下は、エイクのことも気にしてくれていた。まあ、お兄さんが罪人脱獄させて一緒に逃げるなんてなあ、今後周囲の目が変わることは……情報漏れたら間違いなく変わるな、うん。


「次兄がご迷惑をおかけして、申し訳ありません」

「弟の君が謝る必要はない。ドナンもいい大人だ、自分の責任は家と自分で取らせるさ」


 深く頭を下げたエイクに、殿下ははっきりと答える。ドナンさん自身に責任取らせるのはともかく、家にってどういうことだろう、と思っていたら。


「……まあ、エイクの兄上が一人になる、くらいじゃないかなとは思うんだけど」


 ああ、家から追い出すのか。そりゃそうよね、うん。

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