期待していない時こそラッキーは訪れる
アランが言っていたとおりに5日かけて、隣国へとたどり着いた。
「やっと着いたな。とりあえず、時間も遅くなったしこのまま宿をとりにいくか。」
「うん。泊まれるところすぐに見つかればいいね。」
「あー…まぁ、大丈夫だろ。」
アランが、ちら、と視線をユエに向ける。
その視線に気がついてはいたが、別段気にせず流した。
「ここで聞いてみるか。」
見るからに安そうな宿にアランは躊躇なく入っていく。
「あなた、いい男ね。あなたみたいな男なら満室だろうが歓迎するわよ。サービスもつけちゃうわ。」
「そいつは嬉しいね。じゃあ、ここにするかな。後、連れが1人いるんだが。」
「もちろん。構わないわよ。」
「ユーリ!!」
この街で使うと決めた偽名を呼ばれた。
こら、そこの年増!!我輩のアランの腕に我輩の許可なく絡みつくとは何事だ!!!しかも、豊満な乳が当たっているではないか!!!!
我輩への宣戦布告だな!!受けてたとう!!
「アル!!」
引き離すように腕を引っ張りそのまま、その腕へと己の腕を絡ませた。年増に余裕の笑顔を向けるのを忘れず。年増はひくりと片方の眉だけを上げた。
「あら、こちらのお嬢ちゃんは妹さんかしら?」
「なんだ「いや、彼女は俺の大事な人だよ。ここだけの話…彼女の親に二人の事がバレってしまって反対されて…彼女と引き離されそうになったから逃げてきたんだ。だから、もし追手がきても話さないでくれ。頼む。」」
「まぁ!!……それは大変だったわね!!安心して頂戴!!あなた達、運が良かったわ!!ここは、あなた達のような人の味方の宿なのよ。さぁ、こちらへ!!」
先程とは反転していきなり好意的になった年増。ウインクまでかましてきた。
どうやら、アラン作のドラマチックな話に胸をうたれてしまったらしい。
部屋へ通される間、二人のなれ初め等を意気揚々と聞いてきた。
それにたいしてアランは思い出すかのように熱い眼差しで我輩を見つめながら語る。
我輩は恥ずかしくいのと、口を挟めばボロがでそうなのでひたすらに顔を赤くして俯いていた。
そのような様子を年増とアランが微笑ましそうに見ていたことなど我輩は全く気がつかなかった。
通された部屋は開けてビックリ、な部屋だった。
シンプルだけれど上品さが際立つ部屋。一つ一つどれをとっても一目で良いものだとわかるものばかり。
おそらく、この部屋は私達のような訳ありのお客の為の部屋なのだろう。
「ごゆっくりお寛ぎくださいませ。」
年増が出ていくとアランが溜め息を吐き、こちらを見た。
「ユエ。先に風呂に入ってこい。この部屋ならついてるだろうから。」
「アランが先でいいよ?」
「いや。俺は荷を先にほどいておくから。それに、ユエ…5日も風呂に入れてないの気にしてただろ。」
バレていた!!
口には出さなかったのに、そんなに分かりやすかったのだろうか。
「お前をずっと見ていたんだ分かるにきまってんだろ。遠慮すんな。」
頭をぐしゃぐしゃと撫でられた。
「わ、わかった。先に入るね!!」
赤くなった顔を見られないように顔を背けて、着替えをもって浴室へと走った。
ジャー
シャワーの水を惜しみ無く頭にかけ続ける。
落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け
今日のアランは我輩をキュン死にさせる気か!!
しかも二人で一部屋に泊まるという。こうなるだろうとは思っていたが…ドキドキが止まらぬ!!
は!!と、とりあえず早く出ねば!!
急いで洗い、浴室を出た。
そこには半裸のイケメンがいた!!
「お、思ったより早かったな。疲れただろう。先に寝ていていいぞ。」
親指でベッドを指差し、我輩の横を通りすぎていった。
腹筋!!生肌!!
ご、ごちそうさまです!!
思わずアランの背中に親指を立てたのは仕方があるまい。
そして、またもや気がついた。
べ、ベッドが一つではないか!!
え?つまり、一緒に寝るのか!?
いや、まて、これはおそらく罠だ。
そう、きっとアランは寝袋で寝るとか言い出すにちがいない!!きっとそうだ!!そんな気がしてきたぞ!!
またもや期待だけさせて落とすつもりだな!!
そうはいかぬぞ!!我輩は期待などしておらぬ!!
フハハハハハハ
勝利の笑みを浮かべ高笑いをしていた我輩の肩になにかが触れた。
「なんか、面白いもんでもあったのか?」
後ろを振り向けば、ほんのりいい匂いをさせた神々しい半裸のイケメン!!
「イヤ、ワタシネル、イマスグネル!!」
脱兎のごとくベッドに潜り込んだ。
な、なんなんだあの破壊力はちらりと見えたピンク色に蒸気した頬。水分を含んだ滑らかな肌。どこか甘い声。…それはいつもか
「!?」
「はは!!懐かしいな!!ユエと一緒に寝るのは何年ぶりだろうな!!ユエが年頃になって別に寝ると言ったときは悲しくて仕方がなかったんだぞ!!」
ちょ、自然に布団に入ってきたよこの人!!
仕方がないだろ!!一緒に寝たりしたら、止まらなくなるだろ!!ムラムラが止まらないんだよ!!
「不謹慎だけど、ユエと寝れるのなら逃亡生活もいいな!!ん?もう寝たのか?ユエは昔から寝付きがよかったからなー。」
それは、寝たフリです。むしろ、興奮で寝れません。
「お休み。俺の――――。」
小さな囁き声で最後まで聞こえなかったが、額に柔らかい感触が落ちてきて我輩は興奮のあまり気絶したのであった。




