表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
313/316

313話 終局

 

「これで……終わりだぁ!!」


 カズヤは奇術師の力で空高く飛びあがると、首を目掛けてプラズマブレードを叩きつける。



 しかし強靭なゴルドヴァイスの皮膚は、なかなか斬り裂くことができない。


「まだまだだ! グラビティ・コマンド《重力操作》!!」


 カズヤは自分自身に奇術師の腕を発動させる。



 プラズマブレードを握りしめるカズヤの身体を、強烈な重力波が包み込む。自身の身体を地面に引き付けて、かかる重力を一気に加速させていく。


 何十台もの車と同じくらいの重力がカズヤを襲い、その全ての重さを首元に集中する。


 重さと勢いを増したカズヤの全身が、ゴルドヴァイスの首に沈んでいく。



「いっけえええええ!!」


 ゴガガガアアアッッッッッッ!!


 喉元を押さえつけられたゴルドヴァイスが断末魔をあげる。


 剣と一体となったカズヤが首を貫き両断した。



 さすがのゴルドヴァイスも、首をはねられては生きていけない。


 全身から力が抜けると、だらしなく大地の上に横たわった。



 カズヤたちは凶悪な異星魔獣を倒したのだ。




 *


「くそ、まさかゴルドヴァイスまで倒すとは……」


 戦いを終えたカズヤたちが、ゼイオンのもとに向かう。


 そこではゼイオンが焦りと苛立ちを隠せずに立っていた。


 カズヤたちがゴルドヴァイスと戦っている最中、ゼイオンは何度もその場から逃げ出そうとしていた。



 しかし事前に動きを察知したステラがボットを操作して、逃がさぬように居場所を特定していた。


 さらにパーセルがレオたちの活躍で軍事衛星を奪取すると、常にゼイオンを射程に捉えていた。


 ゼイオンはゴルドヴァイスの戦いが終わるまで、その場から身動きがとれなかった。



「どうした、自慢の召喚魔法はこれでお終いか? あの化け物を、もう一度呼んでみろよ」


 カズヤの挑発に、ゼイオンは悔しそうに歯ぎしりする。


 もし召喚魔法をもっと使えるのなら、ゴルドヴァイスをたくさん呼び寄せていたはずだ。


 しかし魔法が思うように発動しない。部下に調査させるばかりで、ゼイオンが地球に来たのは今回が初めてなのだろう。


 地球では魔力が小さくなることを甘く考えていたのだ。



「ゼイオン。元はといえば、自分が犯した罪のせいだと分かっているのか? 地球という辺境の惑星を見下して、あわよくば支配しようとしていた。……だが残念だったな。地球のことをよく知る俺が、惑星イゼリアに来たのが運の尽きだ。お前の計画は台無しだぞ」



 カズヤの言葉を聞いたゼイオンは、最後の悪あがきを企てる。


 ふところから隠し持っていた装置を取り出すと目の前にかかげる。禍々しい赤い紋様が刻まれている小さな機械で、不気味に黒く光っている。


「私に近付くな! 街を含めて爆破してしまうぞ、私から離れろ!」



 しかしカズヤは、見え透いた恫喝には動じない。


「やれるもんなら、やってみな。お前みたいな臆病者が自爆なんてする訳ないだろう」


 相手にするまでもなく、ただの脅しだ。


 今までのように相手を威圧し、優位に立ちたいだけなのだ。



 カズヤはゼイオンを一瞥すると、わずかに視線を横に動かす。


 その瞬間——。


「……は、何だ!?」


 ゼイオンの手の中にあったはずの爆弾が、ゆっくりと浮かび上がる。


 しっかりと握っていたはずなのに、まるで重力を失ったかのようにフワフワと宙に浮いていく。



 ゼイオンは驚愕の表情を浮かべて必死に手を伸ばすが、爆弾は指の間からスルリと抜けていった。



「危ない物を見せびらかしたら駄目なんだよ!」


 元気な声が響いたかと思うと、透明だったピーナの姿が浮かび上がってくる。


 まるでちょっとした忘れ物を届けるかのように、無邪気な笑顔を浮かべてカズヤに爆弾を渡した。



「神様よ、これで終わりか?」


 鋭く突き刺さるようなカズヤの言葉に、ゼイオンの身体が硬直する。


「なに、身体が動かないぞ……!」


 カズヤのグラビティ・コマンド《重力操作》でゼイオンの動きを止めたのだ。



「上等なザイノイドの身体だけど、使い方を何も分かっていないな。部下にやらせるだけで自分で行動しないからだよ」


「私は特別なのだ! 他の人間どもは、私にひれ伏すべきなのだ!」


「違うよ、他の人もそれぞれみんな特別なんだ。自分だけが特別だと勘違いしたのが、全ての誤りだ」



「くそ……マグロス、私を助けろ!!」


 しかし、隣に立っているマグロスの反応がにぶい。


 マグロスは予想もしない言葉を口にした。


 読んで頂いてありがとうございます! 「面白かった」「続きが気になる」と思ってくださった方は、このページの下の『星評価☆☆☆☆☆→』や『ブックマークに追加』をして頂けると、新規投稿の励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