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幸に忠を。  作者: 夏雪あい
三章 生前の縁
9/17

[一 忠義]

 待ち備えていた。

 夜が更け、ゆりもさくらも眠りについている。

 椿姫は、リュックの傍で端座している。九郎もゆりの傍で、刀を抱え座っていた。それで、忠義も同じ部屋にいる。悪霊の侵入を検知しても、伝える相手はこの二人だけだからだ。んがちゃんには、伝えて何が変わるわけでもない。

 二人しか住んでいないのだから、もっと狭い家なら良い、と思う。そうであれば、みんな同じ場所で待機ができる。狭苦しいかもしれないが。

「昼もそうだけど、俺たちって暇すぎないか?」

「他に何をするんだよ?」

「娯楽がないんだよなあ」

 拠り所に常に寄り添う。あとは守護霊同士で会話するくらいだった。

 現層の物質に関与できるのであれば、テレビを見たり新聞を見たりもするのだが、それはできない。テレビにはスイッチを入れられないし、新聞はめくれない。そもそも好奇心に乏しい。食欲や排泄欲があるわけでもない。疲れたり傷を負ったりしない限り、睡眠も特に必要ない。その睡眠も、忠義の経験から言うと、睡眠というより気絶だった。

「何年か前、椿姫が顕現するよりも前だが、祭りはやっていたぞ。飲めや歌えやってな」

「じゃあ、それ、やろう」

「三霊でどうやるんだよ。楽器を出せるやつもいないんだぞ」

「地を太鼓代わりに」

「やってみろよ」

 いくら叩いてみても、自分が着る衣服の衣擦れの音が、わずかに聞こえるだけだ。

「忠義様、現層の物質には関与できませぬ」

 そうか。そうだった。最近は守護霊生活に慣れてきたせいか、極普通に人間として生きているような錯覚すら覚える。

「寂しい世界だよ」

「守護霊が生み出したものしか、守護霊は関与できないぞ。元音楽隊の守護霊が顕現することでも、期待しておくこった」

 鳴り物の期待はできない。しかし、こんな時でも何かを考えつくのが、元人間の美徳ではないだろうか。

「姫、俺と鬼ごっこしようよ」

「お断りいたします」

「じゃあ、かくれんぼ?」

「何をするかの問題ではございません」

「ま、やっても、俺の余裕勝ちなんだよね」

 佐伯家の敷地内であれば、幸の動きは感知できる。動いていなくても、感じ慣れた椿姫なら判別は容易い。

「忠義様。もう、いつ悪霊が襲来しても、おかしくはない時間なのですよ? 緊張感をお持ち下さいませ」

 どうせ待つ以外に何も出来やしないのだ。緊張するだけ無駄だ。とは言わなかった。悪霊の襲来を感知出来ないニ霊からすれば、落ち着かない気持ちもあるだろう。

 ふと、違和感を覚えた。忠義の緊張を感じ取り、二霊が立ち上がった。

「いや、悪霊ではない。気がついたら、居間になんか増えてる。よくわからない」

「念のため、見ておくぞ」

 九郎の言葉を期に階下へ降りる。居間に入ると、正体がはっきりした。カンガルーが跳ね歩いているのだ。その腹から、んがちゃんの顔が出ている。すこぶる嬉しそうだ。

「んがっ、んがっ」

「なんだこれは」

「カンガルーだね」

 動物園で見たことがある。茶色いウサギが大きくなったような姿で、腹にポケットのような袋がある。腹の袋に仔を入れて移動することもある動物だ。

「カンガルー、でございますか?」

「うん。見ての通り、動物だよ」

 飛び跳ねているカンガルーの大きさは、立った忠義よりいくらか小さいくらいだ。カンガルーが忠義に近づいてくる。

 と思ったら、ふいに二本足で立ち上がった。忠義と同じ目線になった。さらに尻尾でも立ち上がり、今度は見上げるほどになった。

 自分の方が高いぞ。そう言われている気がして、忠義はたじろいだ。

「大きいなあ」

 九郎が臆せずに触った。

「く、九郎様っ」

「なんぞー?」

 椿姫の目が爛々と輝いていた。

「わたくしも、触りたく存じます」

「おう、触れ触れ」

 恐る恐る近づく椿姫。カンガルーは、モフモフと触り心地の良さそうな毛並みだ。

 椿姫が恐る恐るカンガルーに触れると、腰が引けたままに、花が咲いたような笑顔を見せた。年相応の可愛らしさが垣間見える。こういう安らぎが、この世界には足りない。

「守護霊だよな?」

「だろうな。どれが拠り所だろうか」

「探せませんでしょうか?」

 椿姫は、カンガルーを撫でる手を休めていない。カンガルーも嫌ではなさそうだ。

「教えてくれないのかな?」

「カンガルーがか?」

「そう」

 カンガルーが教えてくれるとは思えないが、教えてくれたらいいな、とは思う。

「人型でない物質守護霊が、理解できる意思を示すのは、相当な時間が必要だぞ。生命守護霊のように、生まれた時から、人に寄り添って顕在しているわけではない」

「駄目でございますか?」

「方法があっても、今は無理だね。来たよ」

 不穏な幸の流れを感じ、感覚を伸ばす。すると悪霊の存在を感知できた。この侵入感知能力は、幸を伝って異物の感知を可能としているようだ。ゆえに、土地の幸が濃くなればなるほど、感知の精度は上がる。

