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304話 最終兵器

 

「ゼイオン、お前が恐れているのは同じ科学力をもつ同胞のデルネクス人だろう。ここにはパーセルの部隊もいる。もう逃げられないぞ!」


 カズヤの言葉に、ゼイオンはやれやれといった風にかぶりを振る。



「お前のような偽善者に何度も追い掛けられて、私は心底うんざりしているのだ。今回のお前たちの抵抗を見て私の心も決まった。デルネクスの奴らが二度と私を追い掛けられないようにしてやろう」


「……いったい何をするつもりだ」


 ゼイオンの不穏な台詞に、カズヤは思わず反駁する。



「簡単なことだ。こんな星があるからデルネクス人どもが何度も追い掛けてくるのだ。私の手掛かりとなる、この星の存在自体が元凶だ。この星を破壊すれば、私に関する証拠が全て無くなるだろう」


「……な、なんだって!? お前、正気か……?」


 ゼイオンはとんでもない計画を、当たり前のように言い放つ。


 自分の保身のために惑星まで破壊するつもりなのか。


 どこまで自己中心的なのだ。



「ここまでたどり着いたことは褒めてやる。たしかに、これだけの戦力を用意されるとは予想していなかった。だが、それでもこのアビスの防御を突破することはできない。お前たちの頑張りが、この惑星の死を早めたのだぞ」


 自分が星を破壊しようとしていることを棚にあげ、責任をカズヤたちに押し付ける。



 ゼイオンはカズヤを見下すように嘲笑すると、背を向けて奥の方へと歩いていく。


 その後ろにマグロスも続いていった。


「待て、逃がさないぞ!」


 カズヤが一気に跳躍して、ゼイオンに飛びかかる。



 しかし頭上の防御兵器アビスから、無数のレーザー光線が飛んでくる。


 カズヤはとっさに電磁シールドで護るが、アビスからの攻撃が途絶えることはない。


 猛攻撃を必死に防ぎ、後ろずさりで元いた場所に戻るのが精一杯だった。



 その隙にゼイオンは、悠々と建物の奥へ消えていくのだった。



 *


「クイン、奴がこの星を破壊するなんて出来るのか!?」


「おそらくノヴァコラプス《星界破壊弾》という爆弾を使うつもりです。本当に申し訳ないのですが、それも私が作った物なのです。この建物の奥に設置されているのですが、まずはこのアビスを突破しないことには……」


 苦しそうな表情でクインが答える。



 もちろん、爆弾を作ったクインを糾弾するつもりは全くない。クインは職人ギルド総帥のザイノイドとして、ゼイオンに命令されて作ってしまったのだ。


 とにかく爆破を止めるためにもゼイオンを捕まえるためにも、このドームを突破することが必須条件だ。



「諦めてたまるか、……グラビトン・ゼロ《無重力浮遊》!」


 プラズマブレードを握りしめたカズヤが、奇術師の装備で空中からゼイオンを追いかける。


 しかし空中でも検知網に引っかかった。


「く、くそ……!」


 何十発もの物理的なミサイルがカズヤを狙って飛んでくる。自分の身を守るだけで精一杯だ。



「私たちも援護するわ!」


 カズヤの必死の行動に、みんなも呼応する。


 アリシアやリオラ、ゼーベマンの魔法が半球体のアビスに向かって飛んでいく。



 しかし火球や氷塊がアビスに触れるやいなや、まるで水面に石を投げ込むように波紋を描いて消えていく。


 シデンたち剣士が後方の壁に向かって斬撃を繰り出すが、火花を散らして表面で弾かれてしまった。



「よけろ、俺たちが突破してやる!」


 レオたち戦闘型が、ゼイオンが逃げ出した通路に向かって走り出す。


 しかし、その報復として何百発ものミサイルが発射された。



「ちっ、すげえ弾幕だ」


 ミサイルの爆風と威力に、ザイノイドたちが押し返される。アビスの攻撃を跳ね返しきれず、戦闘型ザイノイドといえども後退を余儀なくされる。


「俺たちが突破できないなんて……」


 レオが驚きを隠せずにつぶやいた。



「すみません、戦闘型の攻撃力は想定内なのです。アビスの表面は物理攻撃やエネルギー攻撃を防ぐだけでなく、反射するための特殊コーティングがされています。空中には強力な防御シールドが張られていて、瞬時に迎撃するためのレーザーや迎撃ミサイルを備えています」


 申し訳なさそうにクインが謝る。


 ルガンやジェダの攻撃力を想定した、クインの技術の結晶である防御兵器だ。生半可な攻撃では通用しない。


 だが、これではゼイオンの思惑通りになってしまう。



「このままだとゼイオンに逃げられてしまうわ。何とかしないと……」


 アリシアが手を堅く握りしめて、悔しそうにつぶやく。


 この場にいる全員の攻撃手段が全て跳ね返された。この鉄壁の防御兵器を突破する術が見つからない。


 全員の顔に焦りの色が浮かんでくる。



 すると突然カズヤが、思わぬ台詞を口にした。


「まあ大丈夫、手はある。最後の手段はあるんだよ、俺の力じゃないんだけどね」


「……えっ!?」


 驚いたアリシアが、カズヤの顔を見つめる。


 これ程までの防御兵器を突破する手段が、存在するとは想像もできなかったのだ。



 カズヤは軽く肩をすくめると、隣でちょこんと立っている”最後の手段”にお願いした。


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