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078話 総攻撃

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 ステラの要望に応じて、アリシアとバルザードがあわてて駆けつけた。


「今回の襲撃は魔物だけではありませんでした。魔物の襲撃を合図にして、エルトベルクを囲む全ての国が一斉に進撃してくる作戦です。ここセドナに向かってきているゴンドアナ軍の兵数は約1万人です」


「1万人だって!? 前回よりも多いじゃないか。魔物の混乱も奴らの作戦だったということか」


 ステラがいると諜報作業がはかどるが、さすがにこれは聞きたくない情報だった。



「前回で奴らの戦力をほとんど削ったはずなのに、まだ余裕があるのか!?」


「余裕は無いと思いますが、強引にでも攻めてこざるを得ないようです。上から命令でもされているのでしょう」


 しかも、以前とちがってエルトベルク軍は魔法が使えない。


 アリシアが古代魔術アルカナ・アーツという魔法を教えてくれようとはしているが、皆が使いこなすにはまだまだ時間がかかる。



「さらに、西で国境を接するメドリカ王国から、4000人の兵士がエストラを目指して進軍中です。また、東のタシュバーン皇国からも、7000人が国境を目指して首都を出発しています。3日後にはここセドナに到着します」






「エルトベルクを囲む全ての国が、攻め込んできているというのか……」


 衝撃的な報告だった。何という絶望的な情報だろうか。


 ゴンドアナ王国一国だけでも苦戦していたのに、さらに他の二か国も攻め込んできている。


 連戦によりエルトベルクの兵数は減っており、防ぐ準備はまるでできていない。



「ここセドナにゴンドアナ軍とタシュバーン軍。エストラにメドリカ軍が攻めてきているのね。私たちの兵力はエストラの防衛隊を合わせても4000人もいないわ。三カ国合わせて2万1000人の兵力を防ごうとするのは、さすがに想定外の事態ね」


 いつもは明るいアリシアも、流石に表情が曇っている。



 四人は無言のまま固まってしまう。


 こんなことは初めてだった。何か対策を練って行動しなければいけないのだが、ことの大きさに、どう対処して良いのか分からない。


 そもそも作戦を練っただけで、どうにかなるものなのか。

 

 圧倒的な戦力差を前にして思考が停止してしまう。


 ただ、四人の無言の時間が過ぎていく――




 カズヤはふと我にかえった。


 絶望しているだけでは駄目だ。誰も助けには来てくれない。もっと考えなければ。


 未来はまだ何も決まっていない。カズヤたちが指示を出さない限り、兵は動けないのだ。


「何か選択肢はないのか? 他に見逃している対抗手段は……」


「選択肢なんか探さないで、新しい作戦を作りましょう。一度に全部を防ごうと考えずに、まずは一つずつ考えるの」


 場の空気を察して、アリシアが提案する。



「……そうだな、一つずつ対応しよう。それじゃあ、まずは1万人のゴンドアナ軍を防ぐ方法はあるか?」


 カズヤは自らを落ち着かせるように声を出した。


「兵力差があり過ぎるが、城にこもって防衛するだけなら何とかなるかもしれないぜ。セドナの新市街に籠もるのはどうだ?」


 カズヤの疑問にバルザードが答える。



「新市街にはまだ住人がいるから、いきなり防衛拠点にするのは恐ろしいわ」


「それなら、セドナの北部に城が朽ち果てた廃墟があるぜ。そのまま使うことはできないと思うが……」


「そうか!」


 バルザードの提案を聞いて、カズヤは1つの作戦を閃いた。


「奴らが来る前に、進路上に新たな城壁を作ってしまうのはどうだ!? バルが言った廃墟も補修してしまえばいい。奴らも短時間で城や壁ができるとは想像してないだろう」



「城壁を新たに作るの? いったいどうやって?」


「街を建設するのと同じ要領だよ。ブロックを積むだけだから、人夫たちだって協力してくれるはずだ。丈夫な城壁と優位な位置からの攻撃があれば、少しは耐えられるだろう?」


 カズヤが即興で作戦を考え出す。


 一夜で作った城壁で、ゴンドアナ王国の兵を足止めにするのだ。



「確かに、街を作るのと同じようにブロックを積み上げるだけなら、私たちにも出来るかもしれないわ」


 何とかなるかもしれない。絶望に包まれていた4人に光明が差してきた。


「意外といい作戦があったじゃない」


 アリシアが先ほどの光景を思い出して笑っている。


 勝手に絶望して諦めてしまったら、新しい考えなど湧いてこないのだ。



「そうなると、建設の為に少しでも時間を稼ぎたいな……。ステラ、あの手段を使うしかないと思うんだが」


「あれですね、分かりました。1機だけならすぐに発射できます。連射はできないので注意してください。2発目を撃てるのは数日後です」


「敵の指揮官を倒すことが出来れば時間を稼げるし、うまくすれば撤退してくれるかもしれない。指揮官がどこにいるか分かるか?」


「問題ありません。ゴンドアナ軍は急ごしらえの大軍なので統制はバラバラです。付け入る隙はあるはずです」


 そう言うと、ステラはすぐさま遠隔操作を始めた。



「……ちなみに、他の2機は使えるのか?」


「時間を頂ければ、すぐに射程範囲に入るように移動させます。数時間は必要ですが」


「それでも構わないから準備してくれ。こうなったら、どんな攻撃方法でもいいから利用していかないと」


「ちょっと、二人は何の話をしているの!?」


 アリシアが思わず口をはさんだ。



「宇宙から衛星で攻撃するんだよ」


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