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13.いのりカリキュラム

「ごちそうさまでした!」


 パンにシチューにサラダにデザートのプリン、コトント村では正月やお祭りの日でも食べられないようなごちそうがここでは普通のお昼ご飯として出てくる。おかげで私は、幸せのうちに食事を終えることができるんだよねえ。

 これは昨日ここについてからずっとなんだけどさ、いやほんと食事重要。


「キャルン様、よほどお気に召されたのですねえ」

「だって、ここのご飯美味しいんですもの。さすがはお城って感じで」

「お口に合うのでしたら、良かったですわ」

「はい」


 うむ、一緒に食事をとっていたエンジェラ様が目をまんまるにしておられる。ごめんなさいエンジェラ様、前世はともかく貧乏平民の舌にはお城の中の食事は美味すぎるんですよ……そのうち太りそうだな、運動しないとだめか。

 ただ、確かに私にはとっても美味しかったんだけど、出身地とかによっちゃ口に合わない人もいるよなあ。こういう世界であるのかどうかわからないけど、アレルギーとかも。

 ……考えても分からないし、とりあえず人に迷惑をかけないようにすればいいか。よし。




 で、食器を片付けてゲルダさんとエイクと合流、宿舎に併設されている教会に向かった。

 聖女もそうなんだけど、この世界で自分の素質を知る儀式を執り行うのは教会で……この素質は神によって民に与えられた力であるという教えが一般的である。

 そういうわけだからか、能力をあげるための訓練場所は教会なんだよね。もし『のはける』がゲームだったら一日に一回とか、教会で祈ってステータス上げることになってたと思う。


「午後は、聖女としての力を使うための基礎訓練ですわ。と言っても、まずは基本として祈ることからですけれど」

「そういえば、どうやれば聖女の力使えるのか知らないです」

「個人差はありますが概ね、精神を集中して祈りを捧げれば発動しますよ」


 そこら辺はベタベタでいいらしい。いや、『のはける』でエンジェラ様やキャルンは祈って発動させてたけど、現世でも同じかどうかなんて聞いてみるまで分からなかったし。


「ああ、ピュティナ様は何がしかの攻撃で発動されるようですけれど。例えば、大地を拳で叩くとか」

「わあ」


 エンジェラ様の説明に、思わず顔がひきつった。いやいやちょっと待て、ピュティナ様。

 個人差というか例外というか、つーか世紀末覇者の娘はハゲヒゲマッチョの錬金術師だったのか? いや、性格考えるとその妹さんか。……あんまり考えないようにしよう。祈るよりははるかにピュティナ様らしいし。

 そういえばピュティナ様、次女って言ってたっけ? ということはつまり上にお姉さんがいるのか、どこぞの要塞の北壁とか呼ばれてないだろうな?

 いやいやとりあえずそこは置いといて、だ。


「と、とにかくまずは、きっちり精神統一するところからですね?」

「そうなりますわね」


 私の顔を見て、エンジェラ様はとっても楽しそうである。もしかして百面相でも繰り広げていたか、私。うわー恥ずかし。

 ゲルダさんは平然としてるけれど、エイクは……あ、顔真っ赤にしてる。あれは笑いをこらえている顔だ、おのれー。


「……エイク。笑っても怒らないですよ?」

「……い、いえ……う、わ、わらってなど……ぷっ」


 うん、我慢できずに吹き出した。壁に向かってあははははと笑ってるのはまあ、いいんだけどさ。ちくしょう覚えてろ、逆ハーとまではいかないけれど跪かせてやりたい。


「そんなだから、騎士エイクはいつまでも見習いなのですよ」


 本気で平然としてるゲルダさん、それはそれで何だか微妙なんだよねえ。ただ、エイクが未熟だってのは同意しよう。

 まあ、ちゃんと成長して見習いが外れるかどうかは、エイク自身の問題だしね。

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