「どんなもんだ?」

「妙に強そうなのが三。浮遊霊が、三十……四十……五十くらいかな」

「強そうとは?」

「わからない。一匹は外から登ろうとしてるっぽい。もう一匹が玄関側かな。残りの一匹が、そこの窓からもう見える」

 窓の外の庭を指差した。その先を見た椿姫が、創り出した薙刀を掴みそこねた。地に落下する前に、薙刀は消えた。

「お嬢様」

「なに?」

 しばし呆然とする椿姫。九郎がもう一度声をかけようとすると、椿姫が口を開いた。

「思い出しました。わたくしが、生前にお仕えしていた方でございます」

「そりゃ嫌な再会だなあ」

 かつての主人が悪霊。どういう気持ちかは、見当もつかなかった。

「ありゃ、自殺霊だ」

「おいたわしや」

 自殺霊がどんなだか知らないが、名の通り、自殺した悪霊なのだろう。

「ここに入ってきそうだし、おいらでもいいが、んがちゃんに相手してもらおう。自殺霊は強すぎるし」

「ですが、わたくしに会いに来られたのかもしれません」

「お嬢様って言うくらいだ。姫にとって主君みたいなもんなんだろ。あいつに刃先を向けられるのか?」

「ですが、他の方に滅されるくらいなら」

 椿姫は思い詰めた表情をしていた。手を震わせ、まともに対応できるとは思えない。

 九郎が椿姫の肩に手を置いた。それは言い聞かすというより、落ち着かせる意図を持っているように見えた。

「こんな世界で、さらなる悲しみを背負う必要など、ないのだ」

「それは」

「いいから上へ行け。ゆりを頼むぞ。忠義も行け」

 相変わらず椿姫とセットになる。生命守護霊と一緒にいても、効率は悪いからだ。

「でも、カンガルーは」

 と言ったところで、先んじて入室してきた浮遊霊を、カンガルー&んがちゃんが叩き滅していた。

 んがちゃんがカンガルーの移動力を手に入れた。呼称するとしたら、機動戦士んがちゃん。これは恐ろしいのかもしれない。カンガルーが二本足で飛び歩き、んがちゃんがガラガラで攻撃する。時に光線を吐く。

