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24.面倒なコネクション

「それと念のため、聖女全員に警戒を呼びかけておこうか。父上とも相談する必要があるけれど、これ以上の問題は起こしたくないからね」


 フランティス殿下の思考回路、結構素早いよね。聖女絡みの話を殿下が独断で命じることはできないけれど、国王陛下に話を持っていって進めるつもりで考えてる。

 と、聖女全員か。


「今お城にいるのはわたくしとキャルン様、コートニア様とピュティナ様の四人ですわね」

「あと、あちこちに五人いるってラハルトさんから伺いましたけど」

「うん」


 エンジェラ様の言葉に続いて、私が知ってるだけの話を尋ねると殿下は頷いてくれて、どういうことか教えてくれた。


「エンジェラやキャルンはまだ聖女として日が浅いから、城内で力を磨いてもらってるんだ。そして実力が付いてきたと認められれば、それぞれの能力に応じた任についてもらうことになる。浄化の得意な者は戦で亡くなった者たちの供養とか、治癒に特化した者は災害現場とかね」

「なるほど」


 ま、そりゃそうだよなあ。私なんて、お城に来てほんの一ヶ月も経ってないわけで……能力どころかまずはマナーと文字の読み書きからだもん。貴族の人たちはその辺全部基礎教養だろうから、私はスタート時点で出遅れてるわけだ。

 自分の能力が分かるのは、この後いろいろな魔術を試してみてかららしい。治癒とか浄化とか、あと結界なんかもあるよね。……『のはける』ではキャルンはろくな能力を引き出すことができなかったけれど、多分ちゃんと修行しなかったからだ。この愚か者、今私だけど。


「キャルン以外の聖女たちは皆貴族の出身だけど……少なくとも、セデッカやレフリードに瑕疵があった場合に得をする家柄ではないと思うんだよね。念のため、背後関係などは洗わせてるけど」

「はあ」


 ん?

 えーと、殿下の言うことは……ああそうか、私の養子先であるセデッカやエンジェラ様の実家であるレフリードが問題起こして権力なくした場合、その後釜に入りたがりそうな先を探してるってことだ。

 それで、私にちょっかい出してきたんじゃないか、とそういうことか。なるほど。


「皆様のお家も存じ上げておりますけれど、確かにどこのお家もセデッカ家や我がレフリード家の後釜に入るような事業を取り扱われているわけではありませんわね」

「私は全然詳しくないので、王家の方でしっかり調べてもらえると助かります」

「うん、そうだよね。分かっているから安心してくれていいよ」


 いやほんと、名目上の養子縁組先なだけで何も知らないもんなあ。一応領主様だったわけだけど、そういうめんどくさいことは親が相手してたんだもの。

 ……しかし、フランティス殿下。婚約者の後輩にそれだけ優しい態度は大丈夫ですかね? ま、当の婚約者様がお隣でにこにこと微笑ましく見守ってくれてますけれど……私は子供か。被保護者には違いないけどね。


「キャルン様は、王城に来られてまだ間もないのに大変ですね」

「はあ……貴族や王族の方々も、平民とは違う苦労されてるんだなあって感じました」


 何と言うか、エンジェラ様に気を使ってもらってるのがなあ。自分のことを考えろよ、と思うんだけどこの人たちはどうやら、これが当たり前の思考みたいだしなあ。王族貴族だから、平民の上に立って平民を守ってくれる、みたいな。

 こういう世界の場合、平民は主に日々の生活に苦労している。まあ、うちは畑もあったし食事は何とかなったけど。

 対して貴族や王族は、日々の生活には困らない。その代わり自分の領地で発生した問題の解決とか隣との交渉とか魔物が出てきたので何とか仕留めようとか、もっと大きい問題に四苦八苦することになる。聖女の扱いもその一つ、だと思う。


「フランティス殿下には、ものすごくご面倒をおかけしてます。ごめんなさい」

「ははは、構わないよ。エンジェラにとっては友達なんだろうし、僕も君の後見を任されているからね」


 一応謝ったら、さらりとかわされた、気がする。基本的に、この殿下はエンジェラ様を通して私との関係を構築してるっぽいな。

 ……ここから王太子殿下の寵愛、よくぞ勝ち取りやがったなあ『のはける』キャルン。まあ、どっちかっていうとペット扱いの気がしたけどね! アニメ見てて思った!

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