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099話 スクエア救出作戦

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「なんじゃ、何があったのか早く教えるのじゃ!」


「分かった、話すよ。今からの話は信じられないかもしれないけど、本当の話だ。ここにいるピーナやムルダが証人だ」


 カズヤは新しい情報が大量に入ってきたことで、記憶を整理するのに少し時間がかかった。


 カズヤはゆっくりと記憶を辿りながら、スクエアに囚われていた時のことを確認するように話し始めるのだった――。


挿絵(By みてみん)


「……魔導人形が自我と知性を持つなんて信じられんのじゃ。土魔法で作り出した、ただのゴーレムじゃろうに」


 カズヤのスクエア内での話を聞いたゼーベマンが不満をもらす。この世界の常識からすれば理解しがたいことのようだ。



 すると、それを聞いたステラが、珍しく口をはさんできた。


「創造する側が、自ら創造した存在は知性を持たないと思っているのは傲慢ですよ」



「ということは、やっはりお主は魔導人形じゃったのか?」


「魔導人形ではなくザイノイドです。しかし、人間に作られた存在という意味では同じです。ある程度の知性を持った存在は、自我を持つこともあるのです」



「では、なぜ人間が魔導人形に支配されなきゃいかんのじゃ。儂ら人間の方が創造主じゃろうに」


「人間が魔導人形を戦争用に作っているからではないですか? もし不安なら、私がマスターの指示に従うように、能力を制限した方が良いですよ。そうしないと、創造した存在に自分が殺される可能性だってありますから」


 ステラが言っていることは、リナの話と同じだった。



「なんじゃ、お前のほうが従者だったのか。てっきりあの小僧がお前の従者だと思っておったわい」


 ゼーベマンの興味は違うところにあったようだ。ステラの方がマスターと思われていたことに、カズヤの心が少しだけ痛む。



「しかし、魔導人形が自我を持ったとしても何がしたいのじゃ? 人形の心なんて想像もつかんわい」


「自我を持った存在が望むことは、人間と同じですよ。自分がこの世界に存在する意味を知りたいんです。自分の意思に反して命を奪われるなら、生存本能に従って抵抗するのは当然です」


 ステラがいつも以上に饒舌に感じられた。人間に創造された存在として、彼らの思いや考えが分かるのかもしれない。



 ゼーベマンもひと通りいい尽くしたのか、ステラの言い分を聞くと黙りこんだ。


「もし、各国で保有している魔導人形が自我を持って暴走すれば、とんでもい被害が出るわ。誰も想定していないことだもの」


 アリシアが一番懸念していたことを口にする。



 奴隷時代の記憶を頼りに、カズヤが話を補足した。


「スクエア内にいる、全ての魔導人形が自我を持っている訳じゃないんだ。だけど、ただの魔導人形たちも自我を持った魔導人形が近くにいると、自我を持ちやすい傾向があるみたいだ」


「……なるほど、面白い話だな。わが国でも魔導人形による暴走事件がいくつか起きている。あながち出鱈目とも思えん」


 黙って聞いていたシデンが口をはさむ。


 タシュバーン皇国でも、魔導人形の暴走事件が起きていたのは初耳だった。



「レンダーシア公国のスクエアと呼ばれる収容所については分かったわ。それより、カズヤに何があったのか教えて」


 さっきはゼーベマンに急かされたので、魔導人形とスクエアの話を中心に伝えてしまった。たしかに、カズヤ自身のことはほとんど伝えていない。


 カズヤは、この世界に来てからの自分自身のことを、アリシアたちに話し始めた。



「……なるほどね、だから出会った時から言葉が通じたのね。でも、そんな短期間で言葉を覚えられたなんて凄いわ」


「マスターは服装に頓着しないので、ボロボロの服が自前だと思ってました。奴隷だったと言われれば納得できます」


 あいかわらず好意的に捉えてくれるアリシアと、ひどいことを言うステラ。


 この世界で、こんなに気やすい関係が築けるなんて、スクエアにいた頃のカズヤには想像もできなかった。



「カズヤは囚われている仲間を助けに行くんでしょ?」


「ああ、勿論そのつもりだ」


 誰に何と言われようと、カズヤはスクエアに囚われた仲間たちを助けに行くつもりだった。



「それじゃあ、そのレンダーシア公国のスクエアという場所に私も行っていいかしら? 自我を持ったという魔導人形の存在に興味があるの」


「アリシアも来たいのか……。でも今回は、エルトベルクの王女としての立場では行動できないよ」



 スクエアの現在の様子は分からないが、レンダーシア公国と戦争をしたい訳ではない。スクエア内に囚われている仲間を助けたいだけだ。


 エルトベルクの軍隊を使っておおっぴらに助けに行く訳にはいかない。



「ええ、もちろんそのことは分かっているわ。今回は冒険者のアリシアとして行動するつもり。だって、魔導人形が自我を持って人間に反逆するなんて、かなりの大ごとだと思うの。


 魔導人形は多くの国で兵士や作業員として利用されているし、もし彼らに反逆されたら恐ろしいことになってしまう。もちろんエルトベルクにも魔導人形はたくさんいるし、放置できる話ではないでしょ」



 確かに、ゴンドアナ王国との戦いでも魔導人形の力を借りているし、エストラからセドナへの移住にも荷物運びとして利用している。


 彼らがいっせいに反旗を翻すことを想像すると恐ろしい。


 カズヤの脳裏に、奴隷として過ごしていた時の苦い記憶がよみがえった。


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