 興味本位でカンガルーに雷線を飛ばしてみた。稲光がカンガルーと結びつく。やはり物質守護霊だ。

 ピョンピョンピョンピョンピョンピョンピョンピョンピョンピョン。

 なんて恐ろしい。カンガルーが居間を高速移動している。よほど楽しいのか、んがちゃんが、キャッキャウフフしていた。

「君をガルーと名付けよう。頼んだぞ」

 視線の合ったガルーが頷いたような気がした。

「おまえら、早く行け」

「姫、行こう」

「お嬢様」

 未練を残す椿姫の手を引いて移動した。道すがら、幸大根を引き抜き、ミニ九郎に指示を伝えていく。

 ゆり部屋に入った。やはり、ゆりは寝ている。

 悪霊の侵入を待つ間、幸大根を引っこ抜き続けた。大小三十匹のミニ九郎だ。

「来る」

 椿姫が薙刀を構える。椿姫は落ち着きを失っていたが、雷線を飛ばしてからは、突然落ち着きを取り戻した。ミニ九郎達にも雷線を飛ばす。

 やがて、悪霊が窓から入ってきた。男子学生のような姿をしている。

「この方は」

「え、こっちも知り合い?」

「先日、ゆり様に関係を迫った殿方でございます」

「関係って」

 どんな関係だ。爛れた関係か? 学生のくせにけしからん。ここが俺たちの寝室だね、とか言っているのだろうか。

「まだ生きてらっしゃるはずです。ですから、きっと生霊です」

「ほう。強いの?」

「はい、想いの強さ次第ですが、とても」

 生霊が入室するなり、何かを探した。眠るゆりを見た。

「ああ、ゆり。僕のゆり。僕だけのものだ」

「気持ち悪っ」

 こいつは全力で討滅しなくてはならない。心に固く誓った。

 椿姫が言うような強さは感じる。理解可能なほどの意思を示す悪霊は、これまでも驚異的な強さだった。

 右手を上げた。ミニ九郎達が密集隊形を作り、刀を構える。

「かかれっ」

 腕を振り下ろすと、喊声をあげて突撃するミニ九郎達。椿姫も飛びかかる。しかし。

「邪魔を、するなあああっ」

 振り払われ、転がり戻ってくるミニ九郎達。椿姫の身体は、忠義が受け止めた。

 再びゆりに迫る生霊。浮遊霊も窓から入ってきた。

「まずいまずい。九郎ーズ、行くんだ。とにかく注意を引こう」

 声に出して指示をしなくても伝わるのだが、つい口に出してしまう。

 椿姫は、悪霊に斬撃を浴びせていく。しかし、斬れていない。幸が足りないのか。

「これは、九郎様がいないと」

「下もまだ同じような悪霊がいるって。しかも二体」

 引き抜ける幸大根は、この部屋にはもうない。

 雷線に集中した。少しでも雷線が太くなるよう、意識を傾注する。それは中断された。椿姫が吹き飛ばされてきたのだ。かろうじて受け止める。

「あいたた」

「ありがとうございます、忠義様」

 意識して受け止めたわけではないが、頷いてみせた。

「困ったね」

「九郎様がいらっしゃるまで、なんとか耐えましょう」

「倒せないかな?」

「とてもわたくしには」

 数で攻めかかれるほど、大きな悪霊でも、広い部屋でもない。そもそも、この部屋でこれ以上、幸大根が見つからず、ミニ九郎を創り出せなかった。

 ゆりが執拗に狙われ続けている。ミニ九郎では、歯が立っていない。

 圧倒的な個の力が必要だ。そんな実例を、つい先程見た。んがちゃんだ。

 浮遊霊は問題ない。雷線強化されたミニ九郎が、簡単に対応する。やはり問題は、男子学生姿の生霊だ。

「整列」

 五匹だけ生霊の牽制に付かせ、残りのミニ九郎達を集まらせた。

「よーし、みんな、言うことを聞いてくれよ」

 右手を上げた。

「納刀」

 ミニ九郎が、刀をくるりと回し、納刀する。それを見た椿姫が訝しんだ。

「忠義様、何を」

「ものは試しってことで。ふははっ」

 椿姫に向けて、右手を振り下ろした。

「合体っ」

「えっ」

 ミニ九郎達が喊声をあげ、顔を引きつらせた椿姫に駆け迫る。二十五のミニ九郎に迫られる椿姫の気持ちやいかに。

「いーやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」

 悲鳴の元となる椿姫から光が破裂した。眩しく輝き、目を開けていられない。

 少しして目を開くと、見たことのない美しい女性がそこにはいた。

「誰、だ?」

「忠義様、恨みますぞ。あのような横暴を」

 恨み節を聞くに、椿姫のようだ。それはまるで、椿姫が成長したかのような姿だった。合体前と比べると、とても女性的な身体つきをしている。

「おお、ゴージャス。美人さんだ。あ、美霊さんか」

 忠義の言葉を聞いた椿姫が、自分の身体を触って確認し始めた。次に、薙刀の刀身を鏡に見立てて、自分を写した。

「だ、誰ですか。これは」

 機動戦士んがちゃんを見て、まだ形の定まっていない引っこ抜いた守護霊となら、合体が可能ではないかと考えたのだ。思惑とは少し違うが、これはこれで成功だ。機動戦士椿姫を想定していたのだが、合体というより、吸収と表現したほうが適切な結果になった。いや、合体と言い張ろう。合体という表現にロマンがある。

