表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/316

058話 先制攻撃


 魔導人形でも魔法が使えるなら、ザイノイドが使えてもおかしくないのではないか。


「でも、魔導人形の身体のなかに魔石を埋め込むのよ。魔法を込めた制御も必要だから、カズヤにはできないんじゃないかしら」


 最後の希望もあっさりと無くなってしまう。



 ザイノイドの身体のなかに魔石を埋め込むなど不可能だ。そんな隙間はどこにもない。それに、魔石からどうやって魔法を引っ張り出すのかも分からない。


 カズヤは、この世界で魔法を使うことをきっぱりと諦めることにした。



「魔導人形は分かったよ。他にはどんな部隊があるんだい?」


「2500人の内、特別な訓練を受けた騎士は300人くらいで、攻撃魔法を使える魔道士は100人くらい。それ以外は普通の兵士よ。魔物を扱える兵士が20人くらいいたかしら」


「魔物を扱えるって、どういうことだ?」


「魔物と仲良くなって、指示を出せる才能を持っている人が稀にいるのよ。私たちはテイマーと呼んでいるわ。魔物たちを従えて一緒に戦うの。そんなにすごい魔物を操れる訳ではないけどね」



 テイマーという職業は、元の世界のゲームで聞いたことがあった。だが、この世界にそんな能力をもった人間がいるのは初耳だ。


 そのテイマーを利用すれば、先日のようにブラッドベアやオークの群れを使ってアリシアを襲うことも可能だったに違いない。



「とりあえず、進軍先に砲台を設置しよう。はじめに防衛ラインを決めておかないと」


 ゴンドアナ王国は、こちらの4倍近い圧倒的な兵力だ。兵数と物量の差で押し切る考えだろう。



「国境沿いの街は、今から救援に向かっても間に合わないわ。国境から2番目の街、ベルージュの手前に防衛線を引くのが精一杯ね」


「よし、すぐにでかけよう。俺たちだけでもウィーバーを使って先に行くんだ」


 他の部隊には後から付いてきてもらえばいい。


 ボットたちを使って少しでも進軍を止めないと、途中にある街を全て占領されてしまう。



「ちょっと待って。ウィーバーを使うなら、私も一緒に行きたいわ!」


 部屋から出ていこうとするカズヤを、急にアリシアが呼び止める。


「えっ、アリシアも!? 護衛の兵士たちを置いていって大丈夫なのか?」


 今までと違って集団戦なので、何が起こるか分からない。アリシアの身に何かあったらと不安になる。



「敵の様子を遠くから見るだけだから、バルくんがいれば大丈夫よ。前から、そのウィーバーっていう乗り物に乗ってみたかったし」


 アリシアの勢いに押され、止めることはできなかった。


「姫さんが行くならもちろん俺様も行くぜ。……でも、そのウィーバーって奴は苦手なんだよなあ」


 呼び寄せた2台のウィーバーを見て、バルザードが珍しく弱音をはく。



 残りの部隊にてきぱき指示を出すと、アリシアはカズヤの後ろに乗り込んだ。


「……そういう席順になるのですか」


 ステラが若干不服そうな顔を見せる。


「ん、ステラとバルが乗ればいいだろう?」


「バルちゃんと乗るのは嬉しいんですけど……」


 それ以上は何も言わずに、黙ってウィーバーに乗りこんだ。





 エストラからベルージュの街までは、徒歩で1日はかかる距離だ。だが、ウィーバーを使うとあっという間だ。


 現地に到着すると、すぐに固定式の砲台を”上空に”設置する。



「こいつのエネルギーはどのくらい持つんだ?」


「可動し続けると、たった1年くらいしかもちません。使い方には十分注意してください」


「そ、そうか。短いな……」



 毎日使って、弾丸の補充無しに1年ももつのなら十分過ぎると思うが、ザイノイドの感覚だと足りないのだろうか。


 いずれは他の武器に変えなければいけないが、さしあたっては大丈夫そうだ。



「おお、見えてきたな! 先遣隊だからか、思っていたより少ないな」


「1000人ほどの部隊ですね」


 遠くの山の方に、ゴンドアナ軍が到着したのが見えた。すぐさまステラが人数を教えてくれる。



「砲台まで引き付けてもいいけど、バルとの特訓の成果を試してみたい。不意打ちで相手の数を減らしてくるよ」


「心配なので私も同乗します。念のためF.A.《フライトアングラー》も10機ほど随伴させましょう」


「カズヤ、いきなり敵陣に突っ込んでも大丈夫なの?」


「危なくなったらすぐに離脱するよ。本番前の肩慣らしだ」


 カズヤはF.A.を従えて、先遣隊の横から突撃を開始する。



「な、何だ、空からの攻撃だ!」


「エルトベルクには、空中部隊はないはずじゃなかったのか!?」


 離れたところから、ブラスターから射撃する。一般兵の魔法防御が高いことはほとんどないので、ブラスターの光線は効果的だった。


 ゴンドアナ軍は宣戦布告と同時に進撃したつもりだったが、いきなり反撃されて驚いているようだった。



「バルくん、私たちも攻撃しましょうよ。今のうちに新しい魔法を試しておきたいの」


「えっ、姫さんと二人だけでですか!?」


 はるばる来たせいか、アリシアは出撃する気満々だった。


 読んで頂いてありがとうございます! 「面白かった」「続きが気になる」と少しでも思ってくださった方は、このページの下の『星評価☆☆☆☆☆→★★★★★』と、『ブックマークに追加』をして頂けると、執筆の励みになります。あなたの応援が更新の原動力になります。よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