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引っ越しの多い家  作者: 大沼 章
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三兄弟の成長日記

 福岡県久留米市、とある官舎で一人の男の子が産まれる。名は明。直樹と治子の間に産まれた第一子長男である。

 この子が泣き虫で、赤ん坊の時は当たり前だが、しばらくして物心がついても自分の思うように行かないとすぐ泣く子で、幼稚園の先生なども「今日は、明君泣きませんでしたからね。」と、泣かない日の方が珍しいのである。

 直樹と治子は、明を連れて美空ひばりのコンサートに行ったことがある。席は最前列。最高の場所だったが、明が「ホギャ」と泣きそうになると、他のファンから睨まれる。熱烈なファンから苦情がいったのか、或いは見ていられなくなったか、警備員がきて、「こちらへ。」と誘導された。

座席の後方にあるガラス張りの部屋である。

 そんなこんなで、すぐに北海道恵庭に引っ越すことになる。

 明は、家の官舎にぶら下げてあるブランコが好きだった。幼稚園にも入っていない明は、いつもブランコに乗っていた。

 そんなとき、直樹と治子に第二子亘が産まれた。何も知らなかった明は、退行した。すぐ泣き、母に甘えた。しかし、母治子は、そんな明を突き放した。

 そんなことも忘れ、明と亘はすぐ仲良しになり、小さな近所の山で遊んでは帰る毎日だった。

 幼き日々というのは、単調でも楽しく、否、一見単調な中から小さな楽しみをたくさん見いだし、楽しい中から多くを学ぶようだ。

 一見単調な毎日から、また引っ越しというリセットがある。千葉県習志野市実籾の三山の官舎である。

 

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