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プロローグ
心のない殺戮人形は、自分に心が宿ったことにいつ気付いてしまったのだろうか……
きっと、いくら考えても少女には分かることはなく、分からないから阻止することもできなかったのでしょう。
気付きたくなかった。
気付かなければ、少女の手元に届く封筒に怯えることなく、普段通り簡単にその封筒を開けることができたのに。
気付かなければ、倒れている『物』が『者』に変わることがなく、躊躇なくできたのに。
……気付かなければ、1人になる時に胸が苦しくなったり、布団に包まれている時に自分の体温が愛おしく涙することもなかったのに。
だから、少女は後悔した。
起きた時の虚無感、生きている時の葛藤、眠りにつく時の恐怖はもう嫌だ。
少女は心が宿った瞬間は知らないが、きっかけなら覚えている。
だから、もし一回だけ時間を巻き戻すことが出来るなら、願わくばあの時あの場所で、あの『映像』を視界に捉えることなく、帰路に着けば良かったと……
殺戮人形は強くそう思った。