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56.これは状況チェンジ

「ラハルト、ゲルダ、エイク、レックス」


 即座にフランティス殿下が、聖騎士部隊四名の名を呼ぶ。全員覚えてるんだ、とちょっと感心したけどまあ、お茶会についてくるからよく会うもんなあ。


「自分は手土産持参の折にコートニア様と合流しましたが、その前には見ておりません。昨日朝には顔を見ておりますが」

「今朝早くの任務確認の折には見かけませんでした。最後に顔を見たのは……昨日の昼食時でしょうか」

「ここ数日、ほとんど兄とは顔を合わせていません」

「ぼ、僕もです。ドナンさんとは、数日お会いしておりません」


 それぞれに、手早く報告をしてくれる。つーと、コートニア様を除いて一番遅くに会ってるのはゲルダさんか。それでも昨日のお昼なんだから、もう一日は経ってるな。

 で、彼らの報告を聞いて殿下は「ありがとう」と頷いた。誰か今日会ってれば、情報があったのかもしれないけれど。


「……まあ、エンジェラはキャルンと一緒にいることが多いし、ピュティナもコートニアとはあまり同行しないからねえ」

「だってわたくし、キャルン様の後見ですのよ? 未だにキャルン様を見下す愚か者も多くて困りますわ」

「え、そうなんですか」

「そうなんですの。わたくしとゲルダが睨むとこそこそお逃げになりますが」


 いや、エンジェラ様に言われるまで気が付かなかったぞ、それ。思わずエイクに目を向けると、こくこくと頷いてる。え、うわ、マジか。


「気が付きませんでした……すみません、お手数おかけして!」

「いえ、ご心配なさらず。……わたくしが殿下の婚約者に選ばれた当初も、同じような視線を向けてくる者が多かったのですよ……スクトナ様、とか」


 あーうん、そういうことか。自分より偉い立場に立ちやがってこのアマ、とかそういう目を向ける連中がお城の中でも多いわけだ。

 それとエンジェラ様、スクトナ様にはちょっと思うところあるみたいだなあ。まーあの人じゃしょうがないよね、私一度しか見てないけど。


「スクトナは自分至上主義だからね、キャルンは気にしなくていいよ。……ラハルト、手配を」

「捕縛できれば連行、そうでなければ行き先の確認でよろしいですね?」

「それでいい。頼む」


 と、そんなことを話しているうちに殿下はさくさくとラハルトさんに命令、ラハルトさんもさっさと出ていってしまう。ラハルトさんは帝国の密偵だけど、反体制派の動きは把握しておきたいだろうしここは利害の一致ってところよね。


「コートニア、ドナンの態度には特に変わったところはなかったかい?」

「ございませんでしたわ。ですから、いきなり消えられてわたくしは困っているのです」

「彼にしては器用だね。それとも、昨夜に何かあったか」

「後者であろうと、わたくしは考えておりますわ」


 というかあなたがた、ドナンさんが隠し事できない前提で話してますよね? いや、私もあの人すぐ顔に出るよなーとか思ってるけども。


「エイク先輩、どうなのですか?」

「僕も、フランティス殿下やコートニア様のお考えには賛成だね。ドナン兄上、すぐ顔に出るから」

「ああ。彼の最大の難点は、感情を隠すことができないという点だな。交渉事や搦手を使った攻撃など、彼にはできんということになる」


 おつきトリオ、というかエイクとゲルダさんがめっちゃ辛辣である。レックスくんは一番後輩っぽいから、下手に上の人の文句言えないんだろうな。大変だ。


「ともかくう、わたくしたちも気をつけないといけませんわねえ。騎士ドナンが万が一い、情報を漏らさないとも言い切れませんからあ」

「スクトナ様がお命じになれば、あるいはあり得ますわ」


 ピュティナ様の言葉に、コートニア様が頷く。いくら守る相手が変わっても、仕えたい相手はそのままだったってことか……人の想いに文句を言うつもりはないけど、でもなあ。


「警備の情報も、漏れているだろうね。即刻切り替えるよう、手配する。皆は一人で動かないよう、気をつけて」

『はい!』

「聖騎士部隊は、今が頑張り時だと思う。負担が増えるかもしれないが、僕や王家の皆は君たちの働きに期待しているよ」

『はっ!』


 まあ、とにもかくにもフランティス殿下が動いてくれるみたいだから、お願いするしかないけれどね。あーもう、『のはける』のこの時期とかどうなってたんだー、描写なかったぞー!

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