「別人でございます」

 成長した姿を見せても、話し方が変わるわけではないようだ。

「驚くのは後にしよう。まず切り抜けたい」

 生霊に対していたミニ九郎は、五霊全て消滅してしまった。

 椿姫が構える。一歩、二歩。近寄り、斬る。斬れた。生霊がよろける。

「やれます」

「頼んだよ」

 雷線の放出に集中する。太くするのだ。全力で幸を送った。線が稲妻になる。激しい発光と破裂音が室内に満ちた。

「僕の、ゆり、なんだぞ」

「ええい、鬱陶しい。おまえのゆりであるものか」

 可能ならば、自らの手で滅したい悪霊だ。

 気合の声と共に、椿姫が薙刀を振り続ける。みるみると生霊が弱っていく。

「ゆりは、僕の、もの」

 なんて許しがたい奴なのだ。九郎に見せてやりたい。忠義の憤慨する気持ちを、九郎が一番わかってくれそうだ。

「成敗っ」

 椿姫の渾身の一振りを浴びると、生霊は霧散し消滅した。

「お見事」

 言うと、椿姫がこちらに刃を向けた。

「お戻し願えますか」

「え、なんで。せっかくだから、そのまま下に行こうよ。綺麗だよ。例えほとんどミニ九郎で構成されているとしても」

「だからっ、嫌なのでございますっ」

「あ、はい。よし、みんな、離れられるかな」

 雷線を通して意思を送ると、椿姫の衣服の下から次々とミニ九郎が出てきた。みるみる赤面する椿姫が小さくなっていき、少女の姿に戻る。

「どこから、出しているのですかっ」

「俺の意思じゃないって」

 薙刀の柄で横殴りされた。痛い。

 椿姫への雷線を解除すると、また落ち着きの無さを見せ始めた。

 椿姫とミニ九郎達を伴い、階下に降りる。玄関には何もいない。九郎が脱衣所の方にいるようだが、椿姫が気にする居間へ、まず向かった。

 居間に入ると、丁度決着がついたところだった。グローブをつけたガルーと、その腹にいる、んがちゃんのコンビが、自殺霊を殴り飛ばしたところだった。霧散している。

「お嬢様」

 やはり大事な人だったのだろうか。

 忠義には縁のない相手だったが、束の間、冥福を祈った。死後の死後があるのか、わからない。しかし、想うことで少しは納得が出来る。

 九郎の幸に異変が生じていた。急速に弱っていっている。

「九郎がおかしい」

 脱衣所だ。椿姫と機動戦士んがちゃんと揃って向かった。

 脱衣所に入ると、信じられないものを見た。横たわった九郎の身体が、ほとんど輪郭だけになっている。

 傍に着物姿の女がいる。悪霊だった。椿姫が薙刀を構える。

「まて、姫。もう、いい」

 九郎の声は、か細く、弱りきっていた。

「ですが」

「いいんだ」

 悪霊は、これ以上何をするでもなさそうだった。多量の幸を纏っている。九郎の幸の面影がある。忠義にはそう見えた。

「おまえさんが悪いんだよ」

 女の悪霊は一言残し、快楽に打ち震えながら消えていった。

「九郎様」

 九郎が消えかかっていた。消える一歩手前。かつての兎の守護霊を思い出した。兎が消える間際とよく似ている。

「おう、他は大丈夫か?」

 九郎の声に、力は戻らない。諦念の響きがある。視線は、消えた悪霊の方向を見続けていた。まだ、そこにいるかのように。

「悪霊は全て滅したよ」

「そうか。そりゃ良かった。それだけが気がかりでな」

 悪霊の反応が敷地内になくなったので、ミニ九郎達は帰した。

「何があったのでございますか?」

 椿姫が九郎に問うた。明らかにおかしい。いくら悪霊が強かったとしても、九郎が簡単に負けたりはしないはずだ。抵抗すらしていないように思えた。

「あれは、おいらの生前の嫁さあ。散々迷惑かけててなあ。どうしても斬れなかった」

「悪霊は滅しろ。そう言っていたのは、九郎だぞ」

「そうだ。だから俺は、俺の幸に尽くせなかった」

 浮遊している幸をかき集めた。九郎に押し付ける。

「忠義、もういい。芯みたいなのがなくなっちまってる。時間の問題だろう」

 そう言われると手が止まった。見たことがあるだけに、忠義も分かってはいた。

 消えてしまうのだろうか。九郎が、兎のように。そんなことがあるのだろうか。

「九郎様、なぜ、助けをお呼び頂けなかったのですか」

「姫、おまえなら、わかるだろ」

 姫が言葉に詰まった。他の守護霊に討滅されたくない。そういうことだろうか。

 九郎が、何かを探した。んがちゃんが、ガルーから這い出て九郎の頭部に近づいた。ガラガラを振り、音を鳴らす。

 九郎は切ない瞳をしていた。

「んがちゃんよお。十六年、守るだけだったが、楽しいこともあったよなあ」

「んが、んが」

「さくらは、おいらの遠い子孫だ。これからも守ってやってくれ」

「んが」

 忠義と椿姫に向けても言われている。そう感じた。

「姫、苦労をかけたが」

「何を仰りますか」

「リュックだけでなく、ゆりも頼むぞ」

「九郎様」

 遺言のようなことを、切ない声で言われている。やはり別れなのか。悲しいのかどうか、よくわからない。

 九郎と目が合った。

「忠義、おまえは、おまえこそは、幸に忠を尽くせよ」

 忠義は、口を開きかけた。しかし、次の瞬間、九郎は霧散した。

 何を言おうとしたのか。最期だった。だから、尽くすよ、と答えようとしたのかもしれない。とはいえ、幸に忠を尽くす、という言葉の意味はよくわからない。

 終わってしまった。九郎は消滅してしまった。

 椿姫が声を放って泣き始める。んがちゃんも泣き喚いた。

 初めてではない。それでも、ちっとも慣れてはいない。目が熱い。忠義の目からも涙が出ていた。守護霊も涙が出るんだ。生きているんだ。



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