初ギルド任務
ギルドの依頼はアランが選んできたものが数件。
どれも中級のもの、主に材料の収集でたまに魔物の討伐があった。
魔物の討伐欄を見て複雑な想いが浮かんだがアランにそれを説明できるわけもなく、仕方がないことだと割りきることを決めた。
「まずは、薬草の収集だな。ただし、この薬草を手に入れるには途中魔物が多い道を通らないと薬草がある丘までいけないらしい。」
「私とアルなら楽勝だと思うよ。」
「ああ。だけど、ユーリにはあまり危ない目に合わせたくないから、俺の後ろで援護を頼む。」
「アル…もちろん!!任せて!!」
アランとユエは見つめあうと丘に向かう道へと足を進め始める。そんな二人を周りは嫉妬と羨望、好奇心を滲ませた目で見つめていた。それでも、この前の騒ぎが噂になっているのか誰も声をかけたりはしなかった。
地図を頼りに道を進んでいくと途中から獣道になっていた。
「ここら先は気を引き閉めたほうがいいな。」
「そうだね。魔物の気配がする。」
微弱だが感じる魔物の気配。
地の精霊足止め出来るものは頼む。
『お任せください。ユエ様。』
険しい獣道を進んでいくが、今のところは地の精霊のおかげで魔物に出くわすことなく進めている。
「不思議だな。気配は感じるのに出てこない。」
「きっと、アルと私の魔力に怖じけついてるんだよ。」
「そうかもな。そうなら楽だ…が、こいつはそうもいかないらしいぜ。」
目の前に現れたのは黒い大きな大蛇。自分の陣地に入られて怒っているのだろう、酷く興奮したように威嚇をしてくる。
我輩に牙を剥けるなど愚かなやつよ。
火の精霊
手に火が集まる。大蛇を見据えると途中でアランが間に入り遮った。
「ユーリ…約束しただろ?」
そうであった。我輩は直接の戦闘は控えると約束したのであった!!
「ごめん。アル。」
「わかればいい。俺が行くよ。」
アランが大蛇に向かっていく。大蛇はさらに威嚇を激しくして今にも飛びかかってこようとしている。
ザッ
大蛇がアランに向かって飛びかかった。
アランは剣で弾くと突き刺すように狙う。
大蛇はかわし、大口を空けてアランに襲いかかる。
「んー、うりやぁあ!!」
ユエが思い切り振りかぶった石は大蛇の顔に当たった。アランはいきなりの石の登場に驚いたものの、すぐさま大蛇へ剣を突き刺した。さらに追い討ちをかけるようにその身体を燃やす。しばらくして、跡形もなくなったのを確かめるとユエの元へ戻ってきた。
「ユーリ、ナイスコントロールだったな。しかも結構な威力だったろ。…もし、俺が当たっていたら…と考えると恐ろしかったぞ。」
「あはは、コントロールに自信があったからね。」
石は地の精霊によって強化済みだったから威力が倍増されていたのは秘密にしておこう。
「それにしても、このケタケタ草。レア種らしいけど…不気味だよな。」
「まぁ…でも、これ一つで回復薬(大)がいくつも作れるんだよね?」
「みたいだな。俺も薬剤師ではないから詳しいことはわかんねぇけど、他の薬にも使える万能の薬草らしいぜ。これ単体だとどんな根倉なやつでも狂ったように笑いだす使えない薬にしかならないとも聞いたが。」
「へ、へぇ~。」
狂ったように笑いだす薬…そんなもの誰が使うんだろうか。無駄に気になるではないか。
―――――――
「へぇ。あの女の子が魔王様ですか。嘘じゃないでしょうね。」
「嘘じゃないもん。そんなに疑うなら自分で確めてみればいいじゃない。」
「それもそうですね。」
「っ。魔王様に酷いことしないでよ!!」
「ふふっ。本当に昔からあなたは、…いや、『あなた達』は魔王様が好きですね。安心してください?私があの方を傷つけることなど絶対にありえませんから。…あの方が本当に魔王様ならね。」
くいっ、と右の中指で眼鏡を押し上げてその男は笑った。その笑みを見ただけでぶるり、と身体が震える。
その笑みが信用できない証拠だとこの男は気づいていないのかな。
この男をここまで案内してしまったことを今さらだが後悔し始めていた。




