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美味しい食卓についての研究に至った背景
あるグルマンな奥様
「グルマン・ディーズ(美食家・うまいもの好き・食道楽)とは、特に味覚を喜ばすものを情熱的に理知的にまた常習的に愛する心である。」ー「美味礼讃」ブリア・サヴァラン
ある大学教員の奥さんについてである。
彼女は、食べること・食べるものを作ることに喜びを見出す人・グルマンである。
肌は白く、ややふっくらとした体つき、ぽってりとした唇ときらきらと好奇心に満ちた瞳をもった女性である。
私は、この奥さんの旦那の同僚で、独身であるため、しばしば食卓に招かれる。
その食卓には、趣向を凝らして、様々な季節の食材を活かした料理や美酒が並ぶ。
食感・見た目・香り・味覚・音・・・。五感で旨いと感じる料理、機知に富んだ会話・・・。
様々な旨さが身体中をめぐり、私の身体だけでなく、角ばった性格も丸くする。
この食卓にはどのような秘密があるのだろうか。
対象をつぶさに観察してしまう科学者の性分を活かし、奥さんの魔法にかかった食卓を観察し、その魔法は何かについての考察を皆様に披露できればと思う。