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301話 未来都市

 

『たかが雷如きで、我に傷を負わせられると思ったか!』


 ラグナマダラの咆哮が、辺りにこだました。



 大きな牙で噛みつくと円盤の一部を破壊する。


 さらに強烈な尻尾による攻撃が追い打ちをかけた。


『これまでの破壊と暴虐の代償を支払う時が来た。己の所業を、その身に刻むがいい!』


 ラグナマダラが深く息を吸い込むと、破壊されたアトモスの隙間に強烈な炎のブレスを吐き出した。


 ドロドロのマグマが円盤の内部を溶け尽くす。



 内側から破壊されたアトモスは、急激に高度を下げ始める。


 そして激しい地響きをあげて地上へと落下した。


 ラグナマダラは墜落したアトモスにも容赦はなかった。真っ二つに割れた機体を踏みつぶして押さえつける。


 狂暴な爪が円盤の外装を剥ぎとっていく。


 もはやアトモスはピクリとも動かない。


 ドラゴン対空飛ぶ円盤の戦いは、黒龍ラグナマダラに軍配が上がったのだ。



『人の子らよ、もし大地をけがすならば我が鉄槌が下るだろう。心せよ!』


 アトモスが完全に破壊されたことを確認すると、ラグナマダラはその場を去った。




 *


 アトモスが破壊されると、サルヴィアの聖都にも異変が起きた。


 最後の防衛用の兵士が、聖都の城門から出陣してくる。



「おい、そこの青髪の情報型。やつらは何人いるんだ?」


「何ですか、あなたは。名前を呼ばないなんて失礼ですね」


 気安い口調で尋ねた戦闘型レオに、ステラがきっと睨みつける。


「……聖都から出てきた兵士数は11087人です。後方には増員の兵士も待機しています」


 一言釘を刺すと、ステラは尋ねられた情報を伝える。



 注意されたレオは軽く肩をすくめた。


「ザイノイドのくせに名前なんかにこだわるんだな。まあ、いいや。あの街の奥にゼイオンがいるんだろう? 俺たちが道を作るから、お前たちは先に突入しろ」


「えっ? お前たちだけで神聖騎士団の相手をするつもりか。相手は1万人以上いるんだぞ」


 驚いたカズヤが、レオに聞き返す。



「上空からお前たちの戦闘を見ていたが、1万人程度なら問題ない。早く行けよ」


 レオの後ろでイバたち4人のザイノイドもうなずいている。


 この星の騎士団相手なら、1万人いようと相手ではないということか。



「イバとニコは俺と正面突破だ。ダンは右翼、ルーは左翼だ。……いくぞ!」


 カズヤの返答を待たずに、レオが指示を出す。


 5人は一瞬の迷いもなく、騎士団に突撃していった。



「なんだ、こいつらは!? あんな人数で突っ込んできたぞ……!」


 驚愕する神聖騎士団を尻目に、5人の戦闘型は騎士団の防御線をやすやすと切り裂いた。


 ブラスターから放たれる光線は確実に指揮官へと直撃し、電磁ブレードの剣先が鞭のようにしなりながら伸びていく。


 戦闘型ザイノイドの動きは速く正確だ。



 レーザーで覆われた刃が十数人の騎士をとらえると、触れた者は即座に脱力して地に倒れた。体術は一寸たがわぬ正確さで敵の急所をとらえていく。


 剣聖フォンと同等の力を持つ戦力が5人もいるのだ。神聖騎士団といえども戦闘型の前では無力だった。


 すぐに恐れをなして散り散りになり、逃げ出す者まで現れる。



「本当に任せても大丈夫そうだな、俺たちは聖都へ乗り込もう」


 レオたちに戦場を任せると、カズヤたちは悠々と聖都へたどりついたのだった。



 *


 カズヤたちは難なくサルヴィアの聖都へ入る。


 すでに城門で敵を押し止める役目の門番すら姿を消していた。以前訪れた時とは打って変わって、街の通りには人影すらない。


 ハルベルト帝国との戦争が始まり、市民には聖都の間近で戦闘が始まっていることが伝わっているのだろう。


 今まで禁足地を覆っていた緑色の魔法障壁が無くなり、見たこともない巨大な塔が姿を現わしたことにも警戒しているのかもしれない。



 人っ子一人いない聖都の大通りを、カズヤたちは悠然と駆け抜ける。


 街と禁足地は普段、塀と魔法障壁によって隔てられていた。しかしいまは無防備にさらされている。


 カズヤたちは一気に塀の上に飛び上がった。



 そして眼前に広がる街の様子に、カズヤの身体は凍り付く。


「……こ、ここは惑星イゼリアだよな!?」


 カズヤの目の前には、信じられない光景が広がっていた。



 地球でも見られないほど発達した、先進的な未来都市が広がっているのだった。


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