サフラワー --10--
今日は月曜日。いつもなら朝の一服を済ませて開店という流れのつきちゃん家だが、珍しくお休みだ。
人気といえば人気らしいけど(月妃さんが思ってる)そこまでお客さんの出入りは多くはないので突然平日をお休みしても大したことはないと胸を張って答えられた。事前に休みますって告知した方が良かった気がするけど……
とりあえずお休みの喫茶店だけれども、テーブルを四つ真四角に繋げて大きく広げ、その上にはサラダやらピザやら色んな料理が広げられていた。
「前に行ったレストランで作ってもらったんだって。月妃さんに頼まれたから特別らしいよ」
「ほぇぇーこんな豪華なの初めてかも!」
お昼に僕が取りに伺うと多少サービスしてあると言われたのだけど……
「サラダとスープがサービスって………多少か?」
「月妃さん何者でしょうかね……」
唄瑠の疑問は僕も同じだ。あの人いろいろ読んでそうで怖い。
「こんにちわー。あれまぁ豪勢な物が一杯で」
ちりんとベルを鳴らしたのは剣持さんと町田さん。二人は大きな皿を抱えている。
「イタリア料理?こんなの食べるの若い時以来かしら」
「焼きそば作ってきちゃったけど……眩しくて近くに置けないわね」
二人の若い頃は一体何十年前か、二人が若かったら………想像できない。というか若い頃があったのかなこの人ら。
「それにしても月妃さん遅いね」
「んぁー確かに」
「早く来ないと無くなちゃいますよねー」
お湯を沸かし終えてテーブルに戻るとゆずかちゃんとおばさん二人が食べ始めていた。
「こりゃ美味しいわね」
まだ集まってないんだけど………心の中でつぶやいた。
「お待たせしたな!」
バンッと登場したのはこの店の主。緑埜月妃さん。
「遅いですよー?料理半分終わりましたよー?」
「料理か、後で糸井くんに何か奢ってもらうから気にするな。それよりも……」
僕が奢ることは無いとして、月妃さんは店の外で手を振っている。
「ん?」
「こっちだこっち」
月妃さんが招いた人。長い髪の毛を後ろで一まとめにした女性。月妃さんより身長はだいぶ小さい。
「えっと……えぇ」
「須賀陽向さんだ」
「須賀です。……娘のゆずかが大変お世話になりました」
軽く頭を下げたので僕らも頭を下げる。
「どうして……どうして来たの?」
「それはね!」
「とりあえず座ろうか」
月妃さんが椅子を用意するとこちらへと案内。接客もやれば出来るんだなーと考えていた。
「ありがとうとございます……」
全員が席に着くとお決まりの如く月妃さんが始めに、
「陽向さんは私が呼んだ。いろいろあって大変だったんだが、そろそろ本当の事を話してもいいのではと思ってな。タイミングも良い」
温かい柚子茶をすする。この人はいつもこんな感じだな。
「内容については本人から話してもらおう。陽向さん?」
はい、と小さく返事をするとゆっくりと語り始めた。




