休日はチキン
よろしくお願いします(*´ω`*)
---リア充め、この世から駆逐されてしまえ---
なんて、巨人の餌になれと心から願う俺は、1人コンビニでヤンジャンを手に休日を過ごしていた。
「そもそもなんだよ、男女二人集まってキャッキャ、ウフフしてればリア充かよ? そんなのはっきり言って猿だぜ? あんな風に手なんか握ちゃってまあ……」
<うらやましい……!>
そんな猿になりたい孤高の少年こと、ヤンジャンの表紙の巨乳グラドルに密かに夢と儚いリアルを突きつけられながら、チキンを買う俺は、神谷 優也 17歳高2だ。
俺はチキンを二つ買って帰宅路をムンムンとしながら歩いていた。
「何が楽しくて人のイチャイチャ見なきゃいけないんだよって。……、いいなあ彼女……。アニメとかだと、短に超美少女幼馴染とか居てその子と発展したりだしな。(幼馴染、一人はいるが最近ろくに喋ってないし、しかもみんなからは影でバトルタンクとかザクとか言われてる奴だぞ……)まあ、ありえんわな」
家に着いた、休日の俺がやってたことは朝っぱらからコンビニで立ち読み、チキンを買う。そうなんとも清々しいくらいの休日の過ごし方だ。もう涙が出るくらいに。
「いやー、俺もあったんだわ。実は女子とまともに喋れて、すっげーチャラ男なまでに手を引っ張って、女子と遊んでた日々が(幼稚園)。何故か知らないけど小学校に上がるとともにその子達は喋ってくれなくて、最終高校も一緒になった奴も居るけど、俺とか空気だもんな」
独り言が更に俺を悲しませ、ブルーな気分のまま玄関の扉を開けた。
「ただいま、ちょいごめん。通して」
「え? なにっ?」
扉を開けたら妹が居た、聞こえないならイヤホン取れよこのガキ。
「チキン買ってあるけど、食べる?」
「えー、どうせ辛いのでしょ。千歳辛いのダメって言ってるじゃんー」
この兄妹で、まさに正反対と言えよう性格も見た目を似ても似つかぬ、今まさにご立腹のお嬢様野郎は、俺の妹の 神谷 千歳である。 16歳で一つ下の高1のギャルなのだ。
「じゃあ、要らないんだな、わかった」
「はあ? 誰が要らないとか言ったし、はよ」
なんだコイツ……。自由過ぎるだろ、無理だったんじゃねーのかよ。
「お父さんなんか仕事あるからって今日休日出勤、飯は適当にしろって」
「ああ、それで朝から居ないのか。で、お前はどこ行くの?」
「なんでお前に一々言わなきゃいけないの」
「ああ、すいません、すいませんでした。どうぞお気をつけて行ってらっしゃいませ」
「マジでありえないんだけど」
チキン食って性格までホットになった訳ではない、いつもこんな感じなのだ。兄妹間はこんな感じだし、親父は昔から仕事人間で誰も家に居ない、妹は居ても居なくても一緒だしな。(部屋こもってるし)母親は俺が小学校に上がる頃には離婚して家を出て居た。まあ、母親にはいい思い出がない為、正直どうでもいい。噂によると次の相手と結婚したらしい。
「もう辛いわ、なにこれハードモードとか選択した覚えないけどな。ある意味逆チートだわこれ。人生リセットボタン何処ですか」
部屋に戻りゲームをする為にイスに腰掛けた、ネトゲを起動する。
「ネトゲって楽しいけど、人間関係があるからなあ。ゲーム内でも現実離れしないとかマジでどうなってんだこの世界」
俺はチャット画面に流れて来た、知らない奴同士の会話をみていた。
「このゲーム始めて間も無いの? そうなんですよ、だから強そうだからつい頼ってしまって……。全然ダイジョウブ! 一緒に楽しもう! やったあー、お世話になりまーす。
ケンくんでいい? うん、良いよカナ!」
俺も一緒についていって大型モンスター呼んで逃げてやろうかなっと思いながら、マウスを机にガンガンぶつけるのだった。
「あー、もういいやー。ログインボーナスだけでお腹一杯。とんだ茶番見せられてゲームどころじゃないな」
あれ?休日って、人生ってこんなんで良いんだっけ?と自問自答を繰り広げる。
溜めてたアニメの消費を開始する俺、二次元は素晴らしいと自論を脳内で論文発表していた。
「あー、これだわー。この感じね、うん。そうそう、はい来ましたー。ラッキスケベこのやろうっ!俺この世界じゃなかったら、きっと上手く……」
目を閉じて、開いた時には真っ暗で。
「え! 異世界転生しちゃった!? なんだ……、部屋の電気切れて真っ暗になってただけかよ。もうゼロからとういうか、5とかからで良いから異世界生活頼むわ。てか、何時だよ……、は?」
時は金なりとは上手く言ったもので、俺はなにも無いまま気がつくと、20時を超えていて虚無感の中、心の汗が乾くことはなかった。
「彼女ってどうやったらできるんだろ……」
ネットでその手の記事を検索するのは、恐ろしいのでできない。俺の趣味や人間性を根底から覆されるのが、目に見えているからだ。さて、腹が減ったのでキッチンに向かう。
階段を降りて、キッチンから音がする。家で料理をするのは俺だけなのでちょっと怖くなった。誰か居るのか? 覗いてみると千歳が居た。
「ふう、ここで砂糖を……」
「なにやってんだ?」
「ちょっ、うわ。いきなり声掛んなバカ!」
「わるかった、わるかった。んで、料理でもするのか?珍しいな」
「ちょっと興味出て来ただけだし」
千歳は何か意味深な雰囲気で、怒っていた。まあ、彼氏でも出来てそれに作るのを触れられて怒っている、と言ったところだろう。リア充め。
「味見してよ……」
「え? おん、いいよ」
意外とまさかな味見展開だった、普段から考えるとありえないことだから、さすがに焦りはあったが、コイツ本気なんだなと思った。兄としてしっかりとしたアドバイスでもやろうと、数年に一度湧くという妹想い発動した。
差し出されたスプーンを手に取り、俺はスープを口に含んだ。
「あ……、美味い……」
「ホント……?」
不安そうな表情の千歳に俺はいいねを押した。
「美味いよこれ、これなら彼氏も喜ぶぞ」
「だっ、誰が彼氏とか 、違うし! 勝手に勘違いすんなっ!」
怒り心頭の千歳に蹴れら、殴られ追い出された。
キッチンを追い出されはしたが。しかし、俺は見ていたテーブルの上の雑誌を。
「千歳……、お前いつの雑誌読んでんだよ」
<男を落とすなら胃袋から>
兄として密かに可愛らしい一面もあるんだなと気づく今日この頃だった。
「痛い。容赦ないのな……」
次に続く。
チキン食べたい